いい意味で期待を裏切り、番狂わせを起こしたい! 4度目のW杯を前になでしこ熊谷紗希が激白
3バックでチャンスは増えた。あとは…
3バックで臨んだ壮行試合・パナマ戦は5-0で快勝した 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
昨秋以降それまでの4バックから3バックにシステムを変えて戦ってきたなでしこジャパンはW杯イヤーの今年、2月のアメリカ遠征(シービリーブスカップ)でブラジル、アメリカにいずれも0-1で敗れるも、カナダには3-0と勝利。その後の欧州遠征ではポルトガルに2-1と勝利するも、デンマークには0-1と敗れている(※仮想コスタリカと位置付けた7月14日の壮行試合となった仙台でのパナマ戦には5-0と快勝した)。
「2月のアメリカ遠征は1勝2敗と負け越したものの、チームとして手応えをつかんだ部分もありました。ただ、4月のデンマーク戦はW杯本番の決勝トーナメント1回戦(ベスト16)を想定したテストでもあったなか、結果を出せなかった。3バック(3-4-3)になってボールが回るようになったのは間違いないけど、両ウイングバックの位置取りなどは課題。サイドを突かれた失点はどれも同じような形でしたし、本番までには頭を整理したい。
攻撃面では後ろの枚数を1枚減らしリスクを取ることで、以前よりチャンスは多くできるようになってきました。あとは、好機をいかに決め切れるかだと思います」
ベスト4まで行かないと見てもらえない…
出場枠が32チームに増えた今大会、なでしこジャパンは上位進出を果たせるのか 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
「(ランキングの最も低い)ザンビアも事前のテストマッチでドイツに勝利しているなど、簡単な試合なんて1つもないですが、絶対に上に上がらないといけないグループだと思っています。大会を勝ち抜く上では、運や勢いも必要になってくるし、それをいかに初戦から自分たちに引き寄せられるか。そういう意味で初戦で勝ち点3を取れるかどうかはすごく重要だし、少なくとも第3戦のスペイン戦を前に自力で1位通過が狙える位置にはいたいと思っています」
そして、熊谷は昨今のなでしこジャパンへの世の中の関心の低さを考えると、ベスト4進出でようやく一般の方に試合を見てもらえるのではないかとした。
「昨年の男子のカタールW杯を見ても、周囲の低い期待を覆すことで広く世の中に関心を持ってもらえると思う。そのポイントは準々決勝突破くらいになってくるのかなと。だからこそ這いつくばってでもベスト4までは行きたい。じゃないと、試合も見てもらえないかもしれないですから」
20歳でW杯優勝を経験し、リヨン時代は5度の女子CL制覇に貢献。2021年に8年ぶりにドイツに復帰すると、2022-23シーズンはバイエルンでリーグ優勝に貢献した。世界中の女子サッカー選手を見渡しても、熊谷ほどタイトルに恵まれた選手はそういない。だが、32歳となったいまも、モチベーションが下がることは一切ないと言い切る。
「4回目といっても、その時を必死にやってきた数字で、始めから考えていたわけではないですから。32歳になりましたが、これまで大きなケガもなかったし、いまのところは心も身体も年齢を感じるようなことはありません。タイトル獲得はもちろん目標ですが、W杯で勝ったりチャンピオンズリーグで勝ったからといって私自身シンプルにまだサッカーを楽しんでいますし、何かが終わるわけではない。
今回のW杯は(近年の女子サッカーの急速な発展と出場チームが24から32チームへの増加などもあり)過去イチの盛り上がりになる可能性もある。W杯ほど大きなお祭りはなかなか経験できないし、そんな大会を少しでも長く楽しめたらと思っています」