早大野球部 【連載】新体制始動特集『逆襲』【第1回】梅村大和×山縣秀

チーム・協会
 今回迎えるのは、早大の付属校出身、内野手の3年生と共通点が多い梅村大和(教3=東京・早実)と山縣秀(商3=東京・早大学院)。昨年はどちらも打率が伸び悩み悔しいシーズンとなりました。内野陣の要として活躍が期待されるお二人に、お互いの印象から、最高学年として迎えるシーズンの意気込みまで様々なことをお聞きしました!

※この取材は12月15日に行われたものです。

「最高のかたちで大学生活を終えたい」(梅村)

立大1回戦でサヨナラ安打を放ち喜ぶ梅村 【早稲田スポーツ新聞会】

――初めにお互いの他己紹介をお願いします

山縣 梅村大和です。東京都出身で、早実から来ました。右投げ左打ちで、ポジションはサードとセカンドです。武器としては足が速く、普通の選手だったらアウトになるようなショートゴロ、セカンドゴロをセーフにします。バントなどの小技も得意で、パンチ力もあって長打も出るようなユーティリティかつ勝負強いイメージのある選手です。明太子が好きらしく、明太子に目がないと言っていました(笑)。

梅村 山縣秀です。東京都出身で早大学院から早稲田大学に来ました。ポジションは内野手、右投げ右打ちです。特徴は守備力です。(プレーを)見れば分かると思うんですけど、とにかく守備範囲の広いというのとスローイングがいいというのと、野球脳が高いプレーが特徴的な選手です。最近は麻雀にハマっているようです(笑)。

――野球の面でお互いのここがすごいというところはありますか

山縣 センスですかね。守備や走塁の面で自分にない引き出しを持っています。例えば走塁だったらスライディングの幅が広いとか、スライディングの種類もいろいろ持っていて、自分が驚かされるようなプレーをしているのがすごいと思います。

梅村 見ていてすごいと思うのは、スローイングがどんな体勢からでもしっかりファーストに放れるところです。ジャンピングスローもそうですけど、飛び込んで捕ってからのスローイングなども正確なので、そこがすごいと思います。

――お二人はどちらも早大の付属の高校出身ですが、高校生の時のお互いの面識はありましたか

山縣 高校1年生の時にお互いベンチに入っている状態で試合で当たったことがありました。自分は中学の時から彼のことを知っていました。東京のリトルシニアのチームで梅村はキャプテンをやっていて、「梅村世代」と言われるチームのキャプテンだったので、結構有名選手だと思っていました。面識はずっとありました。

梅村 ちゃんと知ったのは大学からになるのですが、大学入ってから話聞いた時、高校1年生の時の試合に「そういえばいたな」と思い出しました(笑)。それまでは全然知らなかったんですけど、その時に初めて対面したと思います。

――お互いにきちんと話をしたのは大学からということですか

梅村、山縣 そうですね。

――「梅村世代」というのが気になります

梅村 多分言われてないと思うんですけど(笑)。自分の代が強くて、たまたま自分がその時キャプテンをやっていたというだけです。自分よりすごい選手がいっぱいいたので、誰世代かといったらそいつの世代という印象が強いと思うんですけど。たまたま自分がキャプテンをやっていたからだけだと思います(笑)。

――お二人はプライベートで交流はありますか

山縣 遊んだりはしないですね。練習中は喋るんですけど、2人で遊びに行くことはあんまりないです。

――特に仲のいい部員はいますか

山縣 最近は吉納(吉納翼副将、スポ3=愛知・東邦)と一緒にいることが多いです。自主練など、どこに行くにも一緒に行っています。

梅村 変な関係なんですけど、田中翔太郎さん(教3=埼玉・春日部共栄)という人がいて、中学の自分の2個上の先輩なのですが今は同期として入ってきて、すごく喋りやすいです。向こうはどう思っているのかわからないですけど(笑)。自分は同期として仲良くさせてもらっています。

――東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)終わりましたが、どこか出かけたりされましたか

山縣 ご飯を食べに行くくらいで、オフにどこかに出かけることはあまりなかったです。

梅村 自分は翔太郎さんも含めて何人かとサウナに行ったりドライブしたりというのはありました。

「早稲田の守備を引っ張っていけるように」(山縣)

立大1回戦で打席に立つ山縣 【早稲田スポーツ新聞会】

――チームとして、個人として、今年1年を振り返っていかがですか

山縣 チームとしても個人としても悔しいシーズンでした。チームとしては優勝できなかったことが一番悔しくて、個人としても自分が納得のいく結果を残せず、100%の力を出せませんでした。最後の早慶戦まで自分の力を出し切ることができずに終わってしまったことが悔しかったです。

梅村 チームとしては山縣と一緒で、優勝を目前にして取れなかったということが悔しいです。個人としては春秋含めてほとんど悔しい思いしかしてないので、もっと何とかできたのではないかという思いは常にあります。

――秋季リーグ戦で4年生が引退されたと思いますが、どんな言葉をかけられましたか

山縣 「あと一年頑張れ」という言葉をいろんな先輩が言ってくださったのですが、特に島川さん(島川叶夢、スポ4=熊本・済々黌)からは「1年間苦しめ。1年間苦しみ抜いて引退しろ」と言われたので、その言葉を肝に銘じて頑張っていきたいと思います。

梅村 自分は仲の良かった熊田さん(熊田任洋、スポ4=愛知・東邦)や中村さん(中村将希、教4=佐賀・鳥栖)などから「活躍してくれ」と言われたので、その人たちの期待にも応えられるように思ってやっています。

――早慶戦を振り返って、勝敗を分けたのはどんな点だと感じましたか

山縣 慶応側は一個一個のプレーを楽しんでいたと思います。早稲田が緊張してガチガチになっている場面でも、慶応は自分たちの野球を貫いていて、早稲田が今まで通りの野球をできなかったというところが一番勝ち負けにつながったところだと思います。

梅村 ほぼ山縣と同じで、特に最後の第3戦は自分たちの野球をほとんどできませんでした。自分たちの今までやってきたことを出せているか出せていないかの差だと思いました。

――ここからは1人ずつにお聞きしたいと思います。まず梅村選手にお聞きします。秋季リーグ戦はこれまでに比べて打席数も増え、本塁打やサヨナラ安打などもありました。秋を終えて成長できた点はありますか

梅村 今まで自分の中でホームランを打ったことは大学でなかったので、あのような打球を打てたことは自信になりました。リーグ戦は今までより少し出る機会も増えてきた中で、試合に出た時の雰囲気を感じることができたので、そこは来季につなげていきたいです。

――逆に1年を通して見つかった課題はありますか

梅村 大事なところ、勝負所で結果を出すことができなかったと思います。立教戦の後の法政戦で1番で出させてもらったのですが、あそこで何とか食らいついて塁に出て、自分のスタイルを発揮できていたらと思いました。そうしていれば法政戦、慶応戦と自分がどんどん変わっていけたんじゃないかなと思います。結果が出せなかったのは、気持ちの面でも技術の面でも弱さがあったからだと思います。そういうところで結果が出せなかったところが自分の弱いところだと分析して、これからやっていきたいなと思うシーズンでした。

――今シーズンは三塁手と二塁手どちらでも出場されていましたが、来シーズンはいかがですか

梅村 一応サードとしてやるつもりではいるのですが、シーズンに入ってどうなるかは分からないです。もちろんサードをしっかりやることが第一にはなりますが、いざという時にどこでも守れる準備はしないといけないと思っています。そこは変わらず技術を上げられるようにやっていくつもりです。

――内野のレギュラー争いも予想されますが、特に意識されている選手はいますか

梅村 全員がライバルなので、特に誰というのはないです。今Aチームでやっている内野手に加えて、これから1年生も入ってきますし、今Bチームにいるメンバーも誰が上がってくるかわからないので、全員がライバルだと思ってやっています。

――今はどんなことを重点的に練習していますか

梅村 冬の期間というのもあるので、ウエートトレーニングはすごく力を入れてやっています。今までは下半身のメニューが中心だったんですけど、個人としては上半身も一緒にバランスよく鍛えていかないといかない時だと思っています。それに並行してバッティングも、(大学野球の終わりまで)もう1年を切っているので何とか春に結果を出せるように、実践も意識しながら練習をやっています。

――次に山縣選手にお聞きします。来年は熊田選手が抜けますが、遊撃手で勝負するのでしょうか

山縣 そうですね。今もショートで練習しています。

――2年時は遊撃手での出場がメインで、再コンバートとなりますがそこに関してはいかがですか

山縣 セカンドにコンバートして、自分の中で引き出しが増えたなと思います。セカンドからショートに移る方が難しいと思うのですが、ショートの感覚を取り戻しつつ、元々のショートだった時よりももう一段回レベルアップできるように練習しています。

――梅村選手とも内野手の定位置争いになりますが、ライバル意識はありますか

山縣 もちろん内野手全員がライバルにはなると思います。ですが、自分は特にライバルなどは気にせず、自分がどれだけ成長できるかが大切だと思うので、そこに焦点を当てています。

――秋季リーグ戦では高校の後輩である田村康介選手(商2=東京・早大学院)の活躍が見られましたが、そこに関していかがですか

山縣 高校の時からすごい選手だったので、いつかは絶対に上がってくるだろうと思っていました。一緒に野球できてうれしいですし、逆に追い抜かれそうで怖いです(笑)。自分が先輩として引っ張っていかなければいけないなと思います。

――秋は打率.200という結果でした。現在打撃で取り組んでいることを教えてください

山縣 質より量を重視して、量を多く振ることをしています。あとは体づくりも力を入れて取り組んでいます。

――現在強化している部分はありますか

山縣 下半身を重点的に取り組んでいたのですが、上半身もトレーニングをしていて、体全体の強化をしています。

目標は大学四冠

慶大3回戦後の山縣(写真右)と島川。試合後に山縣は島川から「あと一年頑張れ」と声を掛けられたという 【早稲田スポーツ新聞会】

――もう一度お二人にお聞きします。新チームになってからの印出太一主将(スポ3=愛知・中京大中京)と吉納副将はどのような方ですか

梅村 太一に関してはずっとキャプテンを経験してきているので、どのようにチームをまとめていけばいいのかという経験があると思います。すごく堂々としていますし、頼もしいです。翼は実力でも性格としてもみんなを鼓舞できる人です。2人が主将、副将としてやっていくのは頼もしいですし、2人をしっかりサポートできればと思います。

山縣 ほとんど同じです。印出と吉納がこのチームを引っ張っていくので、僕たちが2人をサポートしつつ、周りを引っ張っていけるようにやっていくだけだと思います。

――お二人は最高学年としての役割はどのように考えていますか

梅村 今までは自分のことというのが大きかったのですが、4年生になったら周りのことも見なければいけないなと思います。勝てるチームにするには自分の発言力をもっと高めないといけないですし、行動も律していかなければいけないと思います。

山縣 自分はチーム全体の守備を引っ張っていかなければいけない立場だと思います。今までは熊田さんに引っ張ってもらっていたので、その抜けた穴を感じさせないように、早稲田の守備を引っ張っていけるように頑張ります。

――新チームのカラーや強みを教えてください

梅村 今の自分たちの代は仲がいい代だと思います。ですが、よく太一も言いますし、自分たちも思っていることは、仲がいいのはいいけれど傷のなめ合いをしているだけではダメだということです。仲が良くても厳しく言うところは言う関係を築いていかなければいけないと思います。そういう意識を共有してやれていると思うので、仲がいいことの良さを発揮できるチームになっていくのではないかと思います。

山縣 昨年に比べると明るい感じではないかもしれないですが、昨年よりもつながりが強いと思います。今までの個々の力からチーム全体で何とかしようという感じになったと思います。

――前のチームでは森田朝陽選手(社4=富山・高岡商)が声で引っ張っていましたが、新チームでは誰が盛り上げ役をしていますか

梅村 文珠(文珠玄基、スポ3=神奈川・桐蔭学園)かな(笑)。

山縣 声を出す部分だと文珠が頑張ってくれています。チーム全体の盛り上げ役は自分たちの代だと稲益(稲益大地、商3=東福岡)が頑張ってくれています。

――この冬から春にかけてチームで取り組むべき課題は何ですか

梅村 春先からいいスタートを切って、いい流れで春のリーグ戦(東京六大学春季リーグ戦)に臨むためには、ある程度の実践感覚を消すわけにはいかないと思います。その感覚も持ちつつ、体力と技量を上げられるようにしたいです。

山縣 冬から春にかけて、個人のレベルアップをしないと他大学には勝てないと思います。個人個人がレベルを上げて、そこから春にチームを完成させるという段階を踏んでいければと思います。

――ライバルも含め、来年の東京六大学リーグ戦をどのように見ていますか

山縣 ライバルは慶応大学です。自分たちは慶応と明治を倒さないと優勝できないと思っているので、その2校はもちろん、他の大学にも勝てるように練習しなければいけないと思います。

梅村 (秋季リーグ戦は)慶応、明治から勝ち点を取れずに負けてしまったので、来年は勝たなければいけないと思います。その他の大学にも春まで同じ時間が与えられていて、成長しようとしているのは自分たちだけではないですが、どの大学にも勝てるようにやっていければと思います。

――意識している他大学の選手はいますか

山縣 慶応の斎藤快太(3年)です。オールスター(東京六大学オールスターゲーム)と全早慶戦で話をしたのですが、お互いに守備を武器していて、「守備だけじゃやっていけないよね。自分たちも打たないといけないよね」という話をしました。自分が打てばチームも良くなるという話をして、そういう面で切磋琢磨(せっさたくま)できればと思います。

梅村 本間選手(本間颯太朗、慶大3年)と武川選手(武川廉、法大3年)を意識しています。同じポジションを守る選手として負けたくないです。

――最後に来年の目標と意気込みをお願いします

梅村 個人としては大学野球の最後の1年なので、この冬にできることを全てやって、春と秋にベストナインを取れるようにやっていきたいです。チームとしては春、秋に優勝して明治神宮(明治神宮野球大会)も全日本大学野球選手権も優勝して、最高のかたちで大学生活を終えたいと思います。

山縣 チームとしては大学四冠です。個人としては絶対的なショートと言われるように、守備だけでなく走塁でもバッティングでも「ショートを守れるのはお前しかいない」と言われるように、この1年間でそうなれるように頑張ります。

――ありがとうございました!
◆梅村大和(うめむら・やまと)
2003(平15)年1月6日生まれ。170センチ、74キロ。東京・早実高出身。教育学部3年。内野手。右投左打。昨年は悔しい思いをしながらも、大学初のホームランを放つなど来季につながる活躍もあった梅村選手。山縣選手が語った「驚かされるプレー」を今年もたくさん見せてくれることでしょう!

◆山縣秀(やまがた・しゅう)
2002(平14)年5月1日生まれ。176センチ、77キロ。東京・早大学院高出身。商学部3年。内野手。右投右打。遊撃手に再コンバートとなる山縣選手。梅村選手も認める「どんな体勢からでも正確なスローイング」を武器に、絶対的な要として早大の守備を引っ張ってくれることでしょう!
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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