【ONEの侍たち】不良少年に格闘技が教えてくれた弱さと強さ。父となり世界王座を目指す若松佑弥

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【ONE Championship】

世界最大級の格闘技団体・ONEチャンピオンシップ株式会社(以下、ONE)が、2022年3月26日(土)に開催する10周年記念大会「ONE X」。このビッグイベントに出場する日本人選手たちの素顔や魅力に迫る連載の5回目は、グランドファイナル(21時からPPV)第4試合フライ級タイトルマッチで王者・アドリアーノ・モラエスに挑戦する若松佑弥だ。

何度も逃げきてきたけど、もう逃げられない

「ヤンチャでどうしようもない少年でした」
過去をそう振り返るように、怒りを制御できずに喧嘩をしてしまうことが多々あった。高校に進学せずに就職したが、それも長続きせず。「すべてから逃げ出したかった」と18歳の時に鹿児島から上京したことを機に格闘技の世界へ。ファンの1人だった長南亮に師事しTRIBE TOKYO M.M.Aに入門した。
そこから9年の時が経ち、心技体でいつ世界王者になってもおかしくない成長を遂げた。

「本当の強さというものが格闘技のおかげで分かりました」と話すように、試合での闘争心は凄まじいものがあるが、戦いの場を離れればかつての荒れていた面影は感じられない。

大きなきっかけは敗戦と子供の存在だ。
2018年2月4日。日本の格闘技団体・パンクラスのフライ級タイトルマッチを13歳上の仙三(現在、ONEで活躍する池田仙三)と戦ったが、気迫に圧倒された。「地獄のような、悪夢を見ているような」感覚を途中から感じ、5ラウンドでTKO負け。
「内面の強さの大切さを感じました。これはその後もいろんな選手と戦いましたが、仙三さんが一番でした。気持ちさえあれば、体力も年齢も関係ないんだなって」
 その後の再起戦に勝利し、2018年9月からはONEに参戦。2019年3月には元UFC王者のデメトリアス・ジョンソンと対戦して健闘し、12月には子供も産まれ、その顔を見た瞬間に覚悟は決まったという。
「“俺が負けたら終わりだな”って思いは1人の時とは違いますよね。これまで何度も逃げきてきたけど、もう逃げられないぞという気持ちです。やるかやらないかは自分次第。逃げるのは簡単だけど、逃げたら振り出しに戻るだけだと思うんで」

【ONE Championship】

「昔の自分に戻ったら終わり」

ONEで5連勝を記録し、ついにタイトルマッチにこぎつけた。
かつて気の短さから周囲に迷惑をかけた男の姿はそこに一切ない。

「相当弱い自分を知っているので、昔の自分に戻ったら終わりだと思っています。家族や仲間と楽しく過ごすにはお金が必要だし、そのためには何かを我慢して頑張らないといけない。そう考えると、みんな我慢をしながら頑張っているんだと気づいたんです。すれ違う人たちもいろんな悩みを抱えて、俺より苦しい思いをしている人だって、たくさんいるだろうし」

格闘技は人間の本質的な弱さ・強さを教えてくれた。守るべきものもできた。
一世一代の大勝負。ありのままの若松佑弥で、王者モラエスを倒しに行く。


取材・文=高木遊

ONE Xは3月26日(土)14時から「ABEMA」の格闘チャンネルおよびABEMA SPECIALチャンネルにて生中継。21時からのメインカードは「ABEMA PPV ONLINE LIVE (アベマ・ペイパービュー・オンライン・ライブ)」にて、ONEの大会として初となるPPV形式で生中継される。
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著者プロフィール

シンガポール発、アジアで絶大な人気を誇る格闘技団体「ONEチャンピオンシップ」! 世界トップクラスの選手や日本人注目選手の最新情報をお届けいたします。

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