「子どものため」が「虐待」に。小児科医が警鐘を鳴らす「教育虐待」とは
塾や習い事、受験対策と、わが子の将来を思って熱心に教育を施す親が増える中、「子どものため」と思って行う教育が、実は深い心の傷となって子どもを追い詰めているケースが増加しています。
子どもの神経発達の診療や研究の第一人者で、「小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て」の著者でもある、小児科医・高橋孝雄先生と、自身も幼少期から教育虐待を経験してきた映画監督・古新舜さんが、増加する"教育虐待"の実態に迫ります。
「子どものため」という思いが引き起こす静かな悲劇
「親には虐待をしているという認識がまったくありません。『子どものために』という強烈な善意に基づいているので、それが虐待行為だということに気付かないのです」と高橋先生は説明します。
4歳からの東大進学、その先にあった現実
親の方針で幼少期から進学塾に通い、東京大学を目指して英才教育を受けてきましたが、小学校から高校までずっといじめを受けてきたといいます。大学受験では東大に不合格。それを機に引きこもり、自殺を考えたこともあったそうです。
「両親も、私を思ってのことだったと今では分かります。でも、当時の私には『なぜ自分の気持ちを全く聞いてくれないのか』という深い孤独感しかありませんでした。その結果、心を病んでしまったんです」と古新さんは当時を振り返ります。
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小児科医が警鐘を鳴らす「教育熱心」の落とし穴
「子どもがどう感じたかで決まります。10年後、20年後、30年後に『あれは辛かった、ひどすぎる』と思い返したとしたら、“あれ”は教育虐待だったと言えます。ただ問題は、虐待を受けている時点では、子ども自身もそのことに気付いていないということです。お父さんやお母さんは自分のことを思ってくれているのだと、虐待という概念すらないのが本当に切ない」と高橋先生は語ります。
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