連載:『やべっちF.C.』の功績 新番組『やべっちスタジアム』の全貌

やべっち×名波浩のコメントかぶりは必然「いま矢部さんがおっしゃいましたが…」

馬場康平

異業種サッカー日本代表なわけですよ

矢部さんと名波さんの“MFあるある”は尽きない。似た者同士だからトークの呼吸もピッタリだ 【浦正弘】

 そして、この対談で飛び出した、とっておきのエピソードがこれだ――。

「矢部さんのサッカー愛が伝わったエピソードを教えてください」

 そう名波さんに聞くと、まるで準備していたかのようにスラスラと話が展開していく。

「それなら、『僕の引退試合に出てくださいよ』って言ったときですね。ふたつ返事で『おお、ええのん?』って。『普通だったら、いやいや、オレなんて』って言うんですけどね(苦笑)。特に、土田(晃之)はひどくて『絶対に無理、無理』ってなかなか承諾してくれなかった。でも、矢部さんは『オレ、ええのん?』って前のめりで」

 10年前に開催された、名波浩引退試合『ミスターレフティー・メモリアルマッチ』には、現役選手やOBだけでなく、Mr.Childrenの桜井和寿さんや、ペナルティーのワッキーさんなど、サッカー界以外からもそうそうたる顔ぶれが集まった。実際に、4万3000人を超える観客を集め、大盛況でレフティーの花道は飾られた。

矢部「確かにおかしいな。冷静に考えたら」

名波「おかしいですよ。どれぐらい観客が入るかは事前に分かっていなかったけど、それでも何万人と入る試合にですよ。その試合に出たいという気持ちが勝ってしまうのは、サッカー愛以外の何物でもない。きっと、番組とか関係なく、出てきた言葉だったと思うので」

矢部「謙遜よりも、『出たい』って気持ちが勝ったのよね。ほんまやわ。痛いわ、オレ(苦笑)」

“異業種サッカー日本代表”と元日本代表は今後 『やべスタ』でどんなコンテンツをつくっていくのか 【浦正弘】

 開幕したばかりの『やべスタ』で、これからどんなサッカーコンテンツをつくっていきたいのか――。ふたりにそう聞くと、「これまでと変わらぬ、サッカーの楽しさを」「データを利用した、ワンプレーの深掘りも」「食育、睡眠の重要性を伝えていけたら」と、異口同音にアイデアが湧き出てきた。

 最後に、矢部さんがこう対談を締めくくる。

「趣味が、好きなものが仕事になっているんですよね。お笑いも好きで始めたんですけど。小学校から好きなサッカーがいまも仕事になっている。だから毎週楽しいです。子どもができてなんやかんやゴチャゴチャやることがあって、家出る前は『もう夜も遅いのに、いまから仕事か』って憂鬱(ゆううつ)になることもあるんです。でも、現場に来てサッカーを見たら、そんなことは全部忘れる。不思議ですよね。夏の練習もそうやんな。だるいわ、しんどいわって血尿が出るまで走るって分かっている。でも、練習にいったらいったで楽しいし、負けたくない。そんな感覚とどっか似ている。僕は、いまでもサッカーに魅せられているんやと思います」

 名波さんは、そうやって出てきた言葉をくみ取り、的確なワードに置き換えた。

「単純に、サッカー人じゃない人が、サッカー番組のMCをやり続けてきた。異業種サッカー日本代表なわけですよ、矢部浩之は」

 ふたりの話は尽きず、ついつい昔話にも“さかのぼる”。それは、そうだ。同世代で年齢もひとつ違い、夢中で変わらず “サッカーのボール” を追い続けてきた。いまでも、ついついゴールへの道筋を先追いし、その最適解を探してしまう。それはお笑いも、フットボールの世界でも変わりはない。どこか似た者同士だから、このふたりの呼吸はいつもピッタリだ。

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著者プロフィール

1981年10月18日、香川県出身。地域新聞の編集部勤務を経て、2006年からフリーに。現在、『東京中日スポーツ』等でFC東京担当記者として取材活動を行う。2019年に『素直 石川直宏』を上梓した。

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