セパ12球団・補強診断

セパ補強診断ー中日、ヤクルト、広島編 立て直しが求められる昨季Bクラス組の期待の新戦力は?

データスタジアム株式会社

ヤクルト 評価B

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 2022年のリーグ連覇以降、その後は2年連続で5位に沈んでいるヤクルト。昨季はリーグワーストの失点数を喫しており、投手陣の立て直しが課題といえる。

 そうして迎えたオフには、サイスニードやヤフーレといった助っ人4投手が退団となり、新たにランバートとバウマンの2名が加入した。ランバートは150キロを超えるストレートに加えて多彩な変化球を操り、昨季はメジャーで3先発を含む28試合に登板している。通算では35試合の先発経験があり、ヤクルトでもスターターとして起用されることになりそうだ。一方のバウマンは、長身から投じる剛速球にナックルカーブやスライダーを織り交ぜるピッチングスタイルが特徴。メジャーでは23年に60試合、昨季も57試合に登板した実績を誇り、勝ちパターンの一角として期待されるところ。また、現役ドラフトでは直近3年で127試合に登板している矢崎拓也の獲得に成功した。リリーフでは柴田大地や今野龍太がチームを去ったものの、ブルペン陣に実績十分な右腕を加えている。さらに、ドラフトでは昨年3月に侍ジャパンのトップチーム入りを経験した愛知工業大の中村優斗を1位で指名。3位ではリリーフ左腕のセガサミー・荘司宏太を指名するなど、今オフはここまで即戦力として期待できる投手を数多く補強している。

 一方、昨季リーグ2位の得点数を記録した野手では、FA権を行使した楽天の茂木栄五郎を獲得した。近年は内野手のレギュラーを固定できているものの、山田哲人の成績低下やコンディションに対する不安は高まっており、そこをケアするための補強となった。また、主砲・村上宗隆は来オフのメジャー挑戦が確実視されており、茂木の加入は来季以降を見据えても効果的といえるだろう。チームの精神的支柱だった青木宣親が現役を引退した外野陣は、ドラフト2位のモイセエフ・ニキータが高校生スラッガーとして注目されるも、即戦力選手の補強はなかった。青木とともに連覇に大きく貢献した塩見泰隆の復活が、今季のチームの浮沈を分けることになりそうだ。

 今オフのヤクルトは、外国人投手の入れ替えやFA戦線に乗り出すなど、積極的な補強の姿勢が目立った。先述の通り、村上が在籍する今季はチームにとって勝負のシーズンであり、25年は勝負の年と位置づけている様子がうかがえる。昨季と比較して助っ人投手が2名減った上で今野を金銭トレードで放出していることから、今後も助っ人投手の補強はあるかもしれない。

広島 評価C

【データスタジアム株式会社】

 昨季は首位で9月に突入するも、最終的にクライマックスシリーズへの進出を逃した広島。チーム成績を見ると防御率はリーグ3位だったのに対し、打率と本塁打数はリーグワーストだった。これは外国人のレイノルズとシャイナーがともに故障で力を発揮できなかったことが響いており、今オフは新たに2名の助っ人野手を迎え入れて立て直しを図っている。

 一塁と三塁をこなすモンテロは、2022年にメジャーデビューを果たすと、以降の3年間で通算205試合に出場して21本塁打を記録。マイナーでは過去3年続けてOPS.900超えの好成績を残しており、球団からは速球に対する強さを評価されている。外野手のファビアンは昨季マイナーで116試合に出場し、打率.270、17本塁打をマーク。両選手は年齢が26歳と比較的若く、来日後の伸びしろにも期待したいところだ。また、昨秋のドラフトでは、青山学院大のスラッガー・佐々木泰を1位で獲得しており、得点力の強化に向けた動きが目立つオフシーズンだった。

 一方の投手陣では、先発ローテーションを長年支えた九里亜蓮がFAで移籍した点は痛手となった。新加入選手のほかにも、23年ドラフト1位の常廣羽也斗らでその穴を埋めたいところ。また現役ドラフトでは、リリーフとして実績のある矢崎拓也が退団し、ユーティリティー内野手の山足達也とアンダーハンドの鈴木健矢が加入した。現役ドラフトは、他球団から需要の高い選手を放出すると、指名順が上位になるシステムがある。広島は矢崎を放出した上で、2名の獲得に乗り出していることから、昨年の現役ドラフトを補強の場として重きを置いていた可能性がある。この方針が功を奏するのか、新加入の2人には今季の活躍を期待したい。そして、助っ人では長身右腕のドミンゲスを新たに迎えた。昨季はマイナーで主に先発として28試合に登板し、シーズン後にはドミニカ共和国のウインターリーグでリリーフとして活躍している。

 昨季の広島の特徴として、チーム全体に占める外国人選手の出場割合が非常に少なかったことが挙げられる。外国人選手の投球回数、および打席数はともにリーグ最少となっており、外国人の不調と層の薄さが上位球団との差につながってしまった。今オフは戦力の流出があり、かつ限定的な補強となっているため評価は低くなったが、新外国人のうち1名でも活躍できると大幅な改善につながる状況といえる。

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日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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