マイナビ仙台レディース 2023-24プレシーズンインタビューvol.2

マイナビ仙台レディース
チーム・協会

「リハビリが私を強くしてくれた。今季こそ、サッカーを楽しめるシーズンに」 FW 武田菜々子選手

【©mynavisendai】

8月26日のWEリーグカップ開幕へ向けて、マイナビ仙台レディースは北海道で2週間に渡るキャンプを行いました。新たな仲間を迎えて、連携を磨きながら、実戦に近い形のトレーニングも進んでいます。新シーズンのピッチには、仲間と共にボールを蹴るFW武田菜々子選手の笑顔があります。左膝じん帯と半月板損傷の大けがから復帰しました。厳しいリハビリを乗り越えて向かう今季の戦いへの思いを聞きました。


――新シーズン前の約1ヶ月のオフ期間ではリフレッシュできましたか?

武田「1週間ほど関東に行って、向こうの友達に“会いだめ”してきました。その後、1週間ほど地元の秋田で家族と過ごしていました。ゆっくり過ごして1年の疲れを癒してきました。シーズン中も家族とは電話で話したりしていましたが『無理をせずに頑張れ』という言葉をかけてもらっていました。温かいですね。」

――秋田ではJ2ブラウブリッツ秋田の試合観戦もしていましたね。

武田「家族で行ってきました。5月にはユアスタでベガルタ仙台対ブラウブリッツ秋田の試合と、マイナビのホームゲームというダブルヘッダーがありました。その時のご縁で、秋田の飯尾竜太朗選手からけがに関するアドバイスも頂きました。飯尾選手は膝のけがの先輩でもあるので、いろいろなことを教えて頂きました。地元チームですし、秋田のことも応援したいですね。」

地元秋田で試合観戦 【©mynavisendai】

――いよいよ2023-24シーズンのトレーニングが始まりました。今、どのような思いですか?

武田「昨シーズンは、けがで苦しんだ一年でした。今年はスタートからみんなと一緒に練習を始められています。自分自身もチームも良いスタートが切れていると思います。」


――別メニューでのリハビリ期間が長かった分、チームメートと一緒にトレーニングができる喜びは格別ですよね。

武田「嬉しいです、本当に。昨シーズンの終わり頃から、みんなと一緒にボールを蹴ることができるようになりました。それも本当に良かったです」


――武田選手は、これだけの長い離脱をする大けがはこれまで経験していなかったですよね。

武田「はい。一昨年、WEリーグが始まったシーズンに、何度か離脱は経験していましたが、これだけの大きいけがは初めてです。」

リハビリ中のようす 【©mynavisendai】

――昨年10月に練習場で左膝をけがしてから、手術、リハビリと段階を踏んで復帰を目指してきました。どんなことを考え過ごした8ヶ月でしたか?

武田「昨シーズンはチーム全体でけが人が少なかったです。それはチームにとって良いことでした。その中で、一人でリハビリをする期間も長かったですが、そういう時こそ自分が“サッカーを楽しんでいる姿”を想像して、気持ちを高めていました。気分が落ち込む日はそんなになかったです。膝が痛む日はありましたが、ネガティブになる日は一日もなかったです。そこは“自分の強み”だなと思いました。」


――気持ちを明るい方に持って行こうとしなくても、自然とポジティブに考えられたのですか?

武田「はい。落ち込んでいても仕方ないという思いがあります。自分が結果を出している姿、全力で楽しんでいる姿を想像していたら気持ちが燃えてきました。毎日、燃えていました。トレーニング室からみんなの練習を見ることも多かったですが、自分が復帰し、サッカーをしているということを考えるのが楽しかったです。」

【©mynavisendai】

――今季こそ、ピッチで大暴れして、ヒロインになって欲しいです。

武田「そうですね!何度も大けがを乗り越えてきてサッカーを続けている人もいるので、そういう方々を見ていると、私も『ここでへこたれていられない』と思います。重いけがでしたけど、頑張っている姿を見せていれば、今けがから復帰を目指して頑張っている人たちも含め、いろいろな方が応援してくれると思います。リハビリで成長できました。」


――ご自身で想像してきた「復帰した姿」はどのようなイメージですか?

武田「サッカーを楽しんでいます。楽しむことはもちろんですが、サッカーを続けていく中では悩みも出てきます。『復帰したらサッカーで悩めるんだ』ということが楽しみですね。サッカーで悩めるって幸せなことなんですよ。」

――なかなか勝てない、思うように結果が出ないという苦しみもある。それもサッカーができるからこそですね。

武田「そうなんです。リハビリ中の悩みは、患部の痛みのことだったりしたので、サッカーで悩めることは幸せだとわかりました。」


――離脱中、チームメートの戦いはどう見ていましたか?

武田「上手くいっていない時もありましたし、監督が交代することにもなりました。大きな環境変化があった中で、みんなが試合に向けて必死に戦っている姿を見せていました。どんな状況でも頑張って、勝利した姿が心に残りました。」

ケガから復帰後のトレーニングゲーム 【©mynavisendai】

―そして遂に7月26日、フルメニューをこなす「完全合流」の日を迎えました。どんな気持ちで

武田「ここまで本当に長い期間、リハビリを乗り越えてきたので、嬉しい気持ちが一番でした。サッカーを楽しむという気持ちでやってきています。とはいえ、膝にもまだ不安があるので常に70~80%くらいの力で、けがをすることの内容にトレーニングを行っています。」

―トレーニングの中でも武田選手らしいパワーのあるシュートを打っていましたね。今後の公式戦に向けて、復帰の手応えはいかがでしたか?

武田「復帰の直前は、ボールが触れる楽しさやサッカーができる嬉しさに満ちあふれていました。あまり何も考えなくても、ちょっとずつ上手くいくことも多かったのですね。その楽しさを味わいつつ、WEリーグカップも近づいてきていることも意識しています。キャンプに入ってからは戦術面も考えながらプレーしています。」

―キャンプでは久しぶりにトレーニングマッチにも出場しました。試合という状況で感じたことや課題はどういったことでしたか?

武田「サッカーから離れていた期間、みんなのゲームを外から見る機会が多かったですし、他にもサッカーを見るという機会も取り入れていました。ある程度、ボールを受けるタイミングやFWの選手としての動き方を見てきたので、実際ゲームに復帰して、それを生かせる場面も多かったです。そういったところでの手応えはあります。」

―WEリーグカップ開幕までの期間はどのように過ごしていきますか?

武田「何よりも、けがをしないこと。毎日練習が終わって『よし!今日もけがをしていない』と思っていて、それがモチベーションにもなっています。膝と向き合いながら、カップ戦ももちろん出場したいです。その後のリーグ戦も戦っていく準備はしているので、キャンプでは戦術や周りと連携も考えながらやってきました。自分の良さを出しつつ、練習からFWとしてどん欲にゴールを狙っていきます。」

―WEリーグ3季目、多くの方が期待し応援してくれています。どのように過ごしていくシーズンにしたいですか?

武田「復帰したばかりですが、試合を見ていて、自分の持ち味をここでなら出せるという感覚をつかんできました。実際にプレーして自分のスピードやフィジカルの強さを前面に出して、結果を出すシーズンにしたいです。いえ、必ず結果を出します!」
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著者プロフィール

東日本大震災により休部した東京電力女子サッカー部マリーゼが移管し、2012年ベガルタ仙台レディースが発足。2017年に株式会社マイナビとタイトルパートナー契約を締結しマイナビベガルタ仙台レディースとなりました。 2020年10月にWEリーグへの参入が正式決定。2021年2月より「マイナビ仙台レディース」とクラブ名を改め、活動をスタート。選手達の熱いプレーが多くの方に届くような盛り上がりをともに作っていきます。仙台、東北から日本全国、全世界に向けて、感動や勇気を与え、WEリーグ優勝を目指し活動しています。

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