リーガとプレミア、どちらが最強か 圧倒的な結果とリーグとしての成熟度

マドリー、バルサを中心に多くのタイトル獲得も……

モドリッチ(写真)を擁するレアル・マドリー、メッシを擁するバルセロナを中心に近年のラ・リーガは結果を残してきた 【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】

 ルカ・モドリッチ(レアル・マドリー)が2018年の個人賞を総なめにする傍ら、クリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)はセリエAの得点ランキングの首位に立ち、レアル・マドリー時代を含めて年間49ゴールを量産してきた。そしてリオネル・メッシ(バルセロナ)は過去10年で8度目の年間50ゴール超えとなる51ゴールを記録し、18年の年間得点王に輝いた。

 長年ラ・リーガを代表してきたこの3人は、昨季まで5季連続、過去10年で7度のヨーロッパタイトルを独占してきたレアル・マドリーとバルセロナで中心的役割を果たしてきた選手である。

 レアル・マドリーとバルセロナはクラブワールドカップでも過去10年のうち7度、14年以降は5季連続でタイトルを独占している。

 この2クラブに加え、過去5シーズンのうち2度(14年と16年)の欧州チャンピオンズリーグ決勝にはアトレティコ・マドリーも勝ち上がり、レアル・マドリーとのダービーを実現している。過去10年のヨーロッパリーグを振り返れば、セビージャとアトレティコが3度ずつの優勝を果たしている。

 これらの結果を見る限り、近年クラブレベルのフットボールシーンはほぼ常にスペイン勢が独占してきたと言えるだろう。

 しかし、はたしてラ・リーガはこうした結果が物語る通りの世界最強リーグだと言えるのだろうか。これは長らく議論されてきたテーマであり、プレミアリーグの優位性を主張する人も多いはずだ。

プレミアは実力、経済力ともにクラブ間で拮抗

 先述の通り、スペインのクラブはヨーロッパのコンペティションにおいて他の追随を許さぬ圧倒的な結果を手にしてきた。だがその傍らで、ラ・リーガは組織としての運営力、各スタジアムのインフラ整備、テレビ放映権収入の規模やその分配方法といった多くの要素で、プレミアリーグのレベルに追いつくことができていない。

 レアル・マドリーとバルセロナの2大クラブがプレミアリーグの上位6チームを上回る収益を上げても、それ自体はリーグ全体の利益には直接結びつかない。プレミアリーグがより競争の激しい魅力的なリーグとなっているのは、クラブ間の経済力にラ・リーガほどの差がないことが原因だからだ。

 スペインではほぼ常にバルセロナとレアル・マドリーが国内のタイトルを独占し続けている。幸い近年はディエゴ・シメオネ率いるアトレティコがこの2強に迫りつつあるが、それでも過去10シーズンのラ・リーガを振り返ればアトレティコの優勝は一度だけで、あとはバルセロナが7度、レアル・マドリーが2度タイトルを手にしている。

 一方、過去10年のプレミアリーグではマンチェスター・ユナイテッド(最後の優勝は2013年)とマンチェスター・シティ、チェルシーが3度ずつ、そしてレスター・シティが一度優勝している。今季は現行のプレミアリーグではいまだ優勝経験のないユルゲン・クロップ率いるリバプールが首位に立っている。

 つまりラ・リーガの優勝争いはバルセロナとレアル・マドリー、アトレティコのトップ3に限定されるが、プレミアリーグのタイトルはトップ6(マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、チェルシー、リバプール、アーセナル、トッテナム)によって争われていると定義できる。しかも6チームの実力が均衡しているため、毎年タイトル争いは極めて厳しいものとなっている。

 今季のチャンピオンズリーグのベスト16にラ・リーガの3強とプレミアリーグの4チーム(マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、リバプール、トッテナム)が勝ち残っていることも、両リーグの現在の力を表していると言える。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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