強力な打線を誇る豊川 苦しい試合だって「全員で勝ち抜く」
抜群の攻撃力誇る東海王者 プロ注目のモイセエフ選手が軸
豊川の主砲、モイセエフ・ニキータ選手 【兵藤公治撮影】
選手も指導者も「突出した力はない」と口をそろえるが、昨秋の公式戦で1試合平均9得点は出場校中4位、チーム打率3割9分5厘は2位と強力だ。
もともと足が速い選手が多く、機動力を使いながらしぶとくつないで得点する攻撃が持ち味だった。それに加えて、8月に毎朝6時からバットを振り続けた成果からか、秋は打撃陣が奮闘した。
打線の中心は、プロ注目のスラッガーに躍り出た3番のモイセエフ選手。両親がロシア出身で、昨秋の公式戦は打率5割7分6厘、6本塁打と驚異的な数字を残した。長谷川監督は「走者をためた状態でモイセエフに回せば期待できる。そんな存在が一人いるのが大きい」と全幅の信頼を置く。
攻撃の活性化と得点力のアップには下位打線の働きも欠かせない。特に6番に座る主将の鈴木選手は勝負強く、簡単に空振りしない粘り強さを兼備し、「嫌らしい打者」となっている。
投手力と守備力にも注目
秋季東海大会決勝で力投する豊川の鈴木爽太投手 【兵藤公治撮影】
鈴木投手はストレートの球速こそ130キロ台中盤ながら、力強く腕を振り、強気に内角を攻める投球術が持ち味。微妙に変化する直球に加え、2種類のスライダーを投げ分ける。明治神宮大会の星稜戦は、左肘の違和感を抱えて思うような投球ができず、悔しさが残った。左肘を回復させながら地道なトレーニングを積み重ねた冬の成果を、甲子園で発揮したい。
鈴木主将は「例年以上に元気があって、全員で同じ方向を向くことができる」と団結力の高さに自信をにじませる。練習前の日課として全員で「熱唱」する校歌を、春の甲子園で響かせる。