町田に立ちはだかる新国立のJ1優勝ジンクス 2度PKで地獄を見た男が挑む東京決戦
今シーズンからFC町田ゼルビアに加入した仙頭啓矢 【(c) FCMZ】
そんなチームも、シーズンを振り返れば様々な試練に直面してきた。6月12日の天皇杯2回戦は筑波大に先制するも後半終了間際に追いつかれ、最後はPK戦で屈した。ルヴァンカップは準々決勝まで勝ち進んだが、アルビレックス新潟に届かなかった。9月28日の首位攻防戦はサンフレッチェ広島に0-2、10月5日の川崎フロンターレ戦は1-4と敗れている。
もっとも町田には敗戦、試練を糧にする「しぶとさ」「成長力」がある。優勝、AFCチャンピオンズリーグ出場に向けた勝負の山場も、まさにこれからだ。
優勝を争う広島戦でスタメン出場するも、チームは0-2で敗れてしまう 【(c) FCMZ】
「4万5万の大観衆で埋まった会場で勝ち切れるチーム」こそが、J1王者にふさわしいのだろう。町田はまず、その資格をクリアしたい。
町田は過去2シーズンで通算4試合のリーグ戦を新国立で開催している。通算戦績は「2分2敗」と未勝利だ。11月9日の対戦相手・FC東京は新国立で「無敗」という好相性に対比すると、サポーターにとってはなおさら嬉しくないデータだろう。
逆の見方をするなら、新国立未勝利という高い壁を越えることは、クラブの歴史を変える――そしてJ1逆転制覇、ACL出場へ大きな弾みをつける成果になるはずだ。
新国立での横浜F・マリノス戦でもピッチに立った仙頭啓矢 【(c) FCMZ】
彼は町田加入前に「国立経験」が3試合あった。最初の2試合は旧国立で、2012年度の第91回高校サッカー選手権準決勝と決勝だ。同大会の得点王にも輝いた仙頭は、準決勝と決勝の両ゲームでゴールも決めている。しかし彼の胸に刻み込まれているのは、栄光でなく屈辱の記憶だ。
鵬翔との決勝戦は2−2で決着つかず、PK戦までもつれ込んだ。京都橘の1人目を任された仙頭はPKを失敗している。
「それまでPKは苦手ではなかったし、あのときも別に緊張していたわけではなかったんですけど……。ちょっとPKがトラウマにはなりましたね」
3試合目は2023年12月9日の天皇杯決勝だ。柏レイソルでプレーしていた仙頭は、川崎フロンターレとの大一番に後半途中から起用された。PK戦は4人目を任されたが、ポストにはじかれ失敗している。