<初シード選手ご紹介>「俺たちにオフはない」坂本雄介の“サカモトデイズ”
坂本雄介(さかもと・ゆうすけ)はつい先日も愛妻から「シーズン中より家にいないよね」と、指摘されたばかりだ。
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言い訳しない。
「俺たちにとってはオフも仕事」と、暇さえあればジム通い。
昨季、9月の「パナソニックオープン」で自己最高の4位を記録し、初賞金シードを確定させると、すぐ翌週の「パナソニックオープン」で、2週続けて最終日最終組でプレーし3位に。
「調子もよかったので。さらに続けていければ初優勝のチャンスもあったかもしれないけど、体力が残ってなかった」。
悔恨のオフトレで、自慢の豪打にもいっそう磨きをかける日々。
練習も、シニアプロの増田伸洋(ますだ・のぶひろ)の実家が営む千葉県柏市の「双伸ゴルフセンター」に毎日通う。
レギュラー1勝で、シニア3勝の増田とは、坂本が練習場から約20分ほどの千葉県流山市に住んでいることを知った増田が、「うちで練習しなよ」と、声をかけてくれたのをきっかけに、5年ほど前から懇意にしている。
打ち込みの合間にお互い教え合ったり、時々軽口でけなし合ったり、営業後は2人でせっせと球拾い。後片付け後に増田家で奥さまの手料理に預かることもしょっちゅうだ。
「自分の家族より一緒の時間が長い」と、双方共に認める増田の初キャディを務めたのは昨年の11月。
レギュラーツアーの空き週に、「コスモヘルスカップシニア」で10月の「日本プロシニア」に続く増田のシニア3勝目をアシストした。
大学同期の“昨季賞金王”も同様である。
坂本自身は早期のプロ転向(2018年)を目指して東北福祉大を2年足らずでやめたが、金谷拓実(かなや・たくみ)のすさまじい練習量は、高校時代に在籍したナショナルチーム時から目の前で見て来た。
「あいつの居場所は昔も今もジムか練習場です。土壇場で競り勝つ強さがハンパないのもそのたまものです」と、断言できる。
昨季シーズン最終戦で逆転の賞金王に就いた金谷と自身の現在の立ち位置の差も、「そのツケ」と認めるからこそ「俺たちにオフはない」と、駆り立てられる毎日だ。
2月8日から鹿児島に飛び、先輩プロの稲森佑貴(いなもり・ゆうき)の実家の練習場で1週間の“キャンプイン”。
「プロゴルファーほどわりに合わない職業はない」。
どれほど準備万端のつもりで4月の開幕を迎えても、予選敗退が続けば稼ぎはゼロ。
むしろ、経費や交通費で毎週ン十万円が容赦なく飛んでいく。
「仕事場で大金を払って帰る職業なんて、プロゴルファーくらいじゃないのかな?」。
その代わりにハイリターンな仕事、ともいえるが恩恵に預かれる選手は数えるほど。
成績が出ないときは余計にヘコんでしまうが、それでも頑張り続ける理由はただひとつ。
「家族のためです」。
3年前に結婚した妻と2歳になる長男こそ原動力だ。
「妻には普段からワンオペを強いていますので、せめて家ではオムツも変えるし、お風呂も入れるし、ごはんも食べさせるし、寝かしつけるし、なんならシーズン中よりスーパー忙しいけど、少しでも妻が楽になるためならなんでもします」と、オフこそ寸暇を惜しんで家事や子育てに打ち込むプロゴルファー、坂本雄介の“サカモトデイズ”(※)。
昨年9月に2週連続のV争いを演じた際に愛息が、中継テレビの中の坂本に駆け寄り、「パパ、パパ」と、画面に手を振り続けていたという愛らしいエピソードは後日、妻が教えてくれた。
「嬉しかったです」と、今もニヤニヤしてしまう。
今季はもちろん初優勝や、シーズン最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」の初出場など目標はさまざまあるが、その中でも一番は「家族のために1円でも多く稼ぐこと。奥さんに1回でも多く喜んでもらうことです」と、言い切った。
※「SAKAMOTO DAYS(サカモトデイズ)」は週刊少年ジャンプで連載中の鈴木祐斗先生による大人気漫画です。
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