駒澤大・大八木監督が手にした奥義とは 個の成長にこだわり、世界で戦える選手に

加藤康博

箱根を勝ち切った上で、先の未来を目指す

「今回の箱根も1、2年生が多く走りました。彼らはまだまだ強くなれます」と、闘将は視線を先に向ける 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 新たな練習の確立と、きめの細かい指導法にモデルチェンジしたのが重なり、駒澤大は念願の箱根駅伝王者の座を取り戻した。今後、大八木監督にとっては中村が東京五輪を控え、そしてエース・田澤廉(2年)はトラックで世界を目指すべく、ハイレベルな挑戦を続ける。こちらは5月の日本選手権が最初のターゲットだ。

「箱根駅伝はもちろん大切ですが、それが全てではありません。選手それぞれの個を伸ばし、活躍できる土台を作ることも大学での指導の大きな目的です」

 新チームのテーマのひとつが個人のレベルアップ。こだわるのはこれまで同様、1万メートルのタイムだ。

「スピード強化は選手の将来につながりますし、箱根駅伝自体も高速化しています。これはいい傾向です。ハイペースで20キロを競うレースに向けた練習は、必ずマラソンにつながります。将来を見据える上でも、この流れをさらに加速させたいですね」

 新年度も目指すのは1万メートルの平均タイムでトップを取り、その戦力で箱根まで勝ち切るチームを作ることだ。その上で、学生長距離界をリードする田澤のような「個人」の育成も並行して行う。これまで通り、学生の間にマラソン挑戦できる素養のある選手にはどんどん挑ませるつもりだ。

 速さを強さへ。箱根駅伝からその先の未来へ。勝利を手にし、自信を得た闘将の表情は今、生き生きとしている。

「今回の箱根も1、2年生が多く走りました。彼らはまだまだ強くなれます。これからどこまで力を伸ばしていけるか。そう考えると楽しみですね」

 その指導から今後、どんな選手が生まれてくるのかに期待したい。

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著者プロフィール

スポーツライター。「スポーツの周辺にある物事や人」までを執筆対象としている。コピーライターとして広告作成やブランディングも手がける。著書に『消えたダービーマッチ』(コスミック出版)

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