甲子園という最高の舞台を彩る応援曲 球児が好む曲調は「2つのパターン」がある
21世紀は千葉ロッテの応援曲が大人気
1位に選ばれた「かっせー! パワプロ」は、野球ゲーム「実況パワフルプロ野球」の楽曲だが、複数ある曲の中でも、ダントツで選手受けがいいのがこの曲。大阪桐蔭時代に根尾昂(現・中日ドラゴンズ)が応援曲として使ったこともあり、人気が爆発。この2年ほどで応援に取り入れる学校が急増し、アルプススタンドでタクトを振る大阪桐蔭の吹奏楽部総監督・梅田隆司氏も「ええ曲や」と気に入っている。
「あまちゃん」や「さくらんぼ」の人気も高い。明るくてポジティブな曲調が、スタンドの雰囲気自体も盛り上げ、一体感を与えるのであろう。
21世紀曲で特筆すべきは千葉ロッテマリーンズの応援曲だろう。プロ野球の応援曲を使う高校は少なくないが、現在もっとも人気があるのが同球団の曲で、実に7曲もランクイン。先述した通り、選手たちの好む「勇ましく、打席に立つと奮い立つ」曲調の応援曲が多く、球場で選曲理由をたずねると、球児は皆「カッコいいから」と口をそろえる。千葉の学校だけではなく、北から南まで全国の球児たちに愛されているのだ。
野球部の応援を観察していると、彼らはメガホンでよく歌う。地区大会では「吹奏楽部は準々決勝からじゃないと来ない」といった地域も多く、いわゆる「口ラッパ」で応援することになるため、気持ち良く歌える応援曲も人気が高い。
近年特に人気が高いのが「ダイナミック琉球」で、「海よ〜 祈りの海よ〜」という独唱から始まるのが特徴。1人の野球部員がソロパートを歌いきってから全員で歌うというスタイルが多いのだが、キーが高くてとても難しいため、見事に歌いきると「おぉー!」と歓声が起こり、音を外したら外したで、またスタンドが沸くといった具合だ。
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西と東で異なる「オリジナル曲」の特徴
6日から開幕する101回大会では、どんな曲が試合を盛り上げていくか注目だ 【写真:岡沢克郎/アフロ】
2位は、春夏連続出場の習志野の代名詞といえる「レッツゴー習志野」。1975年に当時の吹奏楽部員が作った曲で、吹奏楽部顧問の石津谷治法氏は、「もう1つ何かオリジナル曲を作ろうかと考えたこともあるけど、『レッツゴー習志野』を越える曲は作れないので、やはりうちはこれ1曲を大事に演奏し続けたい」と同曲の偉大さを語る。
オリジナル曲は、天理の「ワッショイ!」や、PL学園の「ウイニング」、龍谷大平安の「怪しい曲」など古くから関西に有名曲が多く、彼らに影響を受けてオリジナル曲を作ったという学校も多い。これらの曲に共通するのが、「重厚で威圧的な曲」であるということ。相手にプレッシャーを与えるかのような、重々しい曲調が目立つ。
対する関東のオリジナル曲はというと、「チャンス紅陵」や「浦学サンバ」「ガッツ」など、選手を励ましつつ、スタンドを盛り上げるような明るい曲調が多く、西と東とでは傾向がまったく異なるのがおもしろい。
いよいよ6日から始まる101回目の夏。アルプススタンドから聴こえてくる吹奏楽部の応援と熱い声援にも耳を傾けつつ、甲子園という最高の青春の舞台を、手に汗握りながらしっかりと見届けたいと思う。
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