連載:輝きを取り戻した男たち

球界を代表する捕手へ、小林誠司が歩む道 4安打を放った夜もバットを振り続ける

前田恵

キャッチャー目線で打席に入る

「配球を読むバッティングができるようになった」と小林。とても誠実に、自身の現在と過去のバッティングについて語ってくれた 【スリーライト】

 4月19日、甲子園での阪神戦でスタメンマスクを被った小林は、2回に先制の3ランを放つと、その後単打2本と二塁打を放ち、プロ初の4安打固め打ちでチームを勝利に導いた。そんな日の夜もホテルの練習場で、素振りをする小林の姿があった。

「遠征先でもホテルにバットを持って帰って、素振りをするんです。良かった日なら、何が良かったのかなと考えながら。あの日はやってきたことが結果に結びついてきたと思って、気持ちよくバットが振れましたね」

「ただ」――と小林は続ける。

「いつも同じようにうまくいくとも限らない。野球は相手がいるスポーツ。次は攻め方も変わってくるし、そこで崩れてもすぐ修正できるようにしなければなりません。感覚が良いときは良い、悪いときは悪い、で終わらないよう、悪いときでも変化を恐れずいろいろ取り組んでいきたい。幸い、同級生の丸(佳浩)とか、話を聞ける相手もたくさんいますしね」

 プロ入り当初に比べ、相手バッテリーの配球を読んだバッティングができるようになってきたことも、今季の小林の大きな成長だ。バッターとして打席に入るのではなく、キャッチャーの目線で打席に入るよう、心がける。自身がマスクを被ったときのリード面には、年々自信がついてきた。それも、彼のバッティングに少なからず、良い影響を及ぼしているといえるだろう。

(企画構成:株式会社スリーライト)

※リンク先は外部サイトの場合があります

2/2ページ

著者プロフィール

1963年、兵庫県神戸市生まれ。上智大学在学中の85、86年、川崎球場でグラウンドガールを務める。卒業後、ベースボール・マガジン社で野球誌編集記者。91年シーズン限りで退社し、フリーライターに。野球、サッカーなど各種スポーツのほか、旅行、教育、犬関係も執筆。著書に『母たちのプロ野球』(中央公論新社)、『野球酒場』(ベースボール・マガジン社)ほか。編集協力に野村克也著『野村克也からの手紙』(ベースボール・マガジン社)ほか。豪州プロ野球リーグABLの取材歴は20年を超え、昨季よりABL公認でABL Japan公式サイト(http://abl-japan.com)を運営中。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント