CL決勝でトッテナムに求められる「集中力」と「自己制御」
前回対決の教訓を生かすなら「4−3−2−1」
前回対決では「4−3−2−1」へのシステム変更が功を奏した 【写真:ロイター/アフロ】
かといって、引き過ぎは禁物。この点は、前回対決に当たるプレミアリーグ第32節での教訓が生かされるはずだ。同節に5バックで臨んだトッテナムは、先制された前半に6割以上ボールを支配され、一方的な劣勢に立たされた。再現すべきは、「4−3−2−1」へのシステム変更が功を奏した後半のパフォーマンスだ。相手ボール時には、3センターの敵に対して中盤5名の数的優位でボール奪取に努め、いざマイボールとなれば、「2+1」の前線3名がそろって最終ラインの裏を果敢に狙ったトッテナムは、ボール支配率だけではなく、スコアの上でも、リバプールに追いつき、そして追い越せると思わせた。
同様の戦法で、今季前半戦で最高の出来とも言うべき実績も残している。第13節でチェルシーに今季初黒星をつけた一戦(3−1)での3得点は、うち2点が速攻カウンターに端を発している。主導権を手中に収めた先制点も、攻撃的な相手左サイドバック(SB)の後方をついたカウンターの産物だ。リバプールのアンドリュー・ロバートソンと、トレント・アレクサンダー=アーナルドの両SBは、そろって今季プレミアのアシストランキング5位以内という攻撃力を持つが、見方を変えれば背後にスペースを残す頻度も高い。そこに素早く侵入し、相手センターバックがアウトサイドのカバーに飛び出さざるを得ない状況を作り出せば、最終ライン中央にフィルジル・ファン・ダイクを擁する相手の守備にも綻びが見えてくる。
プレッシャーと焦りが強まるのはリバプール
決勝でもトッテナムが示し続けた逆境での強さを発揮できるか 【写真:ロイター/アフロ】
互いにドラマッチックに決勝進出を果たした両軍だが、今季CLのピッチでトッテナムが示し続けた逆境での強さをもってすれば、プレミアの“格上”に挑む欧州での決戦で、クラブ史上最大の偉業達成も現実的だ。