連載:#BAYSTARS - 横浜DeNAベイスターズ連載企画 -

蝶野正洋が語る三浦大輔監督2年目への期待「厄払いは済んだ、カッコイイ姿を」

ライトハウス

自分が観に行くと負ける(苦笑)。長いペナントを勝ち抜くためのマネジメントにも期待

98年1月4日、東京ドーム大会で蝶野さんとともに入場する三浦監督と鈴木コーチ 【撮影:原悦生】

――昨年、三浦監督が就任した際に新聞の企画で対談をしていましたが、監督としての三浦さんはどのように見ていますか?

蝶野 去年はたしか最下位でしたよね? これは俺が悪いかもしれない(苦笑)。

――どういうことですか?

蝶野 俺は三浦監督の現役時代、登板するときに2回くらい応援に行っているんですよ。でも、応援すると必ず負けるんです(苦笑)。バックネット席で見ていると、視界に入って意識しちゃうみたいなんですよね。だから、監督初年度に対談をしたけど、「俺と最初に絡んだら悪い結果が出るんじゃないかな」みたいな話はしてたんですよ(笑)。嫌な予感が当たっちゃいましたよね。でも、これで厄払いは済んだということで今年は大丈夫でしょう。

――逆に縁起の良いデータもあって、一緒に東京ドームで入場した98年はベイスターズが日本一になっています。

蝶野 良い面と悪い面があるんだとしたら、昨年は悪い面が出たから、今年は良い方向にいくと思います。監督といえば今は日本ハムの新庄監督が目立っていますけど、セ・リーグでそれに対抗できる華のある監督といったら三浦監督しかいないと思うので、今年はもっと三浦カラーを全面に出してほしいですね。1年目は様子見という部分もあったと思いますが、今年は鈴木コーチが戻ってきたこともありますし、良かったら俺がサングラスをプレゼントするから(笑)、二人でドンドン盛り上げてほしいですね。

――蝶野さんご自身も新日本プロレスの現場監督を務めたことがありますが、個性の強い集団を率いるためにはどんなことが大事だと思いますか?

蝶野 選手のタイプにもよりますけど、みんなが出たがりだったら、「どうぞ、どうぞ」の精神で、選手を自由に泳がせる。プロレスの場合はみんな目立ちたいから出たがるので、それを押し出してやるし、次には控えている人間も押し出して、最後に自分がおいしいところをもっていくようにしていました。野球の監督も似たところはあると思います。プロの選手たちなので、ある程度は自主性に任せて「どうぞ、どうぞ」と押し出していって、最後に監督は胴上げをしてもらえばいいわけですから。それこそ98年のベイスターズは、三浦監督や鈴木コーチも含めて、自主性のあるチームだったんじゃないですか。今のチームはちょっとおとなしいというか、行儀がいい印象がありますよね。

――選手のキャラクターがもっと出たほうがいい?

蝶野 横浜って悪のイメージと上品なイメージと両面あると思うんですけど、今のベイスターズは上品のほうがちょっと強いかもしれない。でも、横浜は横浜で昔ながらのヤンチャな部分も魅力だと思うので、三浦カラーでもっとそういうところが出てもいいかなと思いますね。

――ペナントレースは143試合の長丁場です。少し違いますが蝶野さんは“G1男”と呼ばれ、長いリーグ戦を勝ち抜くプロでした。こういう長丁場を勝ち抜く蝶野さん流の秘訣を教えてください。

蝶野 大事なのは選手個々の自己管理ですよ。プロレスもそうなんですけど、若い選手はちょっとした不調や故障を見逃してしまいがちなんです。三浦監督なんかはケアをしっかりやってきたからこそ、あれだけ長く現役を続けられた。結局、ケガで選手が揃わなければ長いペナントは戦いきれないので、そういう部分のマネジメントも三浦監督には期待したいですよね。

選手全員リーゼントで一体感を出す。カッコイイ三浦大輔を見せてほしい

――蝶野さんは今年のベイスターズは、どのように見ていますか?

蝶野 いい選手はたくさんいますよね。それに加えて、去年のドラフトで監督自ら引き当てて、18番を継承した小園投手もいますし、監督と同じ名字の三浦投手も入ったということで、新戦力にも期待したいところはあります。せっかくだから開幕戦は、強制的にみんなでリーゼントにして気合を入れて臨むっていうのもいいかもしれないですね。俺らがプロレスでチームを組んでたときも、みんなで同じTシャツを着てチームの一体感を出していたんですけど、野球はみんな同じユニフォームを着るのが普通だから、それだけじゃなくてリーゼントで一体感を出す。これでベイスターズの優勝に向けて勢いがつくと思いますよ(笑)。

――帽子をとってみんながリーゼントだったら威圧感がありますね。

蝶野 そういう遊び心があってもいいですよね。そういえば、98年1月に合同トレーニングをやったことがあって、そのときに苦手チームの話をしたら「阪神」って言ってたんですけど、ベイスターズは今も阪神が苦手ですよね(苦笑)。もう苦手なところは割り切って、勝てるところに確実に勝っていくっていうのでもいいんじゃないかって思いますよ。

――24年ぶりの優勝を狙う上ではどんなことに期待しますか?

蝶野 前回の優勝から四半世紀近くなるので、そろそろという気もしますよね。三浦監督の3か年計画の2年目ということもありますし、今年は優勝への足掛かりをつくる年かなと思っています。ずっとトップを走り続けて優勝っていうのもいいんですけど、俺としてはギリギリ3位に食い込んでクライマックスシリーズに出て、そこから日本シリーズまで勝ち上がって最後は優勝する……みたいなドラマチックな展開がみたいですよね。そのほうが盛り上がりますから。

――では最後に三浦監督、ベイスターズへのエールをお願いします。

蝶野 今年は三浦カラー全開で自由奔放にカッコイイ監督を選手たちに見せつけて、選手たちが嫉妬するような監督になってもらえればと思います。自分もプロレスではリーダーとして、試合だけじゃなくて、メディアに出たり、アメリカに行ったり、常に行動してました。それを見て他の選手が安心したり、刺激になったりというのがあったと思います。常に俺が前を歩いていました。監督がカッコイイ姿、戦う姿勢を示していけば、自ずと選手も発奮すると思うので、カッコイイ三浦大輔を見せてほしいです。

蝶野正洋

ちょうの・まさひろ/1963年9月17日、東京都出身。1984年に新日本プロレスに入門し、同年10月5日、武藤敬司戦でデビュー。新日本プロレス時代は、武藤、橋本真也とともに闘魂三銃士の一角としてG1クライマックスで5度優勝を飾るなど活躍。自身が率いたユニットnWoでは、マット界に空前のブームを巻き起こした。リングを離れている現在は、「消防応援団」「AED大使」を務めるなど、さまざまな形で地域貢献をしている。

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