未来のクラシック好走馬が続出 東スポ杯で見極める皐月賞orダービー向き

JRA-VANデータラボ

皐月賞のほうが高い着順を収めた馬

表2 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 まず、皐月賞のほうが高い着順を収めた馬を見ていく。該当するのは表2に掲載した4頭。その特徴として挙げられるのが、総じて「勝ちタイム」が速いことだ。13年1着のイスラボニータが記録した1分45秒9は過去10年最速のタイムで、現在も東京芝1800mの2歳レコードとして残っている。その前年に1着のコディーノが記録した1分46秒0も当時のレコードで、これが2番目のタイム。18年のヴェロックスは4着ながら勝ち馬とのタイム差はなく、この年の1分46秒6は過去10年で3位タイ。10年1着のサダムパテックも5番目の勝ちタイムだから遅いほうではない。古くより「皐月賞はいちばん速い馬が勝つ」というだけに、東スポ杯を速い時計で走破していた馬が皐月賞で好成績というのは納得しやすい傾向と言える。

 ほかでは「キャリア」にも注目したい。のちに紹介する表3では6頭中3頭がキャリア1戦で東スポ杯に出走しているのだが、表2の4頭にそうした馬はおらず、いずれも2戦以上のキャリアを持っていた。牡馬三冠で最初に行なわれる皐月賞では完成度も問われるだけに、わずかな違いではあってもキャリアの多さが活きる場面があるのではないだろうか。

ダービーのほうが高い着順を収めた馬

表3 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 続いて、ダービーのほうが高い着順を収めた馬を見ていく。こちらで着目すべきは「上がり3F」と「上がり順」だ。表3に掲載した6頭中4頭が東スポ杯で上がり1位を記録しており、上がり33秒台をマークした馬も3頭いる。この通り、ダービーの着順が上だった馬は総じて東スポ杯で速い上がりを使っている。前項の表2を見ると、上がり1位を記録したのも、上がり33秒台を記録したのもサダムパテック1頭だけ。このあたりに皐月賞向き、ダービー向きの適性の違いがよく表れているのではないか。

 先に少し触れたが、表3のほうが「キャリア」も全体に少なく、新馬戦を勝ち上がったばかりのキャリア1戦の馬が6頭中3頭を数える。一般に、キャリアが少ない馬のほうが伸びしろを多く残していると考えられ、これがダービーで着順を上げてくる原動力のひとつになっているのではないだろうか。最後にもうひとつ「父」にも触れておくと、表2にはフジキセキ産駒が2頭いるのに対し、表3にはディープインパクトとハーツクライの産駒が各2頭おり、父に由来する距離適性の差が如実に表れている。

文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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