ファンが選ぶ「水島新司漫画・人気キャラクターランキング」トップ20
清原「4番打者のあるべき姿を学んだ」
南海ホークス、福岡ダイエーホークス、福岡ソフトバンクホークスと「ホークス一筋37年」バットを振り続けた“あぶさん”こと景浦安武。 【写真提供:オグマナオト】
「一番の魅力は、ホームランかな、印象に残るホームランが多いから」(50代男性)
「ドカベンの主人公であるだけでなく、捕手として必要なことは何かを、また打者としての球種の絞り方を教えてくれたから」(60歳以上男性)
「良く読んで、真似していました。特に山田太郎が動体視力の鍛練で、電車から駅の看板を読むのを見て、実際には難しかったのを思い出しました」(50代男性)
あの清原和博が「4番打者のあるべき姿を山田太郎から学んだ」と語ったのは有名な逸話。そんな清原同様、全国の野球少年たちが山田の打撃、練習法から何かを学ぼうとしていたことが今回のアンケートからも改めて浮き彫りとなった。
『ドカベン』中学時代編から登場し続けた山田、岩鬼、殿馬の3人がトップ3を形成し、4位にはもうひとつの代表作、『あぶさん』の主人公、“呑んべえスラッガー”景浦安武がランクイン。続く5位には『ドカベン明訓四天王』最後のひとり、“小さな巨人”こと里中智が選出された。『ドカベン』と明訓高校の強さを改めて感じるランキングと言える。
野球漫画の固定観念の打ち破った水島漫画
『あぶさん』『ドカベン』シリーズと並ぶ代表作『野球狂の詩』。その顔役である二人、“球聖”岩田鉄五郎、“ドリームボール”水原勇気もトップ10入り 【写真提供:オグマナオト】
『ドカベン』で山田・岩鬼・殿馬・里中が明訓高校に入学し、最初の公式戦で対戦したのが白新高校のエース、不知火。以降、激戦区神奈川において、何度も明訓と山田たちの前に立ちはだかった。余談だが、「白新」とは水島自身が通った中学校の校名だ。それだけ思い入れが深かったこともうかがえる。そして不知火は、『プロ野球編』以降も常に山田太郎の好敵手として、160キロ超えのストレート、落差の大きいフォーク、ハエが止まる超遅球を駆使し続けた。そんな姿がファンの共感を呼んだのだろう。
「ひたすらに努力するところが好き。運に見放される場面も多く、普通なら心が折れそうな場面でも最後まで相手に立ち向かう不屈の闘志を持っているところ」(30代女性)
「一番山田太郎を苦しめた投手だと思うから。豪速球と超スローボールを使い分けるところもいい。同じ神奈川県でなかったら、絶対甲子園に行っていた」(50代女性)
「水島新司先生の作品の世界では日本一の投手で日本球界の至宝。言動も顔もすべてがカッコイイ」(50代女性)
なぜか女性からの熱いメッセージが多かったのが興味深い。負け続けてもなお立ち上がって成長を続けた姿は、確かにすべてがカッコよかった。
水島新司以前、「主人公エースが魔球を投げる」のが定番だった野球漫画の固定観念の打ち破り、「チームスポーツとしての野球の面白さ」を描き続けた水島新司の偉大さを改めて痛感するものとなった。