熱戦開幕! プロ野球2023

勝利の方程式候補のドラ2右腕に注目! 識者のパ・リーグ「ルーキー即戦力ランキング」

西尾典文

4位:蛭間拓哉(早稲田大→西武1位/外野手)

西武の蛭間拓哉。オープン戦では26打数3安打、打率.115と苦しんでいるものの、能力は一級品 【写真は共同】

 浦和学院高、早稲田大と名門で常に中軸として活躍してきた強打の外野手。鍛えられたたくましい体格でパワーはもちろん魅力だが、無駄な動きの少ないスイングで技術的にも高いところがある。大学では厳しいマークに苦しんだ時期もあるものの、しっかりボールを選んで高い出塁率を記録しており、ここ一番で長打を放つ勝負強さも光る。また、体格に似つかわしくない脚力も備えており、ベースランニングも迫力十分だ。オープン戦では少し苦しんでいるものの、能力の高さは間違いないだけに外野のレギュラー争いに加わる可能性は高い。

5位:宮内春輝(日本製紙石巻→日本ハム6位/投手)

 変則的なフォームから投げ込む150キロ前後のストレートが魅力のサイドスロー。大学(明星大)までは無名の存在で、社会人でも大きな大会での実績を残していないが、社会人4年目の昨年、大きく成長を見せてプロ入りを果たした。少しコントロールはアバウトなところがあるが、跳ねるようなフォームで打者に与える威圧感はかなりのものがある。オープン戦でもここまでしっかり結果を残しており、リリーフ投手が苦しいチーム事情もあるだけに、開幕からブルペン陣の一角としてフル回転の活躍が期待される。

6位:矢澤宏太(日本体育大→日本ハム1位/投手兼外野手)

 大学生としては異例の二刀流として注目を集めた万能選手。投手としては少し調子の波があるのは課題だが、上背のなさを感じさせない伸びやかなフォームが光り、好調時は150キロ前後のストレートとスライダーで三振の山を築く。また、野手としても豪快なスイングで長打力があり、守備範囲の広さと強肩は既に一軍でもトップクラスだ。早く戦力になる可能性が高いのは外野手と見られるが、リリーフであれば一軍でも通用する可能性は高い。大谷翔平とは違う、新しい形の二刀流を確立したいところだ。

7位:菊地吏玖(専修大→ロッテ1位/投手)

ロッテのドラフト1位ルーキー・菊地吏玖。3月19日のオープン戦では、1回を投げて無失点に抑えた 【写真は共同】

 大学球界でも屈指の実力を誇る本格派右腕。4年間を東都二部で過ごしたものの、着実にレベルアップを遂げ、4年時には大学日本代表でも活躍した。ゆったりとした二段モーションのフォームで下半身が強く、力を入れた時の150キロ前後のストレートは打者を圧倒する勢いがある。制球力も高く、1試合を通じて上手くペース配分することができ、長いイニングを投げる能力も高い。絶対的な決め球となる変化球が課題となるが、総合力は高いだけに、1年目から先発としてある程度の結果を残すことも期待できるだろう。

8位:大津亮介(日本製鉄鹿島→ソフトバンク2位/投手)

 細身ながら数字以上に勢いのあるボールと高い制球力が光る右腕。高校時代は内野手で、投手に専念したのは帝京大進学後という異色の経歴を持つが、社会人でも着実にレベルアップを果たし、上位指名を勝ち取った。指先の感覚が良く、楽に腕を振っているようでもしっかりボールに力が伝わっている。コーナーを投げ分けるコントロールと、緩急を使った投球も大きな長所だ。キャンプ、オープン戦でもしっかりアピールしており、チームのルーキーでは最初に戦力となる可能性が高い。

9位:曽谷龍平(白鴎大→オリックス1位/投手)

オリックスのドラ1左腕・曽谷龍平。3月5日に行われた阪神とのオープン戦では、1回1/3を投げ、2失点で降板とほろ苦い結果となった 【写真は共同】

 左投手では大学生でナンバーワンの呼び声高い本格派。高校時代は控え投手だったが、白鴎大で大きく成長し、4年春にはノーヒットノーランも達成した。スリークォーターから投げ込むストレートは150キロに迫り、サウスポーらしいボールの角度があるのも魅力だ。大学まではあえてスライダー以外の変化球を封印していたということもあって、プロではいきなり長いイニングを投げることは難しそうだが、リリーフであれば1年目からある程度の結果を残す可能性は十分にあるだろう。

10位:友杉篤輝(天理大→ロッテ2位/内野手)

 抜群のスピードと軽快な守備が魅力のショートストップ。大学3年、4年と2年連続で全日本大学野球選手権に出場し、攻守にわたる活躍を見せて大学日本代表入りも果たした。プレーに速さがありながらも球際に強く、難しい打球も何とかアウトにする守備は、職人的な雰囲気を感じさせる。初球から積極的に盗塁できる脚も大きな武器だ。オープン戦ではプロの投手を相手に打撃面で苦しんでいるものの、守備と走塁に関しては持ち味を発揮しているだけに、ショートのレギュラー争いに加わることも期待できそうだ。

(企画構成:スリーライト)

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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