飛距離とやさしさを両立!PING「G440」シリーズドライバー3モデルの進化ポイントは?

スポナビGolf

【スポナビGolf】

2025年1月、PINGから「G440」シリーズが発表されました。そこでクラブフィッターの小倉勇人さんに、最新「G440」シリーズのドライバーの進化点と3モデルの特徴について解説していただきました。

G440シリーズの進化点

ついにPINGから待望のG440シリーズが発表されました。待ち望んでいた方も多いのではないでしょうか。今回は、主要なドライバー3モデルをご紹介します。

PINGは「難しいクラブは作らない」という理念のもとでクラブ開発を行っているメーカーです。

前作のG430シリーズは、ミスヒット時でも飛距離ロスが少なく、方向性にも優れている点が評価されました。PINGが考える「やさしさ」とは、「芯を外したり、打点がばらついたりした場合でも、安定した飛距離を出せること」だと考えられます。G430は、そのような「やさしさ」を具現化したバランスの取れたクラブだと言えるでしょう。

今回のG440シリーズでは、「PINGがブレた!?」というキャッチコピーが使われていますが、これまでの「やさしさ」を維持しつつ、「飛距離」も追求したモデルになっていると感じます。

また、G440シリーズでは、低重心化が大きな進化点の一つです。PINGは、この低重心化を「飛び重心」と表現しています。PINGが追求する「やさしさ」を実現するためには、重心を深くすることが重要ですが、重心が深すぎると、重心位置が高くなってしまうという課題がありました。

【スポナビGolf】

PINGは「理想の重心ライン」という表現を用いていますが、フェース面にロフトがついている限り、重心を下げれば下げるほど、フェース面から直角に引いたライン上に重心点が位置するため、フェース面の重心点は上がってしまいます。

これを低く維持しながら重心を深くすることは非常に困難です。PINGはG410、G425、G430と、重心を下げながらできる限り低重心化を図ることで、やさしいモデルを作り続けてきました。

【スポナビGolf】

今回のG440シリーズについて、PINGは「ブレた」という表現を用いていますが、開発の重点は重心を深くすることではなく、スピン量を減らすための低重心化に置かれています。

【スポナビGolf】

従来の「やさしさ」を維持しつつ、重心点を下げることで、PINGが理想とする重心ラインに、前作よりも48%近づきました。

低重心化に重点を置いて開発しつつ、やさしさも両立させた点が、今回のG440シリーズの進化における重要なポイントの一つだと考えられます。

【スポナビGolf】

具体的なテクノロジーとしては、前作から引き継がれているものが多くあります。その一つが「カーボンフライ・ラップ・テクノロジー」です。これは、クラウン部分にカーボン素材を使用し、トゥ側からヒール側にかけて巻き込むように配置することで、軽量化と高剛性化を実現する技術です。

【スポナビGolf】

前作ではG430 MAX 10KとLSTに採用されていた「カーボンフライ・ラップ・テクノロジー」が、今回はMAXとSFTにも採用され、全モデルに搭載されました。この技術が初めて採用されたMAXとSFTでは、クラウン部分が前作に比べて約34%軽量化されています。

【スポナビGolf】

さらに、「新フリーホーゼルデザイン」を採用することで、従来のホーゼルデザインでは強度確保のために必要だった金属製のカバーを見直し、ヘッド内部のホーゼルカバーをなくすことで、約13%の軽量化を実現しました。

【スポナビGolf】

今回のG440シリーズでは、ホーゼル部分の形状が変更されました。しかし、ご安心ください。形状は変わりましたが、G430とG440のスリーブには互換性があり、共用可能です。

【スポナビGolf】

フェース面についても改善が加えられています。全体的な見直しにより、前作に比べて中心部で約4%、周辺部で約7%薄くなり、フェース重量は約7%軽量化されました。

【スポナビGolf】

これにより、かなりの余剰重量を生み出すことができ、その重量をウェイトに配分しました。ちなみに、MAXモデルでは、ヘッド重量の15%を占める余剰重量を集約した高比重のウェイトを搭載しています。

【スポナビGolf】

低スピン化を促進する低重心化を進めながらも、やさしさを維持するという進化が、今回のドライバーのすべてのモデルに適用されています。

G440 MAXドライバーの特徴

【スポナビGolf】

【スポナビGolf】

G440 MAXドライバーは、前作のG430と比べると、形状的にやや小ぶりに見えます。実際に投影面積も若干小さくなっています。

【スポナビGolf】

ポンと置いた時の座りの良さも改善されており、左へのイメージが湧きにくくなっています。これは非常に良い進化だと思います。

【スポナビGolf】

つかまらないというわけでは決してなく、非常にニュートラルで、わずかにつかまる要素を持っている程度です。

大型ヘッドにありがちな右へのプッシュは、スイングによって生じる部分があるため、どうしてもフェース面を大きく開く人にとっては、戻しきれずにプッシュアウトしてしまうケースもあるかもしれません。しかし、基本的に振り心地は良くなった印象があります。

私が言う振り心地とは、ローテーションした時のヘッドの挙動、つまり動かしやすさのことです。実際に振りにくいと感じる人は、前作に比べて減るのではないでしょうか。

わずかに振り心地というか、戻しやすさを感じました。前作に比べて振りやすく進化したモデルになっています。

G440 SFTドライバーの特徴

【スポナビGolf】

続いて、G440 SFTドライバーについてです。このクラブは「ストレートフライトテクノロジー」という名称が示す通り、程よいつかまりを実現するヘッドとして、過去のG425、G430シリーズから継続して採用されているモデルです。

【スポナビGolf】

今回のG440 SFTの最大の変更点は、ロフト角9°のラインナップが追加されたことです。

つかまるモデルは、ボールがつかまりやすいため、球が上がりづらい傾向がありました。しかし、スライスをしながらも高く上がってしまい、スピン量が過剰に増えてしまうゴルファーも一定数存在します。そのようなデータを元に、ロフト角9°が追加されました。

基本的な構造はMAXと同様に「カーボンフライラップテクノロジー」が採用され、フェースも軽量化されています。また、ウェイトもしっかりと搭載されています。

【スポナビGolf】

ウェイトポジションは2種類あり、「DRAWポジション」と、さらにつかまりを強化した「DRAW+ポジション」に調整できます。アジャスト機能も搭載されており、まさに正常進化と言えるでしょう。

実際に打ってみると、G430 SFTと比較して振り抜きが良くなっていると感じます。より安定して、適度につかまる球が直進性の高い弾道で飛んでいく印象です。本当に正常進化です。

SFTのコンセプトはそのままに、飛距離追求型に進化していると言えるでしょう。

G440 LSTドライバーの特徴

【スポナビGolf】

3本目はG440 LSTドライバーです。このクラブは「ロースピンテクノロジー」という、これも代々受け継がれているブランドです。

今作の中で最も恩恵を受けるモデルというわけではありませんが、コンセプトとクラブの進化が一致しているモデルと言えるでしょう。

実際に打ってみると、「まさにLST」といった印象です。MAXでも述べたように、Gシリーズのコンセプトはスピン量が増える方向に傾きがちですが、LSTは、ある程度のやさしさを維持しつつ、操作性も加味することで、低スピンのボールを打ちやすくしています。今回のG440 LSTも、その方向にしっかりと進化していると感じます。

やはり大型ヘッドなのでそんなに簡単に操作できる感じではなくて、あくまでもある程度操作感を入れつつ、直進性の高い低スピン弾道が打てるクラブに進化したような感じを受けました。

今回はロフト10.5°を試打してギリギリだなという感じでした。ロフト9°は少し球が浮ききらない感じです。極端な低スピン化、いかにもドロップしそうなクラブとは違い、やはりPINGの中のシリーズなので一定数やさしさは確保されていると考えると、極端な低スピンではなく安定した強い球が打てるモデルになっています。

3モデルのおすすめユーザー

【スポナビGolf】

3モデルを実際に打ってみて、G430と比較して確実に進化していると感じました。

【スポナビGolf】

どのモデルも体感的にスピン量が減った印象です。そのような点から、「PINGがブレた!?」と表現したのは、やはり飛距離を意識して開発されたモデルだと試打して感じました。

PINGには「やさしさ」の代名詞というイメージがありますが、G440もその期待を裏切りません。とてもやさしいクラブです。

「やさしい」という点に加え、「過去モデルと比べるとどうですか」と聞かれれば、「スピン量が減っている=飛ばしやすくなっている」という点が大きな進化点です。どのモデルも確実に進化した印象です。

【スポナビGolf】

試打した結果、最も進化を感じたのはMAXドライバーでした。最も安定してボールを打てるポジションでは、私の感覚ではスピン量が100くらい減り、ボールが前に飛ぶような印象がありました。今まで通りの球筋で、弾道が前に伸びるようになったと感じています。

【スポナビGolf】

右方向へのスライスが大きい、あるいは球がつかまらないとお悩みの方には、SFTモデルがおすすめです。

スライスやプッシュアウトに悩むゴルファーは一定数いらっしゃいます。弾道調整機能で調整することも可能ですが、専用のクラブを使用する方が安定する方もいます。そのような方にはSFTモデルが適しているでしょう。

【スポナビGolf】

LSTは、やさしいクラブ作りで定評のあるPINGが、やさしさを維持しながら飛距離性能も追求した、ある意味で欲張りなゴルファー向けのモデルに仕上がっています。

よほどパワーのある方で、しっかりボールをつかまえて打てる方でなければ、MAXで十分でしょう。LSTは低スピン性能の魅力に加え、扱いやすさも兼ね備えています。

私個人としてはLSTを選びますが、最終的には好みで選んでいただければと思います。今回のG440シリーズは、メーカーが謳うように飛距離性能が向上していますが、決して難しくなったわけではありません。

前作G430シリーズのドライバーもチェック

【スポナビGolf】

※本記事はスポーツナビが独自で企画したものです。記事内の商品選定や評価はスポーツナビまたは出演者の方の判断にもとづいています。記事内で使用している商品画像はメーカーから画像・サンプルをお借りした上で使用、撮影しています。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

ゴルフメディアで活躍する識者たちが、人気のギアを徹底解説! ドライバーからアイアン、パターといったクラブ一式はもちろん、シューズやウェア、距離計など、ゴルファー必須のあらゆるギアをご紹介していきます。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント