トロロッソは過去最高のポテンシャル F1日本GP、唯一の懸念は「風」

F1速報

風変化にセンシティブな弱点は変わらず

スペック3の投入でパワーは向上。フィーリングの部分はどうか 【Toro Rosso】

 パワーが上がりラップタイムが向上したとはいっても、こうしたフィーリングに関わる部分に問題を抱えていただけに、実際のところドライバーたちの表情は決して芳しくはなかった。しかし理論上はパワーが上がっていればそれだけ速く、前述のようにマシンのセットアップの幅をも広げてくれる。

「こういう差は全体からすれば小さな差でしかないし、別にクルマがウィリーしてしまうようなものではないからね(苦笑)。まぁちょっとした違いは感じるけど……パフォーマンスのゲインがあることは間違いないよ。どのくらいの数字なのかは、これからもっと走ってマイレージを稼ぎ、ファインチューニングをして性能を引き出すことで見えてくると思う」(ピエール・ガスリー)

「新しいスペックのパワーユニットは金曜に走ってみてすごくポジティブだったし、それが鈴鹿でも効果を発揮してくれるはずだ。パワーユニットのアップデートがなくてもロングランでもペースはすごく良かったんだから、鈴鹿ではスペック3を入れればさらに良い結果が手に入れられると期待しているよ」(ブレンドン・ハートリー)

 ただ心配なのは、トロロッソ・ホンダのマシンSTR13の鈴鹿との相性だ。

 ソチ・アウトドロームでは結果につながらなかったとはいえ、良い仕上がりを見せていたSTR13だが、走行中にマシンに当たる風向きが変わるようなサーキットではダウンフォース発生量が過敏に変わりやすく、その空力性能をフルに生かし切れない。シーズン中盤の空力アップデートに失敗したこともあって、風変化にセンシティブなマシンという弱点はシーズン序盤から変わっていないのだ。

 つまり、S字のように左〜右〜左と切り返して行くようなセクションではマシンが安定しない可能性がある。ましてや台風の影響で風が強いとなれば、よりいっそう厳しくなる。

 逆に雨が降ればSTR13は好走を見せる可能性が高い。メルボルン、ホッケンハイム、ハンガロリンクなど、ウエットセッションでは常にトップ10圏内につけた。

田辺TD「あえて予想はしない」

 月曜にソチから日本に到着したドライバーたちは、つかの間の休息を楽しんだ後は栃木県のホンダ技研研究所のHRD Sakura、埼玉県にある和光研究所、鈴鹿研究所へと表敬訪問をして日本GPへと挑む。

「3月の開幕直前イベント以来の日本になるけど、ロシアGPの後に月曜は東京で1日オフを満喫して、その後に火曜・水曜にホンダのいろんな工場に行っていろいろな人に会ったりイベントに出席したり。もちろんもっとオフがあれば言うことはないんだけど(苦笑)、僕らはホンダのドライバーだから、日本を訪れる数少ない機会に、こうして日本のあちこちでホンダの人たちに会うのは当然のことだよ」(ガスリー)

 ホンダのメンバーたちはこれまで以上に大きなプレッシャーを感じている。ある意味では過去4年間で最も高いポテンシャルを持って臨む日本GPかもしれない。だからこそ余計にその肩には重責がのしかかる。

 日本GPに向けて、あえて予想はしないと田辺テクニカルディレクターは語る。全力を出し切ること、それが目標だ。

「悔いのないレースにしたいと思っています。ロシアGPではスペック3を投入しきれませんでしたが、鈴鹿ではきちんと仕上げて投入し、それも含めてトロロッソ・ホンダのマシンパッケージとして、チームとともにできるだけのことをやりたいと思います」

「シンガポールGPのように良いと思っていてもそうならないこともありますから、もう順位とか良いんじゃないか悪いんじゃないかというようなことは想定はしないことにしました(苦笑)。行ってふたを開けたら分かるだろうと(笑)。開けたときに後悔しないようにきっちりとレースをしたいと思います」

(テキスト:Mineoki Yoneya)

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