天皇賞・秋は人気2頭の一騎打ちか否か? 過去データから浮上する“第3の馬”

JRA-VANデータラボ

宝塚記念、札幌記念以外からの休養明けで7番人気以内に推された馬(1986年以降)

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 続いて表6は、前走宝塚記念、札幌記念以外からの休養明け(中9週以上)で本競走に出走し、7番人気以内に推された馬の成績だ(8番人気以下は全馬4着以下)。休養明けにもかかわらず一定の支持を受けただけあって、その多くがG1級の実力馬のため、実績は取捨の参考にはならない。また、馬券に絡んだ6頭中4頭は前走2着以内だが、今年のアーモンドアイと同じく安田記念以来の出走だった2016年2着のリアルスティールは、同レース11着から巻き返している。

 この表6に挙げた18頭の成績は計【0.3.3.12】で複勝率33.3%。同じ1986年以降の本競走7番人気以内全馬では【31.29.23.148】同35.9%と、7番人気以内であれば休養明けでも馬券に絡む確率はほぼ変わらない。ただ、優勝馬が出ていないという点で、先の3歳馬と同じく勝ち切るまではどうか、という不安が残る。

前走毎日王冠からの3着以内好走馬

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 ここからは過去10年に戻り、前走レース別の成績をみていきたい。表7は、前走毎日王冠組の好走馬12頭で、うち8頭は同レースでも1〜3着に入っていた。残る4頭のうち3頭は、芝2000mのG1で3着以内の実績があり、同じく4頭中3頭は毎日王冠で2番人気以内だった。

前走宝塚記念からの3着以内好走馬

表8 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 前走宝塚記念からの好走馬は表8の8頭。表には記していないが、G1で馬券圏内2回以上、または東京でのG1優勝実績(スクリーンヒーロー)を持つことが好走への最低条件になる。それに加え、過去1年以内のG1を制していることが重要だ。例外は一昨年3着のレインボーライン1頭で、同じ宝塚記念組で1年以内のG1優勝実績もあったキタサンブラックとサトノクラウンには先着できなかった。

その他のレースからの3着以内好走馬

表9 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 最後に表9は、札幌記念も含めたその他のレースからの好走馬10頭。全馬がG1またはG2からの参戦だが、前走がG2だった8頭は、そのG2戦を2番人気以内で連対しており、1番人気で優勝しているのが理想だ(8頭中6頭)。また、前走で敗れていた3頭をみると、2011年のペルーサは前年の本競走2着馬。そして2016年のモーリスとリアルスティールは、過去1年以内に海外G1制覇を果たしていた。

結論

 人気の中心になりそうなアーモンドアイは前走・安田記念こそ3着に敗れたが、2走前のドバイターフは優勝。そしてサートゥルナーリアは前走・神戸新聞杯が1番人気1着。ともに表9の条件を満たし、馬券候補としては特に減点材料はなさそうだ。ただ、表5〜6から、どちらも1着候補には強く推しづらい。また、表2にあったように、1、2番人気馬のどちらか一方のみ連対した年が10年のうち8回。共倒れまでは考えづらいものの、他馬による一角崩しも十分に起こりうる。

 その候補は、まず今年の大阪杯を制したアルアイン。2017年の皐月賞も合わせ、この距離でG1・2勝の実績馬だ。前走・宝塚記念は4着に敗れたが、この組は過去1年のG1勝ちさえあれば前走着順は問われない(表8)。

 毎日王冠組(表7)ではアエロリットが2着で条件をクリア。芝2000mは秋華賞7着の1戦のみだが、2013年には同じく毎日王冠で2着だったジャスタウェイが芝2000m【0.0.1.2】(中山金杯3着)で優勝した例などがあり、この馬も一発の可能性は秘めている。

 そしてもう1頭、その他のレース(表9)からウインブライトの名前も挙げておきたい。前走がG1ではなくG2のオールカマーで9着という点はマイナス材料も、2走前には香港でクイーンエリザベス2世Cを制覇。「別路線組・前走2着以下」という括りでみれば、この海外G1制覇によって侮れない存在になる。以上の3頭はいずれも、過去10年で最多の6勝をマークする5歳馬だ(表3)。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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