【TEAM DIARY BY KAMAKURA INTER】#011 泉舜大 ー 鎌倉インテル入団は、大きな成長のきっかけになった
【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】
ここではクラブ創設5年目のシーズンを戦う選手、スタッフらにスポットを当てる。今回は、今シーズン新加入のMF泉舜大。
(文・本多辰成/スポーツライター)
ほろ苦いスタメンデビュー戦、万全の準備でリーグ後半戦へ
ほろ苦いスタメンデビューとなったアウェイでの平塚SC戦 【㋚写真】
そして、チームの開幕連勝が5でストップした南FC戦の翌週に行われた平塚SCとの第7節で、泉は右サイドハーフとして初のスタメン出場を果たす。巡ってきたチャンスで存在感を示したいところだったが、その一戦では思うようなプレーを見せることができなかった。
「それまで調子はずっと安定していい状態が続いていて、平塚SC戦で初めてスタメンでの出場となりました。でも、その試合でのプレーは過去一の悪い出来で、前半で交代という悔しい結果になってしまいました」
開幕5連勝がストップした直後、チームにとっても仕切り直しの重要な一戦は3対0の快勝。勝負のリーグ戦後半へ向けて大きな勝ち点3を獲得したが、泉にとってはほろ苦いスタメンデビュー戦となってしまった。
「初めてのスタメンで緊張も少しあったと思いますが、それまでの練習や準備のところはそれほど間違ってはいなかったと思います。運が半分、実力が半分という感じで捉えているので、あまり気にしないようにしています。チームとしても個人としてもリーグ戦のない8月が肝になると思うので、明確に『ここが成長した』というところをつくってリーグ戦再開に備えたいと思います」
自己中心的プレーが成長を妨げた学生時代
「自己中心的なプレーをしていた」と振り返る学生時代 【泉舜大】
「高校の同級生の横田が所属していることもあって以前から鎌倉インテルの存在は知っていて、面白そうなクラブだなと思っていました。実際にチームに入ってみての最初の印象は、『大人』が多いなと。社会的にも自立していて、サッカーに加えてもうひとつ軸を持っている人が多いと感じます。これまでずっと学生サッカーをしてきたので率直に、自分を持っている人が多いチームだという印象が強かったです」
泉は1998年、東京都の出身。浦和レッズファンの母親の影響で幼い頃にサッカーを始め、「チームで一番うまかった」という小学校時代はチームの中心的存在として自信を持ってプレーしていた。だが、各所から好選手たちが集まる三鷹F.A.に所属した中学時代は挫折感を味わい、「自信をなくして心を閉ざしてしまった暗黒期の3年間だった」と振り返る。
その後、父の勧めもあって進んだ文武両道の強豪、三鷹高では精神的にも立ち直り、サッカーに対するモチベーションが復活。高校卒業後も、進学した青山学院大でサッカーを続けた。
サッカーを始めた小学校時代以来、それぞれの年代でチームにおける立場やサッカーに対するモチベーションは異なっていたものの、大学時代までは一貫して「自己中心的なプレーをしていた」と泉は振り返る。
「小学校時代は自分が一番うまいと思っていたので、ずっとドリブルをしているような選手でした。自信をなくしてずっと逃げ続けていたような中学時代があって、高校ではまたサッカーが楽しくなったんですが、今思えば、チームの一員という意識は弱くてずっと自己中心的なサッカーをしていたと思います。それが原因で、なかなか結果に結びつかずに成長できなかったような気がします」
そんな泉のサッカー人生は今、鎌倉インテルで大きく変化しようとしている。きっかけとなったのは、Jリーグで10シーズンのプレー経験を持つチームメートのMF内藤洋平からかけられた何気ないひと言だった。
鎌倉インテル入団は、大きな成長のきっかけになった
MF内藤洋平のアドバイスをきっかけに意識が変化 【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】
青山学院大サッカー部時代、泉は最後までトップチームでプレーすることはできなかった。チームメートには高校時代に全国の舞台を経験している選手や本気でプロを目指す選手たちも数多く、実力の差を痛感したという。
しかし、それだけではないところにも原因があったと今は感じるという。トップチームへの昇格を目指す気持ちが強いあまりに監督の目ばかりを気にしてしまい、思うようなプレーができない。自分のプレーばかりに意識が向いており、チームの勝利のために戦う気持ちが欠けていた。
そういった部分が鎌倉インテル加入後に、大きく変化しつつあるのを実感しているという泉。それには内藤からのアドバイスがひとつのきっかけとなったのは間違いないが、それに加えて、クラブ全体の雰囲気や環境も少なからず影響しているという。
「フロントスタッフの方たちも本当に頑張っていて、このカテゴリーの試合にあれだけ多くの観客が集まってくれる。そういうことを目の当たりにしたときに、これまで自分に向いていたベクトルがなんとなく自然に外に向くようになりました。ピッチのなかで自分は選手としてどういう役割を担うのか、みたいな意識が生まれて、プレーも変わってきたような気がしています」
鎌倉インテルへの加入は、人としても選手としても「間違いなく成長するきっかけになった」と話す泉。ひと皮むけたMFは、これからさらなる飛躍が期待できそうだ。
【DAN IMAI】
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