相撲部屋潜入企画 お相撲さんの生活に迫る

お相撲さんの毎日の生活って? 宮城野部屋の力士たちの暮らしに迫る

飯塚さき

インタビューに答えてくれた天照鵬(写真左)。関取となり現在は個室で生活するが、大部屋での日々も時に恋しくなるそうだ 【写真は共同】

雑用からの解放 関取の暮らしは「快適」

 関取に上がると、給料がもらえる、化粧まわしや色とりどりの締め込み(本場所でつけるまわし)を締められるなどのさまざまな好待遇があるが、そのうちのひとつが個室での生活であろう。宮城野部屋には、計4つの個室が用意されているという。昨年9月場所で見事新十両に昇進し、大部屋から個室へ移動した、十両の天照鵬関に、普段の生活について聞いてみた。

「個室での生活は快適ですね。趣味は野球観戦で、実際に球場に見に行くこともあるんですが、部屋でこうしてテレビで見ることも多いです。とにかくスポーツを見るのが好きで、格闘技や柔道もよく見ています。自分は相撲しかやってきていないので、いろんなスポーツの魅力に触れていたくて。実際に体験もしたくて、山梨まで柔道をしに行ったこともあるし、息抜きでキャッチボールをしたりバッティングセンターに行ったりすることもあります」

 下積み時代の雑用から解放され、朝稽古後の時間を有意義に使うことができる関取衆。昼寝で疲労をとることも大事だが、午後にトレーニングに行ってさらに体を追い込む日もあるという。

 また、後援者との食事会など、日頃お世話になっている方との付き合いが一気に増えるのも関取ならではのこと。一口に「力士の生活」といっても、地位によってその暮らしぶりはかなり変わってくると言えるだろう。

 そうは言っても、力士たちが皆、地位に関係なく仲のいい雰囲気なのが宮城野部屋である。師匠に聞くと「ああ、みんな仲がいいね。特に、間垣親方(元幕内・石浦)と、もう引退してコーチとして来てくれている大喜鵬が、部屋をまとめる役としてすごく活躍してくれていますよ。二人は中・高・大学とずっと一緒の同級生だからね」と、普段の雰囲気もよく見ている様子。稽古場では厳しく、しかし普段は優しい親方の人柄が、そのまま部屋の雰囲気に表れているようだ。

 さまざまな力士が所属する宮城野部屋。部屋をけん引する師匠は、どんな指導論をもっているのだろうか。最終回は、そんな親方のインタビューをお届けする。

<第4回「親方の指導論編」へ続く>

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著者プロフィール

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライターとして『相撲』(同社)、『大相撲ジャーナル』(アプリスタイル)、スポーツ庁広報ウェブマガジン『Deportare』などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』が発売中。

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