2冠達成も大混乱に陥ったバイエルン 自滅を招きかけた「選手>監督」という歪
国内2冠と「結果」を残したコバチ監督(中央)。「内容」に目を向けると…… 【写真:ロイター/アフロ】
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2冠という「結果」を残すも、「内容」は厳しい
【画像提供:フットボリスタ】
しかし「内容」に目を向けると印象は真逆になる。特に悪かったのはシーズン前半戦。3試合連続で勝てない危機が2度も訪れた。1度目は第5節アウグスブルク戦(1−1)、第6節ヘルタ・ベルリン戦(0−2)、第7節ボルシアMG戦(0−3)。順位は6位に急降下。2度目は第10節フライブルク戦(1−1)、第11節ドルトムント戦(2−3)、第12節フォルトゥナ・デュッセルドルフ戦(3−3)。首位ドルトムントとの勝ち点差は9に広がった。
さらに、国外ではCL決勝トーナメント1回戦でリパブールに敗れ、8季ぶりにベスト8へ進むことができなかった。コバチ続投が濃厚だが、首の皮一枚でつながっている状況だ。なぜ大混乱のシーズンになってしまったのだろう?
監督「守備」、選手「攻撃」というズレ
「守備」の改善を求める指揮官と「攻撃」を求める選手の間に齟齬が生まれた 【写真:ロイター/アフロ】
格下相手の引き分けが、監督と選手の齟齬(そご)を表面化してしまう。コバチは「バイエルンの攻撃は(ルイ・)ファン・ハールや(ユップ・)ハインケスの時代から機能してきた。大きく変える必要はない」と考え、守備に課題があると見ていた。アウグスブルク戦でリードした後も、マッツ・フンメルスがリスクの高い縦パスを狙っていたことを問題視し、この2014年ワールドカップ(W杯)優勝メンバーに改善を求めた。
一方、選手たちの考えは違った。ヘルタ相手にノーゴールで負けると、ヨシュア・キミッヒは「ゴール前の攻撃が良くない。ラストパスが通っていない」と指摘し、トーマス・ミュラーは「得点力に問題がある」と嘆いた。
齟齬は試合中にも見られた。ボルシアMG戦の終盤、3点のビハインドを背負っていたため、センターバックのニクラス・ジューレが前線へ上がろうとした。それを見たコバチは後方に戻るように伝えたが、ジューレはキミッヒと話し合った上で前線に。つまり、監督の指示を無視したのだ。
勝てない原因は守備か? それとも攻撃か? 監督と選手で大きく意見が食い違った。
第8節から2連勝したものの、第10節から再び3試合勝ちなし。デュッセルドルフに2点リードから追いつかれて引き分けた後、コバチへの批判は頂点に達した。