登山にもおすすめ。裸足感覚で筋力トレーニングにもなるベアフットシューズの魅力
筆者がベアフットシューズと出会ったのは10年前。部活用に初めて「NIKE FREE」を購入した時です。
2004年に発売され、裸足感覚でランニングができると話題になっており、筆者も堪らずに購入。その魅力に一気に取りつかれました。
それから時間が経ち、今では様々なベアフットシューズが開発・販売されています。
この記事では、ベアフットシューズの魅力・選び方、そして筆者が体感している効果について紹介していきたいと思います。ランナーはもちろん、山での正しい歩き方が身についたり、平地で筋力トレーニングができたりするので、登山をする人にもおすすめですよ。
ベアフットシューズの魅力
1. 歩き方が矯正され、怪我の防止が期待できる
筆者が感じている一番の魅力は、歩き方の矯正です。
正しい歩き方は踵の外側から着地する形なので、靴は外側から減っていくのが正しいです。もし内側が減っている、中央部が擦れている、靴の側面が減っているという特徴がみられる場合、猫背であったり体のバランスが崩れていたりする可能性が高いです。
歩き方が悪いと、膝や腰に負担がかかったり、姿勢が悪くなったりと体に不具合が出てきてしまいます。
ベアフットシューズを履くと、歩き方が矯正されてこうした症状が改善されると思います。筆者自身、ベアフットシューズを履くまでは靴の内側から減っていく歩き方をしていましたが、履き始めてからは改善されました。また歩き方が改善されたおかげか、靴の寿命も伸びています。
ちなみに、ベアフットシューズメーカーであるVivobarefootによれば、アメリカのAmerican Academy of Physical Medicine and Rehabilitation（物理療法とリハビリテーション学会）とハーバード大学が、2010年に裸足の効果についてまとめた論文を発表しました。これによれば、裸足は怪我の防止や歩く技術の向上が期待できると述べられています。
2. 登山に効果的な歩き方が身につく
ベアフットシューズのほとんどはソールが薄く、柔らかく、フリクション（摩擦）がよく効くようになっています。そのため、足を地面すれすれで、踵から着地するような歩き方をすると、すぐ踵が痛くなったり地面との摩擦による抵抗を感じたります。
それらを避けるように歩いていると、登山に最適な歩き方が自然と身についてきます。
登山の歩き方の基本は、足を高めに上げ、足裏全体で着地すること。ベアフットシューズを履いていると、足裏全体で着地しないと一部分だけが痛くなってきます。また、フリクションの効きを受けつつ足裏全体での着地を意識すると、自然と足を上げる歩き方になります。
またベアフットシューズは快適性を重視しておらず、普通に歩いていると疲れやすいです。そのため体が自然と、疲れにくい効率的な歩き方に変わります。こうした自然な矯正力がベアフットシューズの魅力だと思います。
3. 筋力トレーニングになる
多くのメーカーが謳っている通り、ベアフットシューズは筋力トレーニングにもなります。
ベアフットシューズは靴のサポートがなく、自分で地面を蹴って歩かなければなりません。そのため一日中履いていると、ふくらはぎが疲れてきます。この筋肉は普段の歩行で使わない筋肉ですが、ベアフットシューズで歩くと、ここをしっかりと鍛えられます。
しかし、普段は使わない筋肉のため、いきなり激しいトレーニングをすると怪我につながる恐れがあります。そのため、ベアフットシューズを取り扱う専門店では、初めての方はいきなりランニングに使わず、ウォーキングや日常生活に取り入れて少しずつ慣れることから始めるのを推奨しています。
余談ですが、筆者が一時期暮らしていたニュージーランドでは、学生たちは寒い冬の日でも体育の時間や庭遊びのときに裸足で走り回っていました。ラグビーワールドカップで日本でも広く知られるようになったオールブラックスの屈強な足腰は、こうした裸足で運動する習慣も影響しているのかもしれません。
ベアフットシューズの特徴
ベアフットシューズの特徴は、それぞれのシューズによって違います。ソールが薄かったり、切れ込みが入っていたり、足型になっていたり、柔らかかったりと、異なるアプローチで、より裸足の感覚に近づけようとしています。
NIKE FREEの場合
https://www.nike.com/de/t/free-rn-flyknit-3-herren-laufschuh-bbFfMR/AQ5707-006
ベアフットシューズブームの火付け役となったNIKE FREEは、その形が昔からだいぶ変わりました。ですが、ソールに切れ込みを入れて柔軟性を持たせ、裸足感覚に近づけているという特徴は変わりません。
この切れ込みによって靴が曲がるため、歩く時の蹴り出しを自分の力で行う必要が生まれ、筋力の増強につながります。実際に履いてランニングしてみると、靴の反発がないので、自分で地面を蹴らなければいけません。
またソールが柔らかく厚いため、コンクリートの上をランニングするときに問題となる膝への負担が少なくなります。
Vivobarefootの場合
https://www.vivobarefoot.de/en/men/vivobarefoot-primus-lite-ii-men.html
筆者が愛用しているVivobarefootという会社のベアフットシューズは、柔らかいソールをハニカム構造にして柔軟性を持たせ、足の形が靴へ直に伝わるという構造をしています。
ソールのハニカム構造によって、凹凸があるときは部分的にへこみます。加えてソール自体も薄いので、道の凹凸を直に感じられるのが特徴的です。
見た目が普通の靴と変わらないので、日常生活に取り入れやすいのも特徴の一つ。またこのブランドは、ランニングシューズからトレッキングシューズまで様々なラインナップを展開しているので、自分の目的に合わせたベアフットシューズを選べます。
Vibram Furoshikiの場合
https://www.vibram-fivefingers.de/vibram-fivefingers/furoshiki-2018-19
登山靴やクライミングシューズのソールで有名なVibramも、数年前からベアフットシューズの開発に取り組んできました。
Vibramのシューズの特徴は、ソールが薄く、柔軟性がある点です。小石やコンクリートの凹凸など地面の特徴を、足の裏でしっかり感じながら歩けます。地面の凹凸に応じて自分でバランスを取る必要があるので、バランスを取るトレーニングにもなります。
またソールが薄くて踵から着地すると負担が大きく、そのため自然と足裏全体で着地する歩き方に変わっていきます。先ほどもお伝えしたとおり、この歩き方は登山においても最も重要なテクニックの一つなので、自然に矯正できるのも良いですね。
一方で、ソールによるサポートがほぼないので、コンクリートなど硬い地面では足への負担が大きくなります。ベアフットシューズ初めての方や膝を痛めている方は注意してください。
Vibram Fivefingersの場合
https://www.barefootinc.jp/item/vibram-fivefingers/8214
最後に紹介するのが、見た目から特徴的な五本指シューズ、VibramのFive fingersです。
これは見た目の通り、それぞれの指が独立しており、いわば究極のベアフットシューズと言えます。
履いている感覚的には、靴というより手袋を足に付けているような、そんな風に感じます。指の動きが制限されないのでしっかり力を入れることができ、トレーニング効果も抜群です。
ただデザインが奇抜なので、日常生活に取り入れづらいのが欠点です。
ベアフットシューズの用途ごとの選び方
今回はそれぞれでおすすめのシューズをご紹介します。
ランニングに使う場合
ランニングに使う場合、ソールが分厚いNIKE FREE RUNタイプが最適です。
特に初めてのベアフットシューズの場合、慣れていないと膝や腰への負担が大きく、怪我につながる可能性が高いです。そのためソールの厚い、クッション性がしっかりしたシューズのほうがいいです。
中でもアスファルトの道でランニングする場合は、土の地面に比べて硬いので、足により大きな負担がかかります。そのため、ソールがしっかりサポートしてくれるランニングシューズタイプのベアフットシューズにしましょう。
■おすすめシューズ
・NIKE FREE RUNシリーズ
https://www.nike.com/de/t/free-rn-5-herren-laufschuh-jvSFJR
NIKE FREE RUNシリーズは、都市でのランニング向けに作られているため、クッション性が高くて足への負担が小さいです。ランニングに最適です。
・NEW BALANCE MT10シリーズ
https://outlet.newbalance.jp/shop/g/gMT10UB
おしゃれなスニーカーとして有名なNEW BALANCEも、ベアフットシューズを販売しています。
このシューズはソールにビブラムを使用しており、都市でのランニングよりはトレイルランニングに重点を置いています。しかし、ソールが厚めになっているので、都市でのランニングにも使用できます。
・MERRELL BARE ACCESS XTR
https://www.merrell.jp/product/men-bare-access-xtr/
トレッキングシューズやアウトドア用のシューズで有名なMERRELLも、ベアフットシューズを販売しています。
このBARE ACCESSは、運動での使用に重点を置いているので、ソールが厚めに作られており、着地の衝撃から足をしっかり守ってくれます。
ウォーキング（日常生活）で使う場合
ウォーキングや日常生活で使う場合は、ランニングシューズタイプか、慣れてきたらVivobarefootタイプのような薄いソールのシューズがいいと思います。
ソールが薄いタイプの利点は、地面の凹凸が感じられてバランスをとる感覚が養われること。一方で、日常生活で歩くのはコンクリートがほとんどのため、慣れていない状態では足に負担がかかり、疲れてしまう場合もあります。
■おすすめのシューズ
・NIKE FREE RUNシリーズ
https://www.nike.com/de/t/free-rn-5-herren-laufschuh-jvSFJR
ランニングのところでも紹介しましたが、NIKE FREE RUNは日常生活にもおすすめです。ソールが厚くてクッション性があり、比較的疲れにくいからです。
またデザインもおしゃれで、形やカラーバリエーションも豊富なので、自身のファッションに合わせて選べるのも魅力です。
・Vivobarefoot RA II
https://www.vivobarefoot.de/en/men/vivobarefoot-ra-ii-men-wild-hide.html
Vivobarefootは、他のメーカーに比べて革靴タイプやスニーカータイプなど、日常生活に溶け込むデザインのベアフットシューズを販売しています。上のような見た目ですが、薄いソールとハニカム構造によって、しっかりとした足裏の感覚、そしてトレーニング効果を得ることができます。
欠点は、日本で正式な取り扱いがない点。しかし、公式ホームページからの購入では日本への発送も行っています。送料はかかってしまいますが、気になる方はチェックしてみてください。
・MERRELL MOVE GLOBEシリーズ
https://www.merrell.jp/product/men-move-glove-suede/
このシューズは、ソールが薄いのに、クッション性がしっかりあります。それを実現しているのが、PORON VIVEというクッションと、VibramのMagagripというアウトソールです。このシリーズにはノーマルとスエードの二つがあり、上の画像のスエードは普段使いのスニーカーのような質感で、日常生活に取り入れやすくなっています。
トレッキング（アウトドアアクティビティ）で使う場合
トレッキング用のベアフットシューズは、あまり種類がありませんが、主にVivobarefootが販売しています。
特徴としては、ソールが普通のベアフットシューズより厚め。そしてトレッキングブーツのようにミッドカットなので、足がしっかり固定され、山道を快適かつ安全に歩ける点です。
慣れてきたらFivefingersなど、トレーニング効果の高いシューズで歩いてみてもいいかもしれません。その際は、ねん挫には十分に注意してください。
■おすすめのシューズ
・Vivobarefoot Tracker Firm Ground
一方でソールは柔らかく、しっかりしたベアフット感があるので、新たなトレッキング体験を得られることでしょう。
・Vibram Fivefingers V-Trek
https://www.barefootinc.jp/item/vibram-fivefingers/19M7401
最後に紹介するのが、Vibramの五本指タイプのV-Trekです。
このシューズは4ミリのソールを採用し、他のFivefingersよりも足の保護と耐久性が高められています。アッパー素材もウールと化学繊維の混紡素材で、耐久性と防寒効果があります。トレッキングとベアフットシューズに慣れた方にオススメです。
気になったら日常生活から取り入れてみよう
もし気になった方がいたら、まずは日常生活から取り入れてみてください。ベアフットシューズは普通の靴と少し勝手が違うので、履いて慣れてから、ランニングやトレッキングにステップアップするのが安全面からもいいと思います。
ひとたび履いたら病みつきになるベアフットシューズ、ぜひ一度、体験してみてください。
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