高校サッカー選手権、準々決勝の全試合をプレビュー 4強進出はどのチームに?

安藤隆人

青森山田vs.神村学園(4日14:10~)

前回王者の青森山田はエース・小湊(写真中央)を中心に、相手に圧力をかける 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 苦しみながらもベスト8進出を決めた前回王者・青森山田と、福田師王&大迫塁の2枚看板を軸に勝ち上がってきた神村学園のマッチアップ。

 青森山田は昨年の『歴代最強世代』が抜けたが、松木玖生(現FC東京)から10番を引き継いだエース・小湊絆、前回大会はケガで未出場のDF多久島良紀が攻守の柱を担い、大崩れをしない強固な組織となっている。耐えるべきところは耐えながらも、全員が攻撃の意識を持ち、最前線の小湊を中心に守備から攻撃に切り替わった瞬間、一気に前方へ圧力をかける。セットプレーの強さは今年も健在で、2年生ボランチ・芝田玲の正確なキック、MF奈良岡健心のロングスローから多久島やCB三橋春希らが圧倒的な空中戦の強さを見せる。

 対する神村学園は福田と大迫のホットラインが軸。大迫の縦パスから福田が収めて周りに配ったり、そのままターンして前に仕掛けるだけでなく、大迫が入れ替わって前に出てフィニッシュに持ち込むなど、パターンは多彩。ここに要所で質の高い攻撃参加を見せる左SBの吉永夢希、福田の動きを見ながらポジションを取るFW西丸道人の2年生のタレントがアクセントを加える。さらに途中から1年生・名和田我空が投入されると、フィニッシャーがさらに増えて守備の的が絞りづらくなる。

 青森山田が誇る全国トップクラスの攻守の強度と切り替えの速さに対し、神村学園がいかにいなしながらテンポの強弱をつけて、エース福田の決定力で仕留めることができるか。逆に青森山田は相手にリズムをつくらせずにやり切れるか。息つく隙のない一戦だ。

東山vs.日体大柏(4日14:10~)

 ともに3試合をこなしてのベスト8進出となった。この試合の注目ポイントは日体大柏の左MF古谷柊介、右MF平野伶、柏レイソル内定のオウイエ・ウイリアムと吉田眞翔の『ファンタスティック・フォー』が織りなす破壊力抜群の攻撃と、東山のGK佐藤瑞起、クレバーなCB新谷陸斗、抜群の身体能力を誇る左SB仲里勇真が束ねる守備のハイレベルなバトルにある。

 日体大柏の前線の4枚は相手の守備陣形や狙いに対して、攻撃の形を変化できる力を持つ。フレキシブルにポジションチェンジを繰り返しながら、あらゆる角度から差し込む攻撃と、オウイエをターゲットに吉田がフリーマン的に動いて、古谷と平野がワイドに張りながらサイドを起点に崩す攻撃の両方ができる。逆に東山も、相手の陣形や狙いに合わせて緻密なラインコントロールやチャレンジ&カバーをできる柔軟性と強度を持っているだけに、この駆け引きでどちらが優位に立つかで試合の行方は大きく変わってくる。

 さらに東山は、セレッソ大阪内定のスピードスター・阪田澪哉と、今大会で好調を維持する豊嶋蓮央の2トップを擁し、真田蓮司&松橋啓太のダブルボランチとの連携は全国でも指折り。日体大柏の守備陣が東山の質の高いビルドアップによって、前線4枚の圧力をかいくぐられた時にいかに対応できるかも大きなポイントになる。

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著者プロフィール

1978年2月9日生まれ、岐阜県出身。5年半勤めていた銀行を辞め単身上京してフリーの道へ。高校、大学、Jリーグ、日本代表、海外サッカーと幅広く取材し、これまで取材で訪問した国は35を超える。2013年5月から2014年5月まで週刊少年ジャンプで『蹴ジャン!』を1年連載。2015年12月からNumberWebで『ユース教授のサッカージャーナル』を連載中。他多数媒体に寄稿し、全国の高校、大学で年10回近くの講演活動も行っている。本の著作・共同制作は12作、代表作は『走り続ける才能たち』(実業之日本社)、『15歳』、『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、『ムサシと武蔵』、『ドーハの歓喜』(4作とも徳間書店)。東海学生サッカーリーグ2部の名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター

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