リステッド競走優勝馬はハイレベル!?
【2019/1/5 中山10R カーバンクルステークス 1着 12番 モズスーパーフレア】
そこで今回は、リステッド競走優勝馬がその後どんな活躍を見せているのかを、非L競走と比較しつつみていきたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。また、2歳のオープン特別はリステッド競走の設定が少なく、3歳戦は逆にリステッド競走ばかりのため、集計対象は2019年以降本年10月24日までの3・4歳以上の平地競走とした(次走以降の集計期間も同様)。
リステッド競走優勝馬の次走以降のクラス別成績(平地のみ)
■表1 【リステッド競走優勝馬の次走以降のクラス別成績(平地のみ)】
まず表1はリステッド競走優勝馬の次走以降のクラス別成績。2勝以上馬は1勝目の次走以降のみを対象とし、2勝目以降の重複カウントは行っていない(表2も同様)。表にあるとおり非L競走に出走した際の成績が非常に良く、勝率18.1%、複勝率37.2%と安定している上、単複の回収率も100%を超えている。また、ふたたびリステッド競走に出走したときの成績も上々だ。
非L競走優勝馬の次走以降のクラス別成績(平地のみ)
■表2 【非L競走優勝馬の次走以降のクラス別成績(平地のみ)】
一方、表2は非L競走優勝馬の次走以降のクラス別成績。表1との違いは明らかで、リステッド競走優勝馬に比べ、非L競走出走時、リステッド競走出走時とも好走確率は低い。オープン特別に出走しているかぎりは、やはりリステッド競走優勝馬のほうが非L競走優勝馬より信頼性は高いと言えるだろう。
ただ、ここで「オープン特別に出走しているかぎり」としたのは、重賞競走が舞台になると両者の関係が逆転しているためだ。G3への出走数はリステッド競走優勝馬のほうが多いにもかかわらず、勝利数は非L競走優勝馬が多いなど、重賞での好走確率は全体的に非L競走優勝馬のほうが高い傾向にある。また、リステッド競走優勝馬からは後のJRA・G1馬が出ていない一方、非L競走優勝馬は2020年にモズスーパーフレアが高松宮記念を制した。
後にJRA重賞を制した非L競走優勝馬
■表3 【後にJRA重賞を制した非L競走優勝馬】
表3は非L競走優勝馬のうち、後にJRAで重賞を制した18頭である。先に触れたモズスーパーフレアがその筆頭格で、ほかに府中牝馬Sを制したサラキアの名前も見られる。2018年夏の500万特別優勝後は勝利から遠ざかっていた馬が、2020年の小倉日経オープン優勝を足がかりに府中牝馬S制覇、エリザベス女王杯2着と飛躍し、さらに年末には有馬記念でクロノジェネシスの僅差2着に激走したのは記憶に新しい。
後にJRA重賞を制したリステッド競走優勝馬
■表4 【後にJRA重賞を制したリステッド競走優勝馬】
最後に表4は、後にJRA重賞を制したリステッド競走優勝馬。このうちアルクトスは盛岡でダートのJpn1・南部杯を連覇しているが、2019年に非L競走の欅Sを制しており表3と重複。今年のドバイゴールデンシャヒーンで2着になったレッドルゼルも同様で、表4でのみ名前が挙がった馬としてはヴィクトリアM2着のランブリングアレー、高松宮記念3着のダイアトニックあたりが代表になる。
以上、3・4歳以上のオープン特別優勝馬の次走以降について、リステッド競走優勝馬と非L競走優勝馬に分けて検証してみた。まだリステッド競走が設定されてから3年足らず。今後この傾向に変化が出る可能性もあるが、現状では重賞でリステッド競走優勝馬を非L競走優勝馬より上位にとる必要はない。しかし一方で、オープン特別で戦っているかぎりはリステッド競走優勝馬が優位。この2点を踏まえてレースの予想にあたりたい。
文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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