張本智和の死闘に恩師・倉嶋洋介も感服「この一戦に勝てたら金メダルもあり得た」

C-NAPS編集部

メダルまであと1勝の早田は、準決勝で世界ランク1位と激突

苦戦しつつもベスト4に勝ち上がった早田。準決勝は最強の相手なだけに真価が問われる 【写真は共同】

 混合ダブルスで張本・早田ペアが北朝鮮のペアに敗れましたが、女子シングルスの準々決勝でもまた北朝鮮の選手が早田選手の前に立ちはだかりましたね。僕はピョンソンギョン選手については初見だったのですが、1、2ゲームを見て「何でこの選手が勝ち上がったのか」を不思議に思いました。早田選手のスピードやボールの質についていけていない印象がありました。なので「簡単に勝てる」と思ったのですが、そう簡単にはいきませんでしたね。

 1ゲーム目より、2ゲーム目、さらに3ゲーム目と試合展開が進むごとに早田選手に対応し始めていました。カウンタープレーも出始めたので、早田選手が徐々に苦しくなる展開でしたね。中国選手に近いオールラウンドなプレーを終盤になるにつれて実践していました。「こういう選手もいるんだな」というのが率直な印象です。全然情報がなかったので。

 ただ、早田選手は心の中で、「混合ダブルスで負けて、シングルスでは絶対に負けるわけにはいかない」という強い気持ちだったと思いますよ。ただ、想像以上の強さを感じていたはずです。早田選手は鋭い横回転スピンのサーブが上手で多くの選手が苦戦するんですが、ピョンソンギョン選手はお手本のようにしっかりストックするなど対応し、レシーブ技術が光っていました。終盤でピョンソンギョン選手が崩れなかったので、フルゲームまで競ったのだと思います。

 準決勝の相手は孫穎莎選手という世界ランキング1位の中国人選手です。世界で一番強いと評判の選手になります。孫穎莎選手にどんな試合ができるのかは見ものですね。女子選手もパワー、スピード、テクニックが男子レベルまで上がってきていて、孫穎莎選手はまさに男子選手さながらのボールを打ってきます。一方の早田選手も男子並みの力をつけている選手なので、この両者がどういう戦いを繰り広げるのかを楽しみにしています。スピードで崩して、早田選手得意のフォアハンドで決めきれるかが焦点になるはずです。

倉嶋洋介(くらしま・ようすけ)

【本人提供】

名門・明治大学を卒業後、協和発酵に入団。全日本選手権では2001年大会で混合ダブルス優勝、02年、04年、05年大会では男子ダブルス優勝の実績を残す。現役引退後の07年から母校・明治大学のコーチに就任し、水谷隼選手らを指導。10年には卓球男子日本代表のコーチを務め、12年には監督に就任した。16年のリオデジャネイロ五輪では日本男子卓球界初の五輪銀メダルをもたらし、東京五輪でも団体銅メダルを獲得。現在はTリーグの強豪・木下マイスター東京の監督を務めている。

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著者プロフィール

ビジネスとユーザーを有意的な形で結びつける、“コンテキスト思考”のコンテンツマーケティングを提供するプロフェッショナル集団。“コンテンツ傾倒”によって情報が氾濫し、差別化不全が顕在化している昨今において、コンテンツの背景にあるストーリーやメッセージ、コンセプトを重視。前後関係や文脈を意味するコンテキストを意識したコンテンツの提供に本質的な価値を見いだしている。

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