【MF&FW&監督編】2023鹿島アントラーズ前半戦選手別通信簿

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【【MF&FW&監督編】2023鹿島アントラーズ前半戦選手別通信簿】

【これはnoteに投稿されたタケゴラさんによる記事です。】
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MF

土居聖真

リーグ:13試合(4試合先発)出場2ゴール
ルヴァン:5試合(2試合先発)出場
天皇杯:1試合出場

今季はプレータイムこそ長くないものの、コンスタントに出場機会を掴んでいる。昨季までに比べるとコンディションがよく、ドリブルで相手をかわしたり、キレのある動きができている印象だ。スペシャリティがあるわけではないが、中央で崩しにも加われるし、大外で仕掛け役になることもでき、受け手にも出し手にもなれるので、監督としてはいてくれると助かる存在だ。今の2列目でも計算に入っているが、仲間や名古、樋口と比べてスタメンの機会が少ないのは強度の問題だろう。それでも、このままシーズン通して稼働してくれれば大きいし、もうちょっと土居個人の数字が伸びてくれば、チームの成績も比例してくるはずだ。

荒木遼太郎

リーグ:5試合(1試合先発)出場
ルヴァン:5試合(5試合先発)出場1ゴール2アシスト
天皇杯:1試合(1試合先発)出場1アシスト

No.10は今季も苦しいシーズンを送っている。基本的にボールありきでポジショニングを取るため、一時期の荒木システムのように荒木を中心にボールが回ると輝きは増すのだが、今は荒木を軸にしているわけではないため、その輝くシーンが限定されており、それ以外の守備などの部分でも貢献度がそこまで高くないのが、ここまでの評価に繋がってしまっている。ただこの先、荒木システムを採用するチームの方が稀なことを考えれば、この課題を何とかしなければ、先のキャリアが明るくないことも事実。まずはボールがないところでの動きの連続性を上げ、強度向上の一つとしたい。

樋口雄太

リーグ:17試合(16試合先発)出場1ゴール5アシスト
ルヴァン:2試合(1試合先発)出場

今季はインサイドハーフから始まり、ボランチ、さらには2列目と多様なポジションをこなしているが、どのポジションでも質の高さを見せており、レギュラーの座をしっかり確保している。運動量が多く、強度も高いため、攻守両面で貢献度は高い。また、プレースキックの質も高く、すでにアシストは5を記録している。今後もおそらく2列目メインで起用されそうな気はするが、樋口のプレー位置を組み立てに下ろすだけではなく、もっと高い位置でプレーさせた方がチームの攻撃力は増しそうだし、その中で樋口自身としても流れの中での得点やアシスト増が望まれるところだ。

藤井智也

リーグ:12試合(7試合先発)出場1ゴール1アシスト
ルヴァン:4試合(2試合先発)出場
天皇杯:1試合出場1アシスト

新加入の韋駄天は開幕からレギュラーポジションを掴んだが、チームが調子を落とした時期にケガもあってポジションを失うと、調子を取り戻した現在もベンチスタートがメインになっている。爆発的なスピードを活かしたドリブルは相手の脅威になっているのだが、基本的に大外に張って受けて仕掛ける以外の選択肢がないため、流動性を求める今のチームにとっては非常に使いづらい存在になってしまっている。せめても必ずチャンスに繋げてくれるならいいのだが、プレーの質はそこまで高くないし、守備でもそこまで貢献度が高くないのも足かせになってしまっている。ただ、チームが徐々に落ち着いてきて、藤井のような異分子を取り込める余裕が出てきてプレータイムが増えているのは、追い風のはず。後半戦はもっとシュートやクロスの質を高めたい。

アルトゥール・カイキ

リーグ:9試合出場1ゴール
ルヴァン:3試合(3試合先発)出場2ゴール
天皇杯:1試合(1試合先発)出場1ゴール

調子が上がりきっていなかったこともあり、出場機会は限られたが、要所で結果を残す仕事人ぶりは今季も健在。誰と組ませてもバランスを取りながら、最適な位置取りでプレーしてくれるし、強さと高さは相変わらずサイドの選手にしては別格に強く、そのストロングですでに全コンペティションでゴールを記録している。先発機会が少ないのは、今の中盤の流動性の中でカイキの運動量ではおそらく足りないと判断されているからだろうが、それでも確実に計算が立つ人材だからこそ、ケガでの離脱は痛い。復帰が見込まれるサマーブレイク明けから終盤戦にかけて、万全のコンディションで戻ってきてほしいところだ。

ディエゴ・ピトゥカ

リーグ:16試合(16試合先発)出場1ゴール
ルヴァン:3試合(3試合先発)出場

プレーに波がある時期もあったが、相変わらず中盤の軸として今季も君臨し、レベルの高いプレーを見せている。今季光るのは守備時の判断。ゾーンで守る色合いを強めた鹿島にとって、どうしても4バックでは埋めきれないスペースが出てくるが、そこをピトゥカが的確な判断で埋めてカバーしていることで、守備の安定性を高めている部分は大きく、ピトゥカ個人のプレーにより失点を免れているシーンも少なくない。もちろん、攻撃面でもボールを失わないし、前への推進力も持っているため、チームにとって良いアクセントになっている。今季は良い意味で淡々とやってくれているのがプラスにもなっているので、後半戦もこの調子で中盤を支えてほしい。

小川優介

出場なし

今季はここまで公式戦ベンチ入りなし。毎年観るたびに成長は感じられるし、光るものは持っているが、やはり監督からの信頼を集められていないのだろう。プロ3年目でここまでチャンスがないとなると、そろそろ外に出場機会を求めにいってもいい時期だとは思う。

佐野海舟

リーグ:11試合(8試合先発)出場
ルヴァン:5試合(3試合先発)出場

序盤戦最大のサプライズ。相手を自分のテリトリーに誘い込むのが上手く、そこから高いボール奪取力で刈り取り、自ら持ち上がってカウンターのチャンスを作り出す姿は、何度もスタジアムを沸かせていた。一方、さらに成長するためには課題の克服も必要。自ら持ち上がるだけでなく、パスで捌いたり、味方を動かしてより能動的にボールを回収できるシーンを作り出したりすることができれば、アンカーとしてさらに欠かせない存在になるだろう。現状、その手の能力はピトゥカの方が上なため、佐野は1つ前でプレーさせて、ピトゥカがバランスを取った方がチームとしては上手く回っている感がある。ただ、ピトゥカは前に出した方が相手にとっては脅威になるため、佐野の成長で是非そうなるようにしてほしいところ。

須藤直輝

出場なし

金沢での武者修行から復帰したが、ここまで公式戦のベンチ入りはなし。大外に張って仕掛けるというスタイルは藤井や松村と被っているし、2人に比べてドリブルの成功率が低い、というのがここまでの評価に繋がっているとは思う。小川と同様、レンタルで出場機会を求めにいってもいいかも。

松村優太

リーグ:7試合(1試合先発)出場1アシスト
ルヴァン:3試合(2試合先発)出場1ゴール

今季大ブレイクするだろうと期待していたのだが、ここまではその期待に応えているとは言い難いパフォーマンスに終始している。藤井と同じく爆発的なスピードでの仕掛けは間違いなく大きな武器になっているし、松村の場合は藤井と違って中央に入り込んでもプレーできるため、プレーの幅も広くなっているのだが、松村の課題はプレー判断にある。自陣でも平気でドリブルで仕掛けたり、周りに味方がいないのに単独で突っ込んでいったりして、その結果ボールを奪われてカウンターを食らって失点に繋がってしまい、勝点を落としてしまう。結果が欲しいのは分かるが、そうしたプレーを選択した後にチームが勝てないなら何の意味もない。U-22から戻ってきて後半戦はまず藤井とジョーカーの座を競うことになりそう。プレー判断の質を高めて、出場機会を得ていきたい。

名古新太郎

リーグ:9試合(8試合先発)出場1ゴール1アシスト
ルヴァン:2試合(1試合先発)出場

序盤戦はほとんど出場機会に恵まれなかったが、チームがドン底だったアウェイ新潟戦でスタメンのチャンスを得ると、そこから2列目の主力に定着した。攻守に切れ目なく動き続けることができ、その中で受け手としても出し手としても質の高いプレーができるのと、大外に張っても一気に局面打開できるほどの突破力はないが相手1人剝がすことはできるドリブルは持っているため、監督としても使い勝手がいいのだろう。パスよりドリブルの方が得意なプレーヤーのため、今の2列目の方がボランチより合っているとは思う。後半戦も主力として稼働しそうだが、2列目により個の力を求める流れになりそうなのは予想できるだけに、名古としても数字にこだわっていきたいところ。

仲間隼斗

リーグ:11試合(7試合先発)出場1ゴール
ルヴァン:4試合(2試合先発)出場1ゴール
天皇杯:1試合(1試合先発)出場

名古と同じくアウェイ新潟戦でスタメン起用されると、そこから主力としての一角としてコンスタントに起用されるように。最大の武器は攻守において強度を押し出した連続性のあるプレーぶりだが、それ以外にもパスの受け手として下りたり、裏抜けしたりと、実は結構器用に状況に応じて振る舞いを変えられるのも強み。基本的にブレーキがあまり効かないので、結構えげついタックルをかましてファウルを与える回数が地味に多いのはマイナスだが、それ以外では確実に仕事をこなしてくれるので監督としても計算しやすい1人になっている。後半戦も要所要所で出番が来るはずだ。

舩橋佑

リーグ:2試合出場
ルヴァン:1試合(1試合先発)出場
天皇杯:1試合(1試合先発)出場

3年目のここまでは思うようにプレータイムを伸ばせず、苦しいシーズンを送っている。攻守において運動量があり、器用に何でもこなすし、プレースキックの質も高いのだが、器用貧乏になってしまっている感があり、ピッチに立っても目立ったインパクトを残せていない。やらせればやってくれるが、攻撃で組み立てを自らが中心となって助けてくれるわけでもないし、守備でもピンチを自分の力で救っているわけでもない。プレースキックも他に荒木みたいな蹴れる選手がいるとなれば、明確な武器を持つピトゥカや佐野らを使う流れになるのも致し方ないだろう。素質は十分に感じるだけに、このまま終わってしまうのはもったいないのだが…。

中村亮太朗

リーグ:3試合出場
ルヴァン:3試合(3試合先発)出場
天皇杯:1試合(1試合先発)出場1アシスト

舩橋と同じく、現状ではカップ戦要員になっており、あまり満足にプレータイムを得られていない。守備のゾーン色が強まったため、中村のスピードのなさが良い意味でそこまで目立たなくなっているのはプラスになっているが、それ以上に攻撃面で自らの良さをあまり見せられていない。たしかに、パスでテンポを作ってゲームメイクすることは得意なのだが、中村が出場した時の鹿島でゲームメイクが中村中心で回っていることはほとんどなく、そこで存在感を示せていないのだ。おそらく、仕組みがもっと整っているチームなら良さを出しやすいのだろうが、鹿島がそうでないならそこを自己解決する必要がある。そこを改善できなければ、後半戦も厳しい立場は変わらないだろう。

FW

知念慶

リーグ:14試合(8試合先発)出場4ゴール
ルヴァン:3試合(1試合先発)出場

新加入のストライカーは開幕時はサイドでプレー。サイドで起点となりながら、チャンスになればゴール前に侵入する動きでゴールを積み重ねたが、チームが調子を落とすとバランスがぶっ壊れていき、知念が孤立するシーンも増えていったため、レギュラーを奪われることに。その後はスーパーサブとして存在感を見せていたが、ケガで離脱してしまった。ポストプレーは非常に上手く、フロンターレにいただけあって足元の技術も高い。また、クロスに合わせるのも上手かったが、鈴木を活かすためのゴール前の高さと強さで垣田に後手を踏んでしまったことで、レギュラーを奪われてしまった。ただ、その垣田も負傷してしまった今、復帰目前の知念にとってはいきなりチャンス到来。決められるシーンでも外したりしてるので、もっと決定力を高めてアピールしたい。

染野唯月

リーグ:4試合出場
ルヴァン:3試合(2試合先発)出場1ゴール
天皇杯:1試合(1試合先発)出場1ゴール

序盤戦は垣田より序列が高く、FW3番手にいたがそこで結果を残せず、ケガで離脱。復帰後の現在はFW陣に負傷者が出ていることもあって、チャンスが訪れている。本人は鈴木のように1.5列目で自由に動きながら攻撃に絡みたいのだろうが、今の染野に求められるのは最前線で強さを見せて起点になること。得意ではないかもしれないが、身体を張った上で結果を残さなければポジションは掴めないのだ。他にも守備時などでもっと貢献度を高めてほしいなどあるが、まずはゴール。巡ってきた決定機を確実に仕留め、今のうちに地位を築きたい。

エレケ

出場なし

今季はケガもあって、ここまで公式戦のベンチ入りはなし。ムラもあるけどれども、他の選手とはタイプが違うだけに組み込めると面白いと思うが、ここまで稼働率の低い助っ人となると、このまま抱えておくメリットを見出すのが難しいところだ。

師岡柊生

リーグ:1試合出場
ルヴァン:4試合(2試合先発)出場
天皇杯:1試合出場

大卒ルーキーはキャンプから好調を維持。開幕スタメンも狙える勢いだったが、チームの調子が悪くなって求められることが増えると、迷子になってしまい勢いはしぼんでしまった。それでも岩政監督は期待しているのだろう。ライバルの多い攻撃陣の中で、出場機会は割と与えられている。裏抜けもできるし、自分で仕掛けられるし、器用なプレーヤーなのだが、ここまではプロの強度に慣れていないのか、相手に寄せられると苦しくなってしまい、チャンスを中々モノにできていない。それでも、どこかで殻を破れれば、一気に大化けする可能性はありそうだ。

垣田裕暉

リーグ:15試合(9試合先発)出場2ゴール
ルヴァン:3試合(2試合先発)出場

7年ぶりに武者修行から帰ってきた今季は、開幕からしばらくは染野とのFW3番手争いが続いたが、チームが勝ち始めるころにスタメンに入るとそのまま定着。直近で負傷してしまったが、鈴木との2トップで不動の存在となりつつあった。高さがあって走れるため、ポストプレーヤーとして前線で相手DFを引っ張り、味方のためにスペースを作り出す役割にはFW陣の中で一番向いていて、そのあたりがスタメン起用されていた所以だろう。攻守において献身性が高いだけでも素晴らしいが、レギュラーを完全に不動のものにするにはやはりゴール。もっとチャンスを確実に仕留められるようになりたい。

鈴木優磨

リーグ:17試合(17試合先発)出場8ゴール4アシスト
ルヴァン:5試合(1試合先発)出場

チームの浮沈のカギを握っているほどに存在は大きい、そう改めて思わせるシーズンになっている。開幕時は3トップの頂点に入り、自由に動いた分は知念が埋めてくれることで攻撃の強度を維持。まずまずのプレーぶりを見せていたが、相手に読まれ始め、コンディションが落ちてくると、チームも同時に調子を一気に落とすことに。だが、アウェイ新潟戦で1ゴール1アシストの活躍で連敗ストップに導くと、その前から合わせて4試合連続ゴールと一気に上り調子に。大事なところでゴールに絡み、ここまで目標としている「ゴールとアシスト合わせて25」に届く勢いだ。PK以外は割と何でもできるため、岩政監督としても鈴木をいかに自由にするかを考え、鈴木のために泥臭い仕事をしてくれる選手と必ず組ませるようになっている。前半戦の活躍を続けられれば、チームもいい位置にいくはずだ。

監督

岩政大樹

ジェットコースターのような浮き沈みを経て、ようやくチームとして土台ができつつある。開幕時は昨季の延長線上から個々の良さを活かす4-3-3にトライしてまずまず成功していたが、個々のイレギュラーな部分を埋めきれなくなってくると、一気にバランスが悪くなり負けが先行するように。もう詰みかな…とも思われたが、4-4-2の守備をベースにした布陣にいわば回帰すると、ここからチームの建て直しに成功。上位戦線を窺えるくらいまでにチームを持ってきた。攻守においてポジションのバランスを整えたことが大きく、守備はゾーンの風味を強め、いざなったらCBではね返すことを徹底。攻撃は各ゾーンに人を置き、中央からハーフスペースを流動的にすることで、ボールの前進と相手に捕まりにくい形を実現した。現時点で簡単には負けないチームにはなりつつあるので、さらに上を目指すなら勝ちを掴み取れるチームへのバージョンアップは必須。今の状態をベースに、一度は挫折したボールを奪いにいく守備と個々の良さを活かした攻撃を組み込むことができるか。

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