コミットする姿勢で日本を代表する存在に HCに聞く、○○はうちがNo.1 北海道編
「いい選手、いいスタッフがそろっている」
ジョゼ・ネット新HCはチームについて「いい選手、いいスタッフがそろっている」とコメント 【(C)B.LEAGUE】
そう力強く宣言したのは、今季からレバンガ北海道の指揮を執ることになったブラジル出身のジョゼ・ネトヘッドコーチ(HC)。ブラジルトップリーグでCRフラメンゴを4連覇に導き、ロンドン、リオ五輪ではブラジル代表のアシスタントコーチを務めあげた。クラブ史上、最高の実績を誇るHCと言っていいだろう。
短い準備時間でどうチームを形にしていくのか。チームの印象を聞くと、「いい選手、いいスタッフがそろっている。何よりチーム全員が向上心を持っている。とても可能性のあるチームだと感じました」と話す。
理想とする哲学は、「ハッスルすることが1番大切です。それが最初の1歩であり、ハッスルすることで、守備でも攻撃でも良いことが起こる。自分のスタイルとしては、チームを重んじるヨーロッパスタイルに近いかもしれないが、米国のスタイルのような1対1で勝負する気迫も持ちつつ、チームでプレーする。2つのスタイルの融合が理想です」
レバンガといえば、昨季、多彩なセットオフェンスを中心に、外国籍選手を軸とした攻撃力で得点を量産する攻撃型のチームスタイルで、シーズン終盤までチャンピオンシップ(CS)進出争いを演じた。昨季までのスタイルをどう変化させていくのか。
「極端な話、ディフェンスさえできれば、セットオフェンスは必要ないと思っています。セットオフェンスは、得点するためのきっかけに過ぎない。基本はいいディフェンスと走ること。そうすれば得点できます」
ネトHCの考えは、どう攻撃をするかという方法が大事なのではなく、40分間ハッスルをすること。そして攻撃につながるいい守備、その瞬間に最善のプレーをしようというものだ。決められたセットオフェンスをいかに遂行させるかに重きを置いてきた、昨季のチームの考え方を180度転換させると言っても過言ではないかもしれない。
外国籍選手2名体制で臨む今シーズン
全員の想いをひとつにできるチームは意外と少ないのかもしれない 【(C)B.LEAGUE】
既存戦力でも、昨季のチーム得点王、マーク・トラソリーニをはじめ、主力のほとんどが残留した。48歳で今季を迎える“レジェンド”折茂武彦をはじめ、経験豊富なベテラン陣、今季も主将としてチームをけん引する中堅の多嶋朝飛や、ルーキーシーズンで全60試合に出場し、さらなる飛躍が期待される若手の関野剛平など、役者はそろっている。
懸念事項を挙げるならば、外国籍選手を3人そろえるチームが多い中で、トラソリーニ、ドブラスの2人体制で臨むことだ。ドブラスはスペイン1部リーグでの実績があるとはいえ、日本のバスケットにいかに早く順応できるかがカギになる。また、外国籍選手にけが人が出た場合は、このタフな東地区を戦う上で、戦力的に大きなハンデとなってしまうだろう。今季ブースターが期待するのは、昨季果たせなかったCS進出だ。
だが、ネトHCは具体的な目標をあえて口にしない。「去年よりもいい成績で終わること。これは口で言うほど、決して簡単なことではありません。もちろん、CSにいって、さらにその上にいくことが望ましいですが、1歩1歩成長し続けるクラブでありたい。最終的に、日本で存在感を示せるクラブになりたいと考えています。
そしてこのチームには、目標に対してコミットする力、姿勢があると感じています。これは、練習への姿勢だけでなく、コート外でも感じること。選手だけでなく、マネージャー、チームスタッフを含めたチーム全員が、今より良くなりたいと強く思っている。その姿勢が、リーグでも1番だと思っています」
チーム全員が同じ方向を向いて、努力すること――。一見、簡単なことに思えるが、それぞれ置かれた境遇が違うプロの集団の中で、全員の想いを1つにできるチームは意外と少ないのかもしれない。貪欲に進化を求めるレバンガが、今季、リーグでどんな風を吹かせるか。楽しみで仕方がない。