新型コロナに振り回されるバド五輪レース フクヒロもタカマツも…各々感じる苦しさ
歴史を刻んだ遠藤/渡辺の男子ダブルス
日本勢の優勝が唯一なかった男子ダブルスで優勝を飾った遠藤/渡辺組。五輪でのメダル獲得の可能性も現実的となった 【写真:ロイター/アフロ】
遠藤/渡辺は、この大会が今季初戦だったが、世界ランク1位、2位のインドネシアの2ペアを撃破する見事な勝ち上がりで、五輪でのメダル獲得の可能性を感じさせた。2人は、昨年末にシーズンの成績上位選手のみが参加して行われた、BWFワールドツアーファイナルズでも世界ランク上位を次々に破って準優勝。決勝戦も敗れたとはいえ接戦だった。
歴史ある全英オープンで、日本勢の優勝が唯一なかった男子ダブルスにタイトルをもたらし、渡辺は「全員が最後まで諦めずに戦い抜く大会の中で、僕らが最後までコートに立てたことには、すごく意味がある。世界ランク1位、2位のペアにぶつかって勝って優勝できたことが財産。何でも、最初の1番は気持ちがいい」と手応えを語った。
遠藤とのペアでリオ五輪に出場した早川賢一(現・日本代表コーチ)が現役を引退した後、2人のペアが誕生した。4年で東京五輪のメダルという青写真を現実のものとする歩みだが、遠藤は「組み始めたときから、東京五輪に出るという話だった。(全英を)優勝するとは思っていなかったけど、このランキング(世界ランク8位以上で日本勢トップ)まで来たことは、計画どおり。これを良い自信につなげて、もっと(実力を)上げていかなければいけない」と、さらにメダル獲得の可能性を高めていく意気込みを示した。
不透明な先行きは選手のストレスに
他競技も同じだが、新型コロナウイルスの状況に、バドミントン日本代表も振り回されている。全英に向けた出国時には、日本からの入国制限が広まる可能性を考慮して、帰国をせずにレース終了までの大会を海外に滞在しながら参加する50日遠征のプランを立てていたが、大事な大会の開催中にレース中断が発表され、このプランも変更。大会終了後、すぐに帰国することになった。
アスリートにとって、試合が定まらず、準備をしにくいことは、大きなストレスとなる。まして、人生を懸けた五輪という大舞台。全英優勝で五輪出場が決定的となった福島は「コロナとかいろいろな状況がある中、大会が無事に開催されて(当面、開催が決まっているのは)この大会だけというのもあったので、気持ちを入れて試合に臨んで、すごく楽しかった。(五輪が)どうなるか分からない状況だけど、しっかり準備して臨みたい」と話し、五輪の開催可否や延期の可能性も報じられていることについて聞くと「いつあるのかという日程面は、気になります。早く決まってくれれば調整はしやすいので……」と本音を漏らした。勝って五輪に前進した選手も、敗れて五輪出場が厳しくなった選手も、それぞれの立場で苦しみながら、次の決定を待つしかない。