【SD]パドレス、ニック・ピベッタ獲得

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チーム・協会
【これはnoteに投稿されたつかみ男さんによる記事です。】
今オフの最高額契約がエリアス・ディアスとの1年$3.5Mと爪に火を点すような冬を送っていたサンディエゴ・パドレスはレッドソックスFAの先発右腕、ニック・ピベッタと4年$55Mと契約合意した。米国2月12日時点ではフィジカルチェック待ちの状況。2月14日に32歳になる。

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4年$55Mの支払い配分は以下の通りだ。

2025年: $4M(年俸$1M+$3M)
2026年: $19M
2027年: $14M(オプトアウト可能)
2028年: $18M(オプトアウト可能)

ご覧の通りかなり後ろ倒しだ。今年のパドレスは特にお金がない!である主演織田裕二(https://www.amazon.co.jp/dp/B001ANDBKW)である。FanGraphs(https://www.fangraphs.com/roster-resource/free-agent-tracker?&nteam=SDP)のCrowd Source(https://www.fangraphs.com/roster-resource/free-agent-tracker?&nteam=SDP)による3年$45Mの予想に1年分追加したような内容だ。一応オプトアウトが付いているが34歳からFA市場で2年$32M以上の契約にありつける可能性はそう高いとも思えない。

ピベッタのメインかつ最も特徴ある球種は4シームだ。全体のうちほぼ半分の割合で投げる球種で平均球速は93.9mphと特段速いわけではないが、引力の影響を除いた垂直変化量を表すiVB(induced vertical break)は19.9inchで、昨年500打席以上対戦した投手の中ではトップ(https://baseballsavant.mlb.com/leaderboard/custom?year=2024&type=pitcher&filter=&min=500&selections=pa%2Ck_percent%2Cbb_percent%2Cwoba%2Cxwoba%2Csweet_spot_percent%2Cbarrel_batted_rate%2Chard_hit_percent%2Cavg_best_speed%2Cavg_hyper_speed%2Cwhiff_percent%2Cswing_percent%2Cff_avg_break_z_induced&chart=false&x=pa&y=pa&r=no&chartType=beeswarm&sort=ff_avg_break_z_induced&sortDir=desc)だ。長身から投げ下ろすフォームから高めのコースに放り、浮き上がったボールの下をバットが空を切る。
【2/14追記】しかしピベッタの4シームの浮き上がりは、単にiVBが示すほど打者にとって意外ではない可能性は言及しておきたい。ピベッタのリーグトップの4シームiVBは高いArm Angle(水平から測った腕の角度)に拠る部分が大きい。2024年ピベッタのArm Angleは56.4°で、この角度は先の延べ500人以上の打者と対戦した102投手中8番目に高い。横手投げよりも上から投げ下ろす腕の振りならばボールの回転は時計の針が示すところの12時に近づけやすいことは感覚的にも理解が難しくはないだろう。なお同サンプルでArm Angleと4シームiVBの間におけるr2は0.31で、若干の相関が見られる。

Source: Baseball Savant 【つかみ男】

同102投手の平均Arm Angleは39.6°で平均4シームiVBは15.3inchだが、Arm Angle50°以上の投手における平均4シームiVBは17.4inchと大きくなる。打者は当然この差について理解しているはずで、打者から見てピベッタの4シームが余計に浮き上がるように見える変化量は4.6inch(19.9-15.3)ではなく2.5inch(19.9-17.4)程度だろう。

変化球は対右打者にスイーパー、対左にはカーブを多用する。年々球種を試しては入れ替えており、昨年はカッターとスライダー。他球種のピッチモデル指標も悪くなく空振りは平均程度だが三振をよく取り(28.9%)四球も少ない(6.1%)が、Hard Hit%が高いフライボール投手のためホームランの多さが泣きどころだ。

フライボールがホームランになる割合HR/FBは昨年MLB平均の11.6%に対してピベッタは15.1%、キャリアでも15.5%と高い。四球の少なさから逆に窺えるがブレイク・スネルの様にギリギリのコースを攻めるタイプではない。右打者のHRがフェンウェイパークより出やすいペトコパークでどう抑えるかが活躍へのカギとなる。

なおピベッタは$21.05Mのクオリファイングオファーを前所属球団BOSから提示されるも断りFAに。そのためパドレスは上から2番目のドラフト指名権と国際FAボーナスプール金$0.5Mを喪失し、BOSは全体77番目指名権を得ることになる。またパドレスの球団年俸は贅沢税算出ベースとなるAAV(均等割額)で$259Mに到達し、贅沢税第一閾値の$241Mを超えている。

一時期年俸削減のためトレードの噂があった今季年俸$13.75Mのディラン・シースは残留の見込みが強まっている。逆にもしシースを放出しなければならない懐事情なら、年平均額では同額で年上のピベッタをわざわざ獲得せずシースを残留させる選択をしていただろう。そのためもし削減を要するなら今季$14MでFA前最終年のルイス・アラエズや、同年俸$10Mで今季終了後オプトアウト権を得るロベルト・スアレスの放出の方がより現実味を帯びていそうに映る。ジェイソン・アダムジェレマイア・エストラーダでも抑えは務まりそうで、先発投手より代わりが利きやすい。放出の要不要はまだ明らかではない今季の予算次第だろう。

契約ベースだと今季年俸は$207M程度でMLB9位。贅沢税のペナルティは去年一度閾値をくぐりリセットされていることもあり、課税の回避よりも直近の支払い抑制が優先されているようだ。今年ようやくエリック・ホズマーへのパドレス負担分$12.85Mが終わりキング、アラエズ、シースはFA。ただマニー・マチャドへの払い分は$17.1Mから来年$25.1Mに上がる。ピベッタの獲得も戦力的にはプラスだがロースターの高齢化に拍車をかけているので、ジャクソン・メリルの様な若手の台頭が投手陣にも待たれる。

もし放出なく開幕を迎えたなら、パドレスの先発ローテーションはこんな感じだ。

1. ディラン・シース
2. マイケル・キング
3. ダルビッシュ有
4. ニック・ピベッタ
5. マット・ウォルドロン/ランディ・バスケス/スティーブン・コレック

ジョー・マスグローブをトミージョン手術で1年欠いたローテーションだがなんとかプレーオフを狙える面子が揃っている。

ピベッタ補強の総評としてはドラフトピックも含めるとやや払い過ぎだが、今年どうしてもキャッシュの都合がつかないという制約の中でローテーション中盤の投手を獲得できたという点において妥当な範疇の補強だろう。

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