F1 2022年シーズン開幕特集

角田裕毅が肌で感じた“凄すぎるF1の世界” 独占インタビュー

柴田久仁夫

やっぱりアロンソはうまい!

「チームメイトに負けたら明日はない」とは、F1の世界でよく語られる言葉だ。同じクルマに乗るガスリーに対して、角田がどれほどのパフォーマンスを見せるのか 【Red Bull Content Pool】

──ライバルかつチームメイトであるピエール・ガスリーは、レース週末の準備の仕方とか、間近で見ていて参考にすべきところ、感心したところなどはありましたか。

角田 レースに向けた準備はそれぞれ自分に合ったやり方があると思うんですけれど、ピエールのやり方はもちろん参考になります。一番感じたのは、シーズン前の過ごし方ですね。しっかり身体を作ってきていて、それには驚きました。F1は、そこまで身体を鍛えないとダメなんだと。正直、F2から上がってきたときの僕は、そこまでの必要はないと思っていました。だからたいしたトレーニングもせずに臨んだわけですが、いざF1に乗ったら、こんなにキツイのかと。しかも、気づいたときにはもう手遅れで……。1レースで3〜4キロも体重が減るなかで自分の甘さ、経験を積んできたドライバーとの差を痛感しました。

──コース上で実際にバトルしてきたドライバーのなかで、印象に残った存在は?

角田 アロンソのスタート1周目の巧さは、やはり印象に残っています。全ドライバーがあれだけアグレッシブに行く状況で、しかもグリップレベルは低い。スタート直後にクラッシュしてしまったら、チームに大損害を与えてしまう。そんなプレッシャーのなか、誰よりも「前に行くんだ」という意気込みの強さは本当に凄いと思いました。他の誰よりも、やはり(フェルナンド)アロンソですね。

──去年は何度もアロンソとバトルを繰り広げました。

角田 そうですね。負けたり勝ったり……いや、負けたほうが多かった。だからこそ最終戦アブダビGPで彼とバトルをして勝てたことはうれしかったです。あの歳になっても「誰にも負けない」という強い気持ちで走っている彼には本当にリスペクトしかありません。少しでも近づけるような意気込みでレースしたいですね。アロンソ選手にはまだまだかなわないですけれど、気持ちで勝てたと思えるレースがあったのは良かったです。

──最後の質問です。DAZNで配信中の自身のドキュメンタリーは観ましたか。

角田 はい。まだ全部を見終わってはいないのですが、5話くらいまでは観ました。自分のバックグラウンドが、まるまる描かれていて、親がたくさんコメントしていましたね。親が自分のことを話している内容を聴くことって実はなかなか機会がないので、びっくりもしたし、面白くかっこよく作っていただいているのでうれしい限りです。ピエールとの関係とか、去年の自分を振り返るときに、自分自身が忘れていたことをいろいろと思い出させてくれる。それぐらい事細かく、要点を押さえて作ってもらっていますね。いいドキュメンタリーだと思います。

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著者プロフィール

柴田久仁夫(しばたくにお) 1956年静岡県生まれ。共同通信記者を経て、1982年渡仏。パリ政治学院中退後、ひょんなことからTV制作会社に入り、ディレクターとして欧州、アフリカをフィールドに「世界まるごとHOWマッチ」、その他ドキュメンタリー番組を手がける。その傍ら、1987年からF1取材。500戦以上のGPに足を運ぶ。2016年に本帰国。現在はDAZNでのF1解説などを務める。趣味が高じてトレイルランニング雑誌にも寄稿。これまでのベストレースは1987年イギリスGP。ワーストレースは1994年サンマリノGP。

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