侍ジャパン再始動! WBC連覇へ、その未来を占う

26年WBCまでにメジャーに挑戦する日本人選手は? 投手の筆頭候補は高橋光成、野手は村上宗隆と──

平尾類

精神的な図太さも岡本和真の魅力

3月のWBCで世界一に貢献した岡本は、対応力の高さに加えて、その大らかな性格もメジャー向きだ。はたして不動の4番を巨人が簡単に手放すかどうか 【写真は共同】

 一方、近い将来に米国でプレーすることが有力視されているスラッガーが、村上宗隆(ヤクルト)だ。

 昨年は日本人打者・左打者としてのNPBシーズン最多本塁打記録(56本塁打)を樹立するなど、史上最年少の22歳で三冠王に輝いた村上。今季は春先に打撃不振に苦しんだが、夏場以降に調子を上げて、21年から3年連続で30本塁打を超えた。3年契約が満了となる25年オフには、ポスティング・システムでのメジャー挑戦が容認されている。

 メジャーで村上と同等、それ以上に評価が高いのが岡本和真(巨人)だ。3月のWBCでは全7試合出場で打率.333、2本塁打、7打点という数字を残して世界一に貢献。シーズンでも自己最多の41本塁打を放ち、自身3度目の本塁打王を獲得した。前出の柳沢記者も「岡本選手はメジャーで活躍できるイメージが湧きます」と太鼓判を押す。

「メジャーは30球団あるので、初見の投手と対戦するケースが多い。そこで求められるのが対応力です。大谷翔平選手は日本時代に足を上げて打っていましたが、エンゼルスではすり足やノンステップを取り入れた。今年がメジャー挑戦1年目だった吉田正尚選手(レッドソックス)も手元で動く速い球に当初は手こずっていましたが、構えを微調整したことで復調した。

 岡本選手はWBCでも初対戦の投手にきっちりアジャストしていましたし、メジャーでも早い時期から適応できると思います。それにあの大らかな雰囲気もいいですよね。大谷選手もそうですが、神経質じゃない。日本との違いをいろいろと気にしていたら、スランプからなかなか抜け出せません。不慣れな環境で高いパフォーマンスを発揮するために、精神的な図太さは必要だと思います」

 岡本が海外FA権を取得するのは最短で26年。巨人では不動の4番として不可欠な存在だけに、26年より前にポスティング・システムでのメジャー挑戦が認められるかは不透明だ。現在27歳と全盛期を迎えているだけに、今後の動向が注目される。

“令和の怪物”は25歳前に海を渡るか?

メジャーの複数球団が熱い視線を注ぐのが、ロッテの佐々木。MLBの「25歳ルール」の適用から外れる27年オフまで日本に留まるのか、それとも── 【写真は共同】

 最後に、メジャーが最も注目している右腕にも触れなければいけない。佐々木朗希(ロッテ)だ。

 今年の直球の平均球速は159キロ、スライダー、フォークも140キロを超えて異次元の領域に達している。まだまだ肉体が発展途上で、投球術、スタミナを含めて十分な伸びしろを残しているのが末恐ろしい。

「佐々木投手は米国で常に話題になっています。メジャーのスカウト、代理人から『ササキはいつ、アメリカに来るんだ?』といつも聞かれていますよ」

 そう言って苦笑いを浮かべる柳原記者は、佐々木の渡米時期について次のような見解を述べる。

「25歳以前にポスティング・システムを利用すると、大谷選手がエンゼルスに入団した時のようにマイナー契約になる。現在22歳なので、MLBの「25歳ルール」(25歳未満のドラフト対象外の外国人選手とはマイナー契約しか結べず、年俸も低く抑えられる)の適用から外れるのが最短で27年オフ。これを本人とロッテがどう判断するか。メジャーの各球団からすれば、1年でも早く挑戦してもらいたいと思いますけどね」

“令和の怪物”がNPBのマウンドで躍動する姿を、いつまで見られるだろうか。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

1980年4月10日、神奈川県横浜市生まれ。スポーツ新聞に勤務していた当時はDeNA、巨人、ヤクルト、西武の担当記者を歴任。現在はライター、アスリートのマネジメント業などの活動をしている。

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