GI馬2頭が再戦、NHKマイルCデータ予想 桜花賞馬vs.2歳王者 勝つのはどっち?

JRA-VANデータラボ

前走同距離馬・前走着順別成績

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6は、前走で同距離の1600mに出走していた馬について、前走人気と着順別の成績を示したもの。意外に不振なのが前走1着馬で、勝った2頭を除く15頭はすべて4着以下に終わっている。ちなみに、勝った2頭は12年のカレンブラックヒルと14年のミッキーアイルで、いずれも本番は逃げ切りという共通点がある。前走2着の成績もいまひとつで、前走3、4着ぐらいのほうが好走率は高いぐらいだ。むしろ前走人気のほうが直結する印象もあり、前走1番人気は勝率41.7%と前走1着馬を上回っている。なお、好走例はあるものの、前走6着以下や6番人気以下の好走率はかなり低くなっている。

距離短縮馬・前走騎手別成績

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表7は、前走より距離短縮で出走する馬の騎手について「継続騎乗」と「乗り替わり」の成績を比べたもの。ご覧の通り、距離短縮の場合は「継続騎乗」のほうが明らかに高い好走率を記録している。このケースでは前走がクラシック路線の重賞ということも多いが、ジョッキーをしっかり確保したうえでの路線変更のほうが、やはり結果は出しやすいのだろう。

芝1600m戦の複勝率別成績

表8 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表8は、「NHKマイルCまでに出走した芝1600mでの複勝率」に関する成績を示したもの。まず、芝1600mで2戦以上した馬は明確な傾向を示しており、複勝率50.0%未満だった40頭はすべて4着以下という厳しい結果が出ている。また、出走歴が1戦のみでも、そのレースで好走できなかった馬の好走率は決して高いとは言えない。未出走でも問題はないが、芝1600mの出走歴がある馬に関しては、その成績が重要な意味を持つと考えたい。

芝1400m戦の勝利数別成績

表9 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表9は、「芝1400mの勝利数別」の成績を示したもの。表2の項でも関連することに触れたが、過去10年、NHKマイルCまでに芝1400mで2勝以上していた馬が勝った例はない。また、1勝や0勝の成績も芳しいとは言えず、芝1400m未出走だった馬のほうが好走率は明らかに高い。NHKマイルCにおいて、芝1400mの実績はむしろ重荷になってしまうようだ。

結論

 表1、2の項で見た通り、過去10年の1番人気は【5.0.0.5】という極端な成績。そして、芝1400mで2勝以上挙げている馬や重賞未勝利馬だと4着以下に終わることも多かった。

 その点、今年のNHKマイルCで1番人気が予想される桜花賞馬のグランアレグリアは芝1400mに出走したことがなく、過去4戦すべて芝1600mで複勝率100.0%。もちろん重賞も勝っている。前走が同距離となるため、桜花賞で1番人気なら文句なしだったが、その点を除けば大きな瑕疵は見られない。さらにいえば、前走1600m1着から制した2頭がいずれも逃げ切りだったことを考慮すると、思い切ってハナを奪ったほうが持ち前のスピードを活かしやすいかもしれない。

 2番人気はアドマイヤマーズになりそうで、同馬は皐月賞4着から距離短縮で臨むことになる。そして、距離短縮の場合は騎手が継続騎乗するほうが望ましく、引き続きミルコ・デムーロ騎手が騎乗予定というのは好材料だ。芝1400mには出走したことがなく、芝1600mでは4戦4勝とパーフェクト。データ的には、この馬のほうが隙はないぐらいだ。

 そのほか、ダノンチェイサー、クリノガウディー、ファンタジストといった馬も距離短縮かつ騎手の継続騎乗が予定されている。ただし、このうちファンタジストは芝1400mの京王杯SCを制しているのがかえってマイナスで、芝1400m未出走のダノンチェイサークリノガウディーのほうが狙いやすい面はある。

 前述したグランアレグリアを除く前走同距離の馬では、前走6着以下や前走6番人気以下だと好走率が大幅に下がる。アーリントンC組の5頭はすべてこの点に引っ掛かっており、狙うとすればニュージーランドT組のワイドファラオ(前走4番人気1着)とヴィッテルスバッハ(前走2番人気3着)か。

 芝1400mで2勝以上しているプールヴィル、ハッピーアワー、トオヤリトセイトは今回のデータからは推奨しづらいところ。なかでも芝1600mにも2回以上出走して複勝率が50.0%に満たないプールヴィルは苦戦も予想される。

 こうして見ると堅い決着になりそうな今年のNHKマイルCだが、10番人気以下が3着以内に入ることが多いレースでもある。表3で見た通り、過去2走以内に芝1200mで勝った馬や芝1800m以上の重賞を使っていた馬は要注意で、該当する馬として前走が毎日杯のケイデンスコールマイネルフラップの名前を挙げておきたい。

文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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