V3のカープ、2位との対戦で勝率8割以上 広島をひとつにした下水流の一発

ベースボール・タイムズ

23勝3敗1分と尋常じゃない強さ

球団史上初となるリーグ3連覇を達成した広島。2位との直接対決に圧倒したが、今季の強さにつながった 【写真は共同】

 9月に6連敗するなど、シーズン終盤にややもたついたが、今季も9.5ゲームと2位に大差を付けて球団史上初のリーグ3連覇を達成した広島。交流戦で10位と惨敗し、チーム防御率は4点台と、過去2年に比べると、必ずしも順調ではないシーズンだったが、序盤から首位の座を守り、独走状態をキープできたのには理由があった。

 交流戦で東京ヤクルトを除くチームが負け越しに終わったように、セ・リーグの他の5球団の戦力がいまひとつだったということもあるが、首位の広島が2位チームとの直接対決で、尋常ではない強さを見せたからだ。

 4月24日からの横浜DeNAとの首位攻防戦に3連勝して以降、ゴールデンウィークの巨人との3連戦は雨天中止を挟んで連勝。5月22日からの北関東シリーズは1勝1敗で終えたが、交流戦明けの6月26日からの巨人3連戦は、初戦を球団新記録となる3試合連続2ケタ得点で先勝すると、連勝で迎えた3戦目は高橋昂也のプロ初勝利で3タテを決めた。さらにオールスター明けにも巨人に3連勝。相手がヤクルトに変わった7月31日の試合にも勝利し、8月22日からは7連勝した。2位チームとの直接対決は27試合で23勝3敗1分、勝率8割8分5厘と、眼下の敵を圧倒した。

ターニングポイントとなった巨人戦

「2位に強い」広島の象徴的な試合、そして今季のターニングポイントとなったと言える一戦が、7月20日にマツダスタジアムで行われた巨人との首位攻防戦だ。

 オールスターを挟んで7連勝で広島に乗り込んできた巨人。西日本豪雨災害の影響でオールスター前の阪神3連戦が中止になった広島は、後半戦最初のカードとなったナゴヤドームでの中日に2勝1敗と勝ち越し、その差5ゲームで迎えた3連戦となった。

 首位叩きを狙う巨人は、先発ローテの順番を入れ替え、初戦に山口俊、第2戦で菅野智之を起用して必勝態勢。その初戦は立ち上がりから意外な展開となった。初回から広島が山口俊を攻略し、野間峻祥のタイムリーと安部友裕の3ランで4点を先制。2回にも丸佳浩のタイムリー二塁打と松山竜平の2ランで3点を追加し、山口俊をKOした。

 序盤から大量援護をもらった広島先発の野村祐輔は、3回まで無失点に抑えたが、4回に陽岱鋼に3ランを浴び、広島ペースで進んでいた試合の流れが変わった。続く5回にも、先頭打者で投手の吉川光夫の安打を許した後に四球で1死一、二塁とされ、マギーにレフトスタンドへ3ランを被弾。1点差とされ、野村はこの回限りでマウンドを降りた。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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