【西岩親方に聞く5月場所展望】横綱復活と霧馬山の大関取り 優勝予想はずばり誰?(幕内編)

飯塚さき

次期大関候補の力士たち 優勝予想はズバリ……?

 次期大関候補のひとり、豊昇龍にも注目です。彼の持ち味は、まわしを取ったときの力強さと足腰のしぶとさ。体重は決して重くありませんが、足腰の粘り強さと柔らかさがあるので、相手は組んでも寄り切ることができないんです。霧馬山と共に大関を狙っていく力士であり、まだまだモンゴル時代が続く印象です。負けん気の強さは叔父さんの朝青龍譲り。私も現役時代、叔父さんにはだいぶにらまれましたけれど(笑)、負けん気の強さは勝負事には大事なことですので、その強さがあれば上に上がって行けると思います。

 そして、私が最も注目したいのが琴ノ若です。彼にも早く大関昇進を達成してほしい。体が大きく、本格派の力士が出てきたなと感じています。お父さんの琴ノ若、おじいさんの琴櫻(第53代横綱)の血筋を引いて育っていて、一部報道によりますと、大関昇進の暁には琴櫻を襲名するという話もありますので、私もぜひ「琴櫻」の響きを聞きたいです。国技館の電光掲示板に「琴櫻」が復活すれば相撲ファンが喜ぶでしょうし、同じ一門なので琴ノ若に期待したいですね。
私は、10代の幕下の頃から佐渡ヶ嶽部屋によく出稽古に行って、彼のお父さんの琴ノ若と稽古していました。そのときに、先代の師匠である琴櫻さんのすぐ横で、ちょこんと座って稽古を見ていたのが、当時の将且(まさかつ)くん(琴ノ若の本名)。まだ小学校に上がる頃でした。昔からよく知っているので、あの将且くんが大関を狙うような力士になったかと思うと、うれしいですね。

5月場所を展望する西岩親方 【スポーツナビ】

 そういうわけで、私の今場所の優勝予想は、期待も込めて琴ノ若でお願いします。本来、横綱・大関を優勝候補に挙げたいのですが、決して万全ではないので、三役陣のなかから優勝が出るような気がしているんです。大関を目指す力士はたくさんいますが、そのなかでも本格派の琴ノ若に期待したいです。左上手を取ってどんどん前に出る相撲が取れれば、十分優勝の可能性はあると思います。同じ部屋に琴勝峰、琴恵光といろんなタイプの力士がいるので、いい稽古ができていると思いますし、佐渡ヶ嶽部屋の稽古を見た人に聞くと、関取衆のなかでも琴ノ若が力ひとつ上で勝ち続けるそうなので、稽古場での力も相当強いでしょう。

 右四つの形をもっと磨くのと、膝をもっと曲げて相撲を取ってほしいですね。彼は約190センチと長身ですが、白鵬のように膝を曲げて相撲が取れれば、すぐにでも大関になれると思います。白鵬も同じくらい高身長ですが、相撲を取るときは私より低い位置で取っていました。それだけ膝を曲げるには、強靭な足腰がないとできないんです。琴ノ若にも、低い重心をもったまま相撲を取れる力士になってほしい。ぜひ頑張ってもらいたいですね。

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著者プロフィール

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライターとして『相撲』(同社)、『大相撲ジャーナル』(アプリスタイル)、スポーツ庁広報ウェブマガジン『Deportare』などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』が発売中。

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