群を抜くパワーと向上した選球眼。若き助っ人・セデーニョの活躍の理由にデータで迫る
開幕から打線の主軸に座り、主要3部門全てでリーグ上位の成績を記録
セデーニョ選手は、オリックスとの契約以前はMLB傘下のリーグでプレーし、若くして豊かな才能の一端を示していた。今回は、セデーニョ選手のこれまでの球歴や、マイナーリーグ時代に残した成績に加え、各種の指標から読み取れる、選手としての特徴を紹介。長足の進歩を遂げている若き助っ人の魅力について、より深く掘り下げていきたい。(成績は4月30日の試合終了時点)
若くしてNPBに挑戦し、来日1年目から支配下に昇格して優勝に貢献した
プロ7年目の2022年にはAA級で109試合に出場し、打率.310、30本塁打、93打点、OPS.937と素晴らしい成績を記録。1ランク上のAAA級でもわずか14試合の出場で2本塁打を放ち、打率.291、10打点と奮闘を見せた。そして、同年オフにNPBへの挑戦を選択し、オリックスと育成契約を結んだ。
当時24歳という年齢もあって将来性に期待のかかる立場でもあったが、2023年はシーズン序盤から二軍で結果を残し、5月19日には早くも支配下選手登録を勝ち取る。一軍でも7月には月間打率.309を記録し、18試合で7本塁打、23打点と大活躍。一時は4番を務めるなど大いに存在感を発揮し、中盤戦におけるチームの起爆剤となった。
8月以降はやや状態を落としたものの、それでもシーズン通算では57試合で打率.244、9本塁打、34打点、OPS.716と一定の成績を記録。随所でパワフルなバッティングを見せてチームのリーグ優勝に貢献するとともに、今後のさらなる成長にも期待を持たせた。
そして、2024年は開幕から好調な打撃を見せ、リーグ全体で投高打低の傾向が続くなかで持ち前のパワーを存分に発揮。打線の中軸としてチームをけん引する存在となっており、来日2年目にして大ブレイクの気配を漂わせている。
MLB傘下で着実にステップを踏み、強打者としての成長を続けてきた
2019年からはシングルAに活躍の場を移し、100試合の出場で打率.271、OPS.707と一定の数字を記録。翌2020年はパンデミックの影響でマイナーリーグの試合が開催されなかったが、2021年はA+で打率.261、OPS.743と、2年前に比べて成績が改善。また、上位のカテゴリーであるAAでも、19試合で3本塁打、打率.257、OPS.741と遜色のない数字を記録している。
そして、2022年はAAで109試合に出場し、打率.310、30本塁打、93打点、OPS.937と、飛躍的に成績を向上させた。さらに、メジャーの1つ下のカテゴリーであるAAAでも、14試合で打率.291、2本塁打、10打点、OPS.764と、その実力が通用することを示した。マイナーリーグで着実にステップを踏み、2022年にその才能が花開きつつあったといえよう。
課題の選球眼が改善。打者としての完成度が高まっている
さらに、本塁打を1本放つまでに必要な打席数を示す「AB/HR」も、19.56と優秀な水準に到達。この値は同年に本塁打王のタイトルを争った浅村栄斗選手や万波中正選手を上回る数字でもあり、持ち前の長打力は指標の面においても十二分に示されている。
その一方で、選んだ四球は187打席で8個のみ、打率と出塁率の差を示す「IsoD」も.034と低かった。また、四球を三振数で割って求める、打者の選球眼を示す指標である「BB/K」も.170と極端に低く、選球眼に明確な課題を残す状態だった。
しかし、2024年は28試合に出場した時点で既に昨季を上回る11個の四球を選び、出塁率.378、IsoDは.082と、いずれも優秀な水準に到達している。それに伴い、BB/Kも.379と前年に比べて向上を見せており、より完成度の高い打者へと進化を遂げつつある。
また、AB/HRは本塁打王争いができるだけのポテンシャルを示していた前年と、ほぼ同レベルの数字を維持している。さらに、長打率も.500と前年以上に数字を伸ばしており、ISOも.204と、非常に優秀な水準に到達している。
長打率と選球眼の向上に伴い、OPSも.716から.878へと大きく改善。課題だった選球眼が大きく改善されたうえで、長所であるパワーも前年以上に増している点は、セデーニョ選手がより生産性の高い打者へと成長し続けていることの証左でもあるだろう。
2年目に成績を向上させている点も特筆もの
この傾向がNPBにおいても続いているのであれば、セデーニョ選手の今季の好調ぶりにも説明がつく。また、同一カテゴリーにおける2年目に選球眼を向上させている点もこれまでのキャリアと共通しているだけに、米球界時代と同様に、このまま年間を通じて好成績を残す可能性も大いにあることだろう。
さらなる伸びしろを残す若き大砲は、王者の屋台骨を支える存在になれるか
24歳の若さで海を渡り、ジャパニーズドリームを目指して育成選手としてNPB入りしてから1年半。MLB傘下で示した伸びしろを日本の地で存分に発揮しつつある若き大砲は、リーグ3連覇中の王者の屋台骨を支える強打者となれるか。チームの浮沈を握る存在となりつつある大器が見せる豪快な打撃から、今後も目を離すことはできなさそうだ。
文・望月遼太
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