山下美夢有、最終日の不安を跳ね除けて今季2勝目

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【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 JLPGAツアー2024シーズン第36戦『第43回大王製紙エリエールレディスオープン』(賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円))最終日が11月17日、愛媛県松山市・エリエールゴルフクラブ松山(6,575ヤード/パー71)で行われた。山下美夢有がトーナメント記録更新となる通算22アンダーで今季2勝目、ツアー通算13勝目を飾った。2打差の通算20アンダー、2位に鈴木愛、通算17アンダー、3位に竹田麗央とウー チャイェン。
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《グリーン=スティンプ:11 3/4フィート コンパクション:22mm》

 昨年まで2年連続年間女王に輝いた山下美夢有。その座を竹田麗央に譲ったとはいえ、今季はメルセデス・ランキングでの2位は確定している。その山下が今大会で2位以下に4打リードで最終日を迎えたとなれば、かなりのアドバンテージなのは間違いない。実際、ホールアウトまでほかの選手に追いつかれたことは一度もなく、終盤追い上げてきた2位の鈴木愛に2打差をつけて逃げ切り、第1日から最終日まで首位の座を譲らない完全優勝を飾った。

 ただ、山下自身はラウンド当初、不安からくる緊張感に襲われていたという。「今季は最終日の難しさを特に感じていて、スコアを伸ばさなければいけないと思っていたからです」と理由を語る。確かに、今季の山下は、最終日を首位で迎えた試合が3回あり、ことごとく優勝を逃している。特に、日本女子オープンでは最終日にスコアを落として3位に終わっているが、今回と同じ4日間大会だっただけに緊張するのも仕方がないだろう。

 1番から7番ホールまでバーディーを1つも奪うことができなかったが、救いだったのは、猛烈な追い上げをしてくる選手がいなかったことと、山下がスコアを落とさなかったことだ。そんな状況で、ふと山下の頭をある考えが過った。「もう深く考えることはやめよう。リズムだけ考えてプレーしよう」。スイングリズムやプレーのリズムなど、山下は常々リズムが大切だとコメントしているが、原点に戻る意味ではいい判断だったといえる。

【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 また、ロープの外から見ただけでは分からないが、最終日になると今季の山下には力みが発生していたという。自分ではいつもどおりにプレーしているつもりでも、スコアを伸ばしたいという気持が力みにつながっていたのだ。「だったら、第3日のようにプレーしようと気持ちを切り替えました」。すると、いきなり8番ホールでバーディーを奪う。その後は2つのボギーを叩いたが、バーディーも4つ奪い、68でホールアウト。パー71の試合では、トーナメントレコード、そしてツアーレコードを1打更新する通算22アンダーをマークした。

 もっとも、山下自身は記録更新について喜んではいない。「残り2試合となった状況で、今季2勝目を挙げたことがうれしいです」。複数勝利を挙げることの難しさを知っているからこその気持ちだが、同時に、追われるものの緊張感に打ち勝ったことにも価値を感じている。

 12月には米女子ツアーのQシリーズ最終予選に出場予定の山下だが、今回の優勝はそれに向けていい弾みとなった。「そこでもしっかりと結果を残し、もっとゴルフ界を盛り上げたいです」。目標である海外メジャー制覇に向けて、ひと皮むけた山下が新たなスタートを切った。(山西 英希)

【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

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