正しいアドレスのセオリー「骨盤前傾」は万能じゃなかった!? 「後傾」したほうがスイングが大きくなる人もいる?
【ゴルフサプリ】
前回まで2回にわたって紹介したマック3スピードトレーニングは、東京・目黒区碑文谷にあるサーフゴルファーズが導入したシステムだが、ここにはスポーツクリニックもある。今回は、そのサーフゴルファーズの代表である木村晋氏から石井良介が聞いた、ゴルファーに特有の痛みとアドレス時の骨盤の話を紹介。
※リンク先は外部サイトの場合があります
セオリーとされることも自分に合っていなければセオリーじゃない
そもそもサーフゴルファーズは「スイング解析ができる治療院を作りたい」との想いを実現した木村晋さんが代表を務めておられ、3Dモーションキャプチャシステム・GEARSのスイング解析を軸に、ゴルフコーチ、フィジカルトレーナー、メディカルセラピストがチームとなり、ゴルファーのサポートをワンストップで提供する施設。マック3はそのセクションの一つという位置付けと考えていいでしょう。
僕がマック3を体験したタイミングで、たまたま木村さんとお話しする機会を得られました。読者のみなさんにも役立ちそうなネタを仕入れたので、ここで紹介したいと思います。
ちなみに木村さんは、はり師・きゅう師の国家資格取得者で、ロッテ葛西ゴルフ内の葛西ボディケアセンターでゴルファーの専門治療に従事され、これまで3000人ものゴルファーを治療しておられます。また、タイトリスト・パフォーマンス・インスティテュート(TPI)のボディスイングコネクション理論に基づいたスイング解析と、鍼灸+カイロプラクティックを融合した治療法も確立されています。
原因は自分でも薄々わかっています。以前から「お前、器用だね。運動神経いいね」とか言われて調子に乗っていたんです(笑)。器用であるがゆえに運動動作を誤魔化してうまいことやってきた。ですから代替しているだけでハイパフォーマンスは出ない。そこで、いい機会とばかりに、自分の痛みについて木村さんに相談したところ、そもそもスイング中にそう動いていると指摘されました。
「石井プロの症状から、胸郭出口症候群の一種の射角筋症候群が疑われました。スピードボンバーを振った時に、肩がアゴにすごく近づいていたのでそれかなと。斜角筋の間からはたくさんの神経が出ていますが、首筋をグーッと張った時に筋肉が緊張しすぎて神経を圧迫している。あるいは、鎖骨の下が張った場合も、そこが神経を圧迫されて痺れが出る可能性があるんです」と木村さん。さらに、痛みを防ぐために、胸郭の外側にある前鋸筋を使う意識をもって、とアドバイスをいただきました。さっそくやってみると、今まで痛かったところがパタっと痛くなくなったんです。
【ゴルフサプリ】
こんな話も聞きました。バックスイングやフォローを大きくするなら骨盤を後傾させる必要があるというのです。骨盤を前傾させるのがゴルフの基本姿勢と教えられている昨今、“え!”と思う人が多いのではないでしょうか。理由は以下の通りです。
「股関節の内旋の領域を広げることでバックスイングやフォローは大きくなりますが、骨盤を前傾させるのは、股関節を内旋させる動きに対しては逆の動き。前傾させるとロックがかかり、股関節が内旋しなくなります。構える段階では前傾していていいですが、例えばフォローに向かってお尻プリンのままでは最後まで振りきれません。プロは骨盤が自然に後傾してきます。わざとそうしているわけじゃなく自然な動き。これを出さなきゃいけないから、逆に姿勢にこだわるのです」と木村さん。もちろん、これをできるようにするエクササイズもあるそうです。
実は、長きにわたってセオリーとされていることの中にも、セオリーじゃないものがある。ある人にとってはセオリーでも、万人にとってのセオリーではないということです。確かに、そんな迷宮にハマってしまったら、いつまで経ってもスイングは機能しません。動画を見たり記事を読むこと、レッスンを受けることも必要かもしれませんが、それでもうまくいかなければこういうアプローチの仕方もあるんだなと思った次第です。
※リンク先は外部サイトの場合があります
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。
【ゴルフサプリ】
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ