【RIZIN】今年最大の注目試合に臨む那須川天心 堀口と「誰もが憧れる試合をしたい」

長谷川亮

MMAファイターとの勝負の鍵は“間合い”

5月の中村優作戦は、MMAファイターとのキックボクシングとなり、今回の堀口戦にも活きてくると話す 【(C) RIZIN FF】

――今回の試合へ向けては何か特別な取り組みを?

 堀口さんの場合は距離がすごく遠いので、いつもより距離をちょっと遠くしました。それをいかに縮めるかですね。

――5月には同じMMAファイターで遠くからの飛び込みを得意とする中村優作選手との対戦がありました。あの対戦がヒントになるところがあるのでしょうか?

 中村選手と試合をしたことはやっておいてよかったというか、今回の試合にすごくプラスになると思っています。精度やタイミングは堀口選手と違うかもしれませんが、やったことはすごくいい経験になったので、それは絶対活きてくると思います。

――堀口選手最大の武器である、空手をベースにした飛び込んでの攻撃に対してはいかがですか?

 まぁやり辛いというのはありますけど、作戦が本当に何個かあるので、その相手が嫌なことをとことんやろうかなと思っています。

――堀口選手とは以前練習をしたことがあるそうですが、その時の印象を教えて下さい。

 まだプロデビューしてちょっとの頃で、MMAを経験したことがなかったので、すごく距離が遠いなと思いました。でも、その時点で通じるものも教わったこともありますし、そういうことはずっと自分で理解をして意識しながら練習をしていました。

――その後、自分でもMMAを経験したことでキックに活きたことはありますか?

 フィジカルの部分ももちろんありますけど、やっぱり距離が1番ですよね。キックの選手の場合、MMAの間合いの時は安心できるので。そこで空間を制圧しやすくはなりました。そこから自分は打てるけど、逆に相手は打てなくて。

――では、那須川選手はキックだけでなくMMAの間合いも身に付けていると。

 まぁ多少ですけど、そのMMAの間合いより堀口さんの間合いはもっと遠いですから。だから今回はお互いの対応力が問われる試合だと思います。

――MMAのオープンフィンガーグローブとボクシンググローブでは打ち方・効かせ方が異なると言いますが、両方を体験してその違いはいかがでしょう?

 それはMMAの時「あれ、普通なら倒れているのに倒れてないな」みたいなことが試合であったりはしました。ボクシンググローブだと一瞬でパンという感じで、でもMMAのグローブの場合はパウンドをやっても引いたらダメで、押すというか貫通させるみたいな。ただ堀口さんの場合はあのグローブでも絶対パンチは効くと思うし、そういうのは関係なく強いので、だから1発ももらえないですよね。

魔裟斗vs.KIDのような歴史を刻む試合を

格闘技界の歴史を変える一戦にしたいと意気込む天心。2人の“最強”の激突は、果たしてどんな結末を迎えるか 【(C) RIZIN FF】

――インタビューの最初で「この試合のために今までRIZINに出てきたのかなという感じはします」という言葉がありました。

 それはありますよね。自分としてはいつもの試合の感覚なんですけど、これだけ周りが盛り上がってくれて、反響がものすごいので。今まで連絡を取ってなかった人からも連絡が来たり、すごくいろいろな通知が来たり、全然違いますね。1日でチケットが10000枚以上売れるってヤバいですよね。本当にアイドルとか、何かのコンサート並みですよね。

――そういう試合を前に自分でもワクワクするところがあるのでしょうか?

 ワクワクする感じもありますけど、いつも通り挑まないとダメだなって思っています。いつも通りやれば問題ないかなという感じなので。だから逆に変えたらダメだなと思っています。

――以前「来年は格闘技界が本当に変わる」という予告をしていましたが、今後のご自身、格闘技界をどう変えていきたいですか?

 本当に今回の試合で格闘技の歴史に名を刻むというか、自分と堀口さんの試合の後から変わったよねとか、後から言われたいですよね。昔、魔裟斗さんとKIDさんの試合があって、それがすごく話題になって今まで受け継がれているじゃないですか? だからそういう風にというか、あれ以上にしたいですよね。

――最後に試合へ向けての意気込み、楽しみにされている方たちへのメッセージをお願いします。

 昔からの目標の一つとして「誰もが憧れる試合をしたい」というのがあって、そういう存在になりたかったのがありました。格闘技をやっている人はみんな自分と堀口さんの試合に嫉妬していると思います。今回は本当に格闘技に興味がない人とかも興味を持ってくれている試合だと思うので、そういう人たちに向けてというのもありますけど、一番はいつも通り自分に打ち勝てるように。この試合からまた生まれるものがあると思うので期待してもらいたいし、KOしないと意味はないと思うので、本当に見てもらいたいです。

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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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