能登半島地震を受けて北陸からの声 富山グラウジーズ・水戸健史の考える「B.LEAGUEができること」

大島和人

B.LEAGUEの作り出す「きっかけ」

1月27日に開催されたホームゲーム千葉J戦 【(C)B.LEAGUE】

――クラブとしての募金活動もあったと聞いています。水戸選手ご自身は、そういう活動にはどのような気持ちで取り組んだのですか?

 僕らバスケ選手が被災した方たちのためにできることって、そんなに多くはないかもしれません。ただ「きっかけ作り」の一つになればいいかなとは思います。

 実際に自分が被害に遭っているわけではないので、被害に遭われた方たちの思いは正直分かりません。でも避難してきた子たちがバスケをして、笑顔が戻って……という話を聞くと、そういう活動はすごく大事だなと実感します。少しでもいい影響を与えられるなら、自分ができることはどんどんやりたいです。

――ファン・ブースターから募金を集めて被災地・被災者に送る、一緒にプレーして笑顔を取り戻してもらう、というのは間違いなく意味のある活動ですよね。B.LEAGUEのクラブ、バスケ選手だからできる、一般の人にはできない被災地、被災者への貢献があると思います。そこについてはどうお考えですか?

 今回やったようなことが、すべてかもしれません。我々は選手ですし、バスケを通して誰かに何かを与えることしかできません。何億円も寄付ができるわけじゃないですし、相手がバスケをやっている子に限られてしまいますけれど、でもその活動が野球、サッカーと色んなジャンルに広がればいいですよね。誰かに影響を与える、一つのきっかけにはなるはずです。そうやって輪が広がっていけばいいかなと思います。

「誰かに影響を与える、一つのきっかけにはなるはず」と水戸選手 【(C)B.LEAGUE】

 水戸選手の誠実で地に足のついたコメントに、納得させられる取材でした。震災直後は「何かしたいけれど、何をすればいいかわからない」「できることが少ない」というもどかしさを感じた人もいたでしょう。

 ただ、B.LEAGUEのクラブ、選手には「求心力」「発信力」があります。影響力のある選手が先頭に立って「何か」を始めて、それを発信することで、あとに続く人が出るはずです。

 1月1日の能登半島地震からそれなりの時間が経過しました。被災地を除けば既に日常が戻り、多くの人は当時の記憶も薄れているでしょう。しかし皆が「忘れた」今こそ、復興に向けた様々な活動がスタートする、本当の意味で支援が必要となるタイミングです。

 水戸選手の実直な言葉が、バスケファンの心を捉え、支援促進の「きっかけ」となることを願ってやみません。
■「そなえてバスケ supported by 日本郵便」クラブ対抗「そなえてバスケ杯」開催概要
【実施期間】
2024年2月6日(火)~3月24日(日)
【開催内容】クラブが行う「ディフェンス・アクション(防災バスケ)」とファンが参加する「ヤフー防災模試」を活用した「ファン防災アクション」を実施。クラブ対抗で2つの防災アクションの合計ポイントを競い、最も高いポイントを獲得したクラブが優勝いたします。

※リンク先は外部サイトの場合があります

【(C)B.LEAGUE】

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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