秋季関東大会は横浜、東海大相模が双璧 センバツ連覇がかかる健大高崎などが神奈川勢を追う

上原伸一

県初優勝を飾った3校も力がある

中央学院、成田、専大松戸、拓大紅陵など強豪校を次々と撃破。初めて千葉県を制した千葉黎明は、粘り強い戦いで関東大会でも勝ち上がれるか 【YOJI-GEN】

 秋の県大会でいずれも春・夏・秋を通じて初優勝を手にした3校、つくば秀英(茨城)、浦和実(埼玉)、千葉黎明(千葉)も力がある。

 つくば秀英は夏の決勝で敗れた霞ヶ浦に秋の決勝で雪辱を果たした。この試合、貢献大だったのが、夏も正捕手だった稲葉煌亮(2年)だ。中郷泰臣(2年)、齋藤柾希(2年)、羽富玲央(2年)という3人の投手を上手くリードし、チームの継投パターンで勝利に導いただけでなく、打っては5番打者として4打数3安打3打点と、攻守の要として機能した。稲葉の後を打ち、長打力がある4番の知久耀(2年)も頼りになる。

 櫻井健監督は花咲徳栄OB 。2015年夏に背番号12の控え捕手として甲子園に出場した経歴を持つ。

 浦和実は準々決勝で埼玉の盟主・浦和学院を破ると、勢いそのままに、1975年の創部以来初の頂点に立った。

 浦和学院に土をつけた立役者はエースで変則左腕の石戸颯汰(2年)だ。7回2死までパーフェクト投球を続け、完封勝ちを収めた。石戸は西武台との決勝でも1失点完投。打者に的を絞らせない投球が持ち味だ。石戸とともにダブルエースを形成するのは駒木根琉空(2年)。こちらは力のあるストレートで勝負する。

 関東大会でもチームの信念である「一球への執念」を見せる。

 千葉黎明は今秋、予選で1度負けている。東京学館との代表決定戦、3-5で敗れた。しかし、敗者復活戦から9連勝。創部以来初の県優勝を飾った。

 主将でショートの山本大我(2年)、セカンドの篠原翔空(2年)、捕手の川村力斗(2年)と守備の要は旧チームからのレギュラー。3番を打つ山本は好打者で、10年ぶり2回目の関東大会出場がかかる専大松戸との準決勝では、逆転3ランを含む3安打5打点と活躍した。

 就任3年目の中野大地監督は秋の決勝で下した拓大紅陵のOB。明治大、日産自動車、JFE東日本でもプレーした。

約20年ぶりの甲子園出場を目指す2つの古豪

栃木大会優勝の佐野日大は2014年センバツ以来の甲子園出場へ、まずは平塚学園と対戦する。エースの洲永(左手前)は今大会屈指の好左腕だ 【YOJI-GEN】

 栃木1位として出場するのは佐野日大。6年ぶり7回目の秋の県優勝を果たした。関東大会進出をかけた準決勝では春、夏とも県最多の甲子園出場回数を誇る作新学院を破った。

 エースは左の洲永俊輔(2年)。作新学院戦では140キロ超のストレートとスライダーを主体に4安打2失点に抑えた。

 2回戦から決勝までの5試合の総得点は34。打線はつながりがある。井上遥翔(2年)はホームランも打てる攻撃型トップバッター。クリーンナップを打つ和栗虎雅(2年)と田﨑瑛大(2年)は、宇都宮工との決勝でいずれも4安打をマークした。2014年春以来の甲子園を目指す。

 公立で唯一出場するのが宇都宮工だ。20年ぶりの関東大会がかかった県準決勝では、1年生4番打者の田島駿が2安打2打点。バットで牽引した。

 栃木の古豪は1950年夏の初出場から数えて甲子園に春夏計9回出場しており、8強が3回、ベスト4が1回。1959年夏は準優勝している。

 拓大紅陵も甲子園出場は春夏合わせて9回の実績がある。1992年夏は決勝に進出した。

 秋の県準決勝では猛打がさく裂。4番捕手の加藤玄竜(2年)は4安打4打点、2番・内田悠雅(2年)は3ランを飛ばし、3年ぶり12回目の関東大会出場を決めた。

 宇都宮工は2002年春、拓大紅陵は2004年春が最後と、ともに甲子園出場は20年以上のブランクがある。果たして両古豪にセンバツの「当確ランプ」は灯るだろうか?

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

1962年、東京生まれ。外資系スポーツメーカーなどを経て、2001年からフリーランスのライターになる。野球では、アマチュア野球のカテゴリーを幅広く取材。現在はベースボール・マガジン社の『週刊ベースボール』、『大学野球』、『高校野球マガジン』などの専門誌の他、Webメディアでは朝日新聞『4years.』、『NumberWeb』、『ヤフーニュース個人』などに寄稿している。

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