「バレーボールが堅い」柳田将洋が考える今の日本代表の強さ、東京GB移籍理由も明かす

田中夕子

東京グレートベアーズ移籍の決断理由

「コート内外の目標をどちらも持って取り組んでいる」と柳田 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――A、Bを問わず日本代表としての戦い方が明確になっている

 それは間違いなくあります。世界で勝っているし、絶対的に面白いですから。派生していくのは当然だし、世界トップレベルを指針にしないわけがないですよね。

――そこで自分もA代表で戦いたい、という思いにはなりませんか?

 思わないですね。打ってくれ、って言われたら打つけど、みたいな感じかな(笑)。もともとそこに対してフォーカスを当てているわけではないので。でも外から見ていても(フィリップ)ブランはチームを組み立てるのがうまいし、練習の作り方もうまい。バレー博士ですよ。いい流れに乗っていると思うので、僕も僕のやるべきことをやるだけだと思っています。

――まずはアジア大会、終われば東京グレートベアーズでの新シーズンも始まりますね

 そうですね。自分の中ではバレーボール選手としてコートの中で立てる目標と、コートの外の目標、どちらも持って取り組んでいるつもりです。日の丸を背負って戦う以上、日本代表としてアジア大会で結果を求めることはもちろんですが、1人の選手としては自分が現役としてあと何年やれるか、と考える時期に来ているのも事実です。もちろん結果的に40歳までできました、というのであればそれはそれで全然いいんですけど(笑)、先のことを考えた中でも、昨シーズンのグレートベアーズからは大きく刺激を受けました。将来の自分がどうなっているかは今の自分にわからない。じゃあ今の自分にできるベストは何かと考えた時に、もちろんジェイテクト(STINGS)に残る選択肢もありましたが、それよりもチャレンジしたいという思いのほうが強かったので移籍を決断しました。僕自身も楽しみではあります。

――毎シーズンが変化の中ではありますが、今シーズンもより変化の年です

 自分でも求めていますからね。グレートベアーズというまだ新しいチームの中でできることはたくさんあると思うし、自分の発信力を利用してほしい、という思いもあります。バレーボールに関しては監督と、運営やマーケティングに関してはフロントの人たちと直接話せる環境でもあるので、すごく楽しみですね。日本だけでなく、ネーションズリーグのフィリピンラウンドの盛り上がりを見てもわかるように、アジア圏も巻き込んでできる盛り上げ方も大いにあると思いますし、お互いウィンウィンな計画が立てられたらいいな、とか。そういう面でもグレートベアーズは行動が速いし、選手と会社の距離感も近い。撮影現場に社長が来て、誰より熱がこもって出来上がりをチェックする姿1つ見ても、すごいな、と思わされます。

 今シーズン、アジア大会を見据えて日本代表に呼ばれた時、正直に言えば断ることもできたと思います。もちろん1人の選手として代表で頑張るのは当たり前のことですが、自分のコンディションなどを考えれば即答できるわけではないところもある。でもその時「何かにつながるんじゃないか」という予感があったので、やろうと決めたんです。きっと何かにつながる、だからやれる、と自分の中で確信があったのでここにいる。これからにつながる、今だと思っています。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。著書に『高校バレーは頭脳が9割』(日本文化出版)。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)、『青春サプリ』(ポプラ社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など女子アスリートの著書や、前橋育英高校硬式野球部の荒井直樹監督が記した『当たり前の積み重ねが本物になる』『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(カンゼン)などで構成を担当

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