22年JリーグMVP 横浜FM岩田智輝が振り返る 「サッカー人生で一番いいシーズン」
アウェイの川崎戦で芽生えた危機感
ターニングポイントは、首位攻防戦となった第24節の川崎戦。後半アディショナルタイムに痛恨の失点を喫したが、この敗戦を優勝へと向かう糧とした 【(C)J.LEAGUE】
昨シーズンに優勝を逃した瞬間から、今シーズンの優勝のために頑張ってきたので、そういう意味ではオフシーズンにいい準備ができたことが、自分の中ですごく大きなターニングポイントになりました。シーズン中で言うと、アウェイの川崎フロンターレ戦(8月7日/J1第24節)ですね。1位と2位の直接対決で、僕が後半アディショナルタイムにジェジエウ選手に競り負けてゴールを奪われ、チームも負けてしまった(1-2で敗戦)。そのことに強い責任を感じていました。
――アウェイの川崎戦をターニングポイントに挙げる選手は他にもたくさんいました。あの敗戦があったことでチームが引き締まり、優勝につながったと。ジェジエウ選手と競り合った岩田選手は、その敗戦の意味を誰よりも強く意識していたのではないかと思います。
あのシーンは自分の中ですごく悔しくて、「もっとチームを勝たせられる選手にならないと」という危機感が芽生えましたし、さらに成長したいという強い意欲が生まれました。だからこそ次の試合以降、CBとしてより良いパフォーマンスが出せたと思います。
――決して順風満帆というわけではありませんでしたが、それでも最高の形でシーズンを終えることができました。リーグ優勝決定から数日が経った今の心境はいかがですか?
「優勝したんだな……」って、ずっと噛み締めています。まだ相当ふわふわしています(笑)。本当に信じられないですね。F・マリノスに来て良かったと、心から思っています。
――優勝した後の周りの反響はいかがでしたか?
知り合いやお世話になった方々からたくさんのメッセージをいただいて、本当にありがたかったですし、嬉しかったです。今の自分があるのは、これまで自分に携わってきてくれた方々のおかげだと思っているので、とても感謝をしています。
自分発信で試合をコントロールできるように
すでに岩田の視線は、来季へと向けられている。オフに良い準備をして、クラブ史上初のリーグ2連覇と自身の2年連続MVPを目指したい 【(C)J.LEAGUE】
自分が最も多くの試合に出ていたので責任感は強かったですし、試合に出るからには勝利のために全力を尽くすことを第一に考えていました。今年は「誰が出てもF・マリノス」という意識をすごく強く感じていて、試合ごとに出場メンバーが変わるなかで、常に周りとコミュニケーションを取っていきました。
でも、ピッチ内外ですごくいいコミュニケーションが取れていましたし、(ケヴィン・)マスカット監督が掲げる「アタッキング・フットボール」をしっかり理解して、自分から周りを動かせたのでは、と思います。
――昨シーズンは岩田選手よりも経験のある選手と一緒にプレーする試合が多く、誰かに引っ張ってもらえる状況がありました。しかし今シーズンは、常時試合に出場し、チームのバイオリズムを誰よりも深く理解している選手になったことで、これまで以上に周りを統率していかなければならない立場に変わったのではないですか。
昨シーズンはF・マリノスに加入して1年目で、正直ちょっと周りに甘えていたというか、ある意味、自分が好きなようにやれていた部分がありました。でも今年はリーグ優勝を逃した悔しさを知る身として、選手が入れ替わったなかで、しっかりチームを引っ張っていかなければいけないという責任感を持っていました。だからこそ、自分発信で試合をコントロールできるようになったのではと思います。
――来シーズンは、これまでF・マリノスが成し遂げたことのない目標、アジアとJリーグのダブル制覇を目指して戦うことになります。連覇のために、何が重要になってくると思いますか? そして、個人的には2年連続のリーグMVPも狙っていきますか?
F・マリノスの強みは、「アタッキング・フットボール」という基盤があることだと思います。そこをさらに積み上げられるかが、2連覇を実現するためにはすごく大事になってきます。オフの間にいかにいい準備ができるかで、次のシーズンの結果が変わってくるというのは、今年すごく実感したことです。なので、今シーズンのようないい準備をしたい。個人としては、今シーズンは2得点しかできなかったので、2度目のMVP受賞で中村俊輔さんと肩を並べるために、ゴールなど目に見える結果にもこだわっていきたいと思っています。
(企画・編集/YOJI-GEN)