女傑エネイブルの凱旋門賞連覇に隙あり? 武豊クリンチャーは天気が鍵か

JRA-VAN

3歳牝馬シーオブクラス、持ち味の瞬発力が物を言う

3歳牝馬シーオブクラスは追加登録料を支払っての参戦、それだけ自信があるということだろう 【Photo by Press Association】

 凱旋門賞出走は馬場次第と態度を保留していた3歳牝馬シーオブクラスが、12万ユーロ(約1580万円)もの追加登録料を支払って名乗りを挙げた。進上金や遠征費を考慮すれば、馬主には5着(賞金14万3000ユーロ=約1880万円)以上の結果が必要になり、すなわち自信の表れとなる。多頭数必至の中で後方一気の脚質を懸念されているが、ここまでのキャリアはわずかに5戦。前走のヨークシャーオークスでは残り400mまで鞍上が持ったまま進出するほどのスピードを見せており、不利を承知で後方待機策を取るとは決めつけられない。中団辺りで流れに乗れば、軽い斤量と持ち味の瞬発力が物を言う。ひと際目を引く黄色い勝負服に要注目だ。

A.ファーブルの刺客3頭、どの馬にも勝機

 シーオブクラスと同様に末脚の破壊力で勝利を狙うのが地元フランスの大将格ヴァルトガイスト。フォワ賞でクリンチャーらを一刀両断した瞬発力で、日本の競馬ファンにも一躍知られるところとなった。ヴァルトガイストの僚馬クロスオブスターズは昨年の凱旋門賞でエネイブルに2馬身半差の2着だったが、そのクロスオブスターズには3連勝中。エネイブルの負担重量が前年比3kg増となる今回、目下のヴァルトガイストをもってすれば差し切りも不可能ではない。もう1頭の僚馬タリスマニックを含め、凱旋門賞で最多勝を誇るA.ファーブル調教師が送り込む3頭は、どれが勝っても不思議ではないほどの実力を秘めている。

A.オブライエン勢は大挙5頭出し

 名伯楽といえばアイルランドのA.オブライエン調教師の管理馬たちにも注目。筆頭格は前走で英セントレジャー勝ちのキューガーデンズとなろう。ステイヤーらしい息の長い末脚を武器としており、同じ差し馬でも一瞬にしてギアを上げるシーオブクラスやヴァルトガイストとはタイプが異なるが、オブライエン勢は1歳上の英セントレジャー馬カプリら5頭出しの構え。チームプレーで有利な流れを作り出す。キューガーデンズは3走前のパリ大賞でパリロンシャン競馬場の2400mに勝ち鞍があり、経験値も十分に備えている。

地元3歳のディープ産駒スタディオブマン

 地元の3歳牡馬は近年精彩を欠いているが、今年は日本の競馬ファンにとって楽しみな1頭が凱旋門賞に出走する。仏ダービーを制したディープインパクト産駒スタディオブマンだ。近走は見せ場も作れず2連敗と株を落としているものの、凱旋門賞参戦は仏ダービー制覇の直後から温められていたプラン。2400mは未経験ながら、同じ境遇だった2013年の仏ダービー馬アンテロは、凱旋門賞でキズナを抑え3着に食い込んだ。距離延長が吉と出る可能性もゼロではないだろう。

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