今年も百花繚乱! 桜花賞をデータ展望 堅くてもダノン、グランは数値で有利

JRA-VANデータラボ

前走レース別成績

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表5は前走レース別成績。よく知られた通り、本番と同条件のチューリップ賞が極めて重要なレースで、1着馬7頭を含む計19頭もの好走馬を送り出している。加えて回収率も高く、本命馬だけでなく穴馬を探す場合にもこの組を精査することが欠かせない

 一方、出走例は最多ながら、不振にあえいでいるのがフィリーズレビュー組。好走馬は3頭のみで、12年3着のアイムユアーズ、16年3着のアットザシーサイド、17年1着のレーヌミノルには「阪神ジュベナイルフィリーズで5着以内」かつ「フィリーズレビューで2着以内」という共通項があった。狙うのであれば、この戦績を満たす馬だろうか。

 この2レース以外では、いずれも京都芝1600mのエルフィンS、シンザン記念から出走した馬が、合わせて【2.1.0.3】と高い確率で好走している。出走例は少ないが、注目すべき前走だ。ほかに関西圏では前走阪神JFという馬が3頭おり、14年にレッドリヴェールがハナ差の2着。近年は休み明けのG1出走でも結果を出す馬が珍しくなく、桜花賞が3歳初戦となっても簡単に評価を下げるわけにはいかないだろう。

 一方、前走で関東のレースを使ってから桜花賞を制した馬は、過去10年には見当たらず。前走クイーンC組は出走例がそこそこあるものの、本番で1〜3番人気に推された馬でも【0.1.0.6】と振るわない。前走フラワーC組は、本番で好走した2頭のうち1頭はフラワーCが阪神開催だった11年3着トレンドハンターだから、実質的な好走馬は10年2着のオウケンサクラのみともいえる。また、前走アネモネS組は【0.0.0.22】と過去10年の好走例が皆無で、表5掲載の対象外となるほどの大苦戦。今年からリステッド競走に指定されており、今後は流れが変わることに期待したい。

前走チューリップ賞出走馬の各種データ

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6は、前走チューリップ賞出走馬の前走人気別と着順別の成績を示したもの。これを見る限り、チューリップ賞組は前走着順より前走人気のほうが桜花賞との相関関係が強いように思われる。たとえば「チューリップ賞1、2番人気」と「チューリップ賞1、2着」を比較すると、前者の【6.5.2.3】、勝率37.5%、複勝率81.3%に対して、後者は【4.2.2.10】、勝率22.2%、複勝率44.4%となっている。また、3着以下から好走した例も多く、3〜5着馬が【3.1.3.6】とかなりの好成績を収めている。さらには6着以下からも【0.2.2.10】と巻き返しており、チューリップ賞に出走していた馬には細心の注意を払いたいところだ。

芝で上がり1位を出した実績の有無

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表7および表8は、いわゆる消しのデータとなっている。表7は、桜花賞までに芝のレースで上がり1位(着順は問わない)を出した実績の有無を見たもの。ご覧の通り、この実績を持たない馬が好走した例は1頭もいない。どんな着順でもいいので、一度は上がり1位を記録したことのある馬をまずはピックアップしていきたい。

通算複勝率別成績

表8 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表8は、桜花賞までの通算複勝率を示したもので、過去10年の1〜3着馬30頭のうち29頭までは通算複勝率66.7%以上を記録していた。この数字を割り込んで好走したのは13年3着のプリンセスジャックしかおらず、やはりクリアしておきたい数字といえる。

種牡馬別成績(着別度数順)

表9 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表9は種牡馬別成績で、1、2着馬を出した種牡馬のみ掲載した。1位のディープインパクトは、過去10年で1着馬4頭を含む9頭もの好走馬を送り出している。出走例も多いため上手く狙いたいところで、参考になりそうなのが当日の馬体重。450キロ以上のディープ産駒は【4.1.0.5】と勝ち切ることが多いのに対し、450キロ未満は【0.3.1.14】と好走しても2着までとなっている。馬体重のデータは表3の項で確認済みだが、ディープ産駒には特に重要なファクターといえそうだ。キングカメハメハの成績もよく、連対率を除く4項目でディープインパクトを上回る数値を記録。ほかに好走馬を複数出しているのはダイワメジャー、マンハッタンカフェ、ハーツクライで、この3頭はいずれもサンデーサイレンス直仔の後継種牡馬である。

結論

 今年の桜花賞には28頭が登録。本稿執筆の4月3日時点で出走可能なのは、優先出走権を持つ8頭のほか、収得賞金1600万円以上の各馬までとなっている。

 まずはチューリップ賞組から有力と思われる馬を探していこう。この重要レースを1番人気で快勝したのが2歳女王のダノンファンタジー。唯一、キャリア5戦という点は最近の傾向から外れているものの、好走例がないわけではない。前走時で馬体重460キロの馬格を持つのはディープ産駒として好材料で、軸としては手堅い存在といえるのではないか。

 また、2着のシゲルピンクダイヤ、3着のノーブルスコアも、いずれも通算複勝率100.0%かつ芝で上がり1位を出した実績を持ち、これらも有力。5着のシェーングランツは2番人気を裏切る格好となったが、表6の項で述べた通り、むしろ桜花賞では怖いパターンといえる。この馬も前走時で472キロのディープ産駒。キャリア5戦で通算複勝率が基準を下回る60.0%というのはマイナスながら、興味深いプロフィールの持ち主だ。

 今年のフィリーズレビューは、ノーワンとプールヴィルの1着同着という結果になった。このうちプールヴィルは阪神JFで5着に入っており、桜花賞との相性が悪いフィリーズレビュー組ではあるが、好走の資格は手にしている。また、エルフィンS1着以来となるアクアミラビリスも侮れない存在。ただし、この馬と前述のプールヴィルはいずれも前走時で418キロと小柄な点がネックで、データからは勝ち切れない展開も想定しておきたい。

 前走が関東のレースだった馬は苦戦傾向。とはいえ、クイーンC1着のクロノジェネシス、2着のビーチサンバはいずれもキャリア4戦、阪神JFでも好走しており、さすがに無視はできない。馬体重的には前走時476キロのビーチサンバのほうが、同438キロのクロノジェネシスより傾向には合っている。

 最後に、誰もが取捨に迷いそうなのが朝日杯FS3着以来、3歳初戦での出走となるグランアレグリアである。状態に関しては調教や当日のパドックなどから判断するしかないが、キャリア3戦、通算複勝率100.0%、前走時482キロのディープ産駒であることなど、データ的には好材料が揃っている。

文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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