「ラニングクラブについてっていいですか?」ヘルシーランクラブ(後編)

【みんアス】

ランニングクラブを取材し、紹介していく『ランニングクラブについてっていいですか?』
この企画では下記の3点をルールとして、ランニングクラブが持っている雰囲気をお伝えしていきます。
 (1)ランニングクラブの基本情報を伝える
 (2)クラブの練習に参加
 (3)ランニング後の「飲み会」に参加

前編では「TEAMうさかめ」のクラブ概要と飲み会の模様をお伝えしました。
後編ではチームのラントレについってってみました!
(編集部注※2018年11月2日に公開された記事を再編集したものです。)

『ヘルシーランクラブ』代表 柏正俊さんインタビュー

【みんアス】

『HRC』代表の柏さんと初めてお会いしたのは、前回取材した『武蔵野ランニングコミュニティ』(MRC)のラントレ後の飲み会にお邪魔させていただいた時でした。

『MRC』管理人の向井さんに「次回取材させて頂けそうなランニングクラブをご存じの方は、いらっしゃらないでしょうか?」と相談したところ、柏さんを紹介していただきました。

 柏さんご自身がランニングクラブ『ヘルシーランクラブ』の代表をされているとのことでしたので、早速、別の日にお会いしてお話をお伺いすることにしました。

 柏さんが先ず見せてくださったのは、A4オールカラー、100ページ以上もある会報誌でした。柏さんのランニングクラブではこれを年に二回発行し、クラブで行ったイベント、参加した会員の方々の感想や大会参加レポートなどを紹介しています。

HRC会報誌『すずらん』 【みんアス】

「こんなに立派な会報誌を作っているランニングクラブは初めてだなあ」と感心すると共に、その会報誌1ページ目にあるクラブ運営スタッフを見て驚きました。

「編集部」「広報部」はもちろんのこと、「各定期ラントレ・マネジャー」「事務局」「医療チーフ」「ランニングコーチ」「スポーツ医学担当」「法務マネージャー」など、スタッフが各専門ジャンル毎に細分化されているのです。

 現在、『HRC』には185名もの会員の方がいらっしゃいますが、「こうしたシステムがあることで、大規模のランニングクラブを日々運営できるのだろう」と、私は思いました。

 クラブの成り立ちや規模のことなどを一通り聞き終わったところで、「22年も続くこの大きなランニングクラブの代表をやっている柏さんご自身とランニングの関わりをもう少し知りたいなあ」と思った私は、柏さんご自身のことをいろいろお聞きすることにしました。


――柏さんご自身は、いつからマラソンを始められたんですか?

柏さん 会社の人に誘われてマラソンを始めたのは32歳の時です。参加したのは『青梅マラソン』(30km)。

現在69歳なので、その頃から37年間走っていることになります。

――初めてのマラソンで上手く走れたから、“続けよう”と思ったんですか?

柏さん いやいや、全く逆でした。この時のマラソンではいわゆる“ガス欠”でふらふらになってしまいまして、大いに打ちのめされました(笑)。

それで“今度こそちゃんと練習してから大会に出よう”と思ったのですが、翌年も大して走れませんでした。

34歳になった時、流石に“これじゃいかん”と思い、先ず何をやったかというと“20kmマラソンをメインに、毎月一本はマラソン大会を予定に組み込むこと”でした。これをすれば自然と走らざるを得ないと思いまして……(笑)。

――そこからは結構トレーニングに集中されましたか?

柏さん はい。自然と月15日前後走るようになりました。


柏さんはそこから『ヘルシーランクラブ』を立ち上げることになる48歳までの14年間、いろいろな大会に参加されました。

中でも記憶に強く残っている大会は、こんな大会だったそうです。


■35歳『河口湖マラソン』(初フル)
3時間11分52秒
■40歳『河口湖マラソン』
2時間54分51秒(自己ベスト)
■40歳『青梅マラソン』
1時間58分40秒(30kmの自己ベスト)
■41歳『ニューヨークシティーマラソン』
海外初マラソン。以来5回出場。


 初マラソンが“3時間11分”なんて、本当にすごいと思います。

 因みにここ直近でのフルマラソンベストは3年前、柏さんが66歳の時に出された3時間28分45秒だそう!

「すごいですね!」
「驚異的ですね!」

 そんなことばかり言っていた私でしたが、私が心底本当に驚いたのは、私のある質問に答えてくれた柏さんの一言でした。


――柏さんが40年近くのマラソン経験の中で、一つだけ“自分でもこれだけはすごい”と思うことを選ぶとしたら何ですか?

柏さん さあ、なんでしょうねえ……?

“故障怪我をした経験があまりない”ってことくらいかなあ……。


 柏さんは、ぼそっと一言そう言いました。

 何気なく聞き流してしまえば、“ああ、ケガしたことないんだ〜”で終わってしまうかもしれない一言でしたが、勘の鈍い私でさえその言葉の“凄み”はすぐにわかりました。

 ケガしたことないって……。多くのマラソン大会に出て、ほとんどトレイルランの「高尾・陣馬山ラントレ」27kmなど100回以上走っていて……。

 要は40年近く走っていて、私などからすると想像を絶する総走行距離を走ってきて、それでケガをした経験があまりないってどういうこと?

 私はそう思いました。

 フルを目指してラントレをしたことのある人なら、膝やら足首、筋肉など何度となくどこかを傷めたことのある人がほとんどなのではないでしょうか?

「ほとんどケガをした経験がない」

 柏さんほど長い間、それも相当な総走行距離を走られてケガがないというのは、私にはそれは“自慢”どころか、“奇跡”にすら思えました。
 もしも、その“奇跡”に何かの理由、例えば「変わったトレーニング方法」などを実践することでケガをせずにいられることがあるなら、本当に知りたいと思い聞いてみました。

 しかし柏さんの口から出てきた言葉は、またしても意外なものでした。


――柏さんはどうしてケガをせずに、今まで走ってこれたのだと思いますか? 何か“ケガ”をしないためのトレーニング方法があるなら、是非お教えていただけませんか?

柏さん “よく噛むこと”なんです。

――よく“噛む”?

柏さん はい。私が唯一この40年続けていることがあるとしたら、物を食べる時、何度も何度もしっかりと噛んで食べることだけです。

よく噛むためにはたくさん顎を動かすことになります。

これは首の筋肉を始め、身体全身に効果があるのだと思います。よく噛んで食べると当然一食にかかる時間が長くなるのですが、これによって“大食い”もしなくなります。

私が続けてやっているのはこの“よく噛んで食べる”ことだけでして、恐らく私がランニングで今までケガがないのはこの習慣が大きく影響してると、私は思ってます。


 これは結構スゴイ話だと思いました。

 私もいろいろなランニング雑誌やらwebを見てはケガのことをチェックしておりますが、よく噛んで食べることがケガ防止にまで繋がるということを聞いたのは初めてです。

 柏さんからこの話を聞いて、奥深い話だと思いました。そして非常に説得力もありました。

 毎日、私たちが食べている物が身体を作ることは、どんな人でも多かれ少なかれある程度のイメージを持っていると思います。

 柏さんは、食べる物自体から一歩考えを先に進め、「食事の摂り方とランニングの関係まで考えているんだ」と、感心しました。

 “ラン”と“食”のランニングクラブ『ヘルシーランクラブ』の代表だからこそ、出てくる発想なのかもしれません。



※本記事は「みんアス〜みんながアスリート〜」で公開された『ランニングクラブについてっていいですか? Vol.10』を再編集したものです。
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