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インドネシア史上最大の野球の祭典
アジア大会を通して見た現地の野球事情

メイン球場の収容人数は1700人

メイン会場となったゲロラ・ブン・カルノ競技場から見るジャカルタ新市街
メイン会場となったゲロラ・ブン・カルノ競技場から見るジャカルタ新市街【阿佐智】

 メイン会場のGBKではスーパーラウンド以降、「4強」によるメダル合戦が3日にわたり繰り広げられた。ここでは、韓国勢と台湾勢が、メディア席でもスタンドでも目立っていた。メディアに関しては圧倒的少数派であった日本勢も決勝にはそれなりの数が集まったが、彼らはスタンドの入りに驚いていた。


 メイン球場の収容人数は約1700人。米国のマイナーリーグの球場と同じように外野席はなく、元々テニスのスタジアムだったという一、三塁ベース後方まで延びる10段ほどのメインスタンドの他、その奥に両翼ポール際までの仮設席があるのみである。スーパーラウンドでは常にメインスタンドは6割ほど埋まっており、決勝戦は桟敷席まで観客が押し寄せ満員となった。その観客の半数ほどは出場国のファンだったが、残りの半分はインドネシアの野球ファンだった。先述したように、彼らの多くは野球やソフトボールをプレーした経験をもち、ルールも理解していた。


 スーパーラウンドのチケットは全席自由席で30万ルピア(約2300円)。決勝は50万ルピア(約3800円)だった。市バス1回3500ルピア(約27円)というこの国にあって、決して安い価格ではない。それでもアジア最高レベルの野球を見たいと、電車で1時間ほど離れた郊外の町からやってきた女子高生もいた。やはりソフトボールをしているというこの2人組は、台湾の応援旗をもっていたが、理由を聞くと、たまたま座った席が台湾応援席だったと笑っていた。

現地で人気の日本チーム

 そういう中、地元ファンに一番の人気だったのは他ならぬ日本だった。インドネシアは長らく日本が開発援助に力を入れてきた国であったが、その結果としての対日感情の良さはスタンドの風景にもあらわれていた。決勝戦の開門前、韓国ファンに交じって行列に並んでいた大学のチームでプレーしているという地元学生とその父親は、普段からメジャーリーグ中継を視聴し、ヤンキー・スタジアムにも行ったことがあるという。アジア最高峰のゲームに胸を躍らせていたその学生は、昨年、神宮球場にも足を運んだということもあってか、日本を応援するとのことだった。


 決勝のスタンドを埋めた地元ファンの中には、野球を初めて見るという者もいた。日本と韓国の頂上決戦を娘が見たがっているから来たという親子連れは、ルールは知らないけどと言いながら、大飛球が上がる度に歓声を上げていた。


 インドネシア野球始まって以来の大観衆を集めたゲロラ・ブン・カルノ球場だが、その将来は不透明だ。前ナショナルチーム監督の野中さんは、自嘲気味にこう言う。


「外野にせっかくラバーフェンス張ったんですが、どうせ大会が終わって半年もしないうちになくなりますよ。みんな剥がしていって、マットにでも使うでしょう」


 GBK総合運動公園はもともと郊外に造られたのだが、ジャカルタの町の急成長によって、現在は新市街の真ん中に位置している。周囲には摩天楼がそびえ、夜になると幻想的な風景が広がる。年々開発が進むこの地域にあって、GBKの広大な敷地は「宝の山」でもある。今後、スポーツ複合施設をさらに郊外に移転させる可能性もなきにしもあらずだ。


 このアジア大会を期にできたせっかくの東南アジアナンバーワンとも言えるスタジアムの将来は、今大会の盛り上がりをインドネシア野球界がどう継続させていくかにかかっている。

阿佐智

世界180カ国を巡ったライター。野球も世界15カ国で取材。その豊富な経験を生かして『ベースボールマガジン』、『週刊ベースボール』(以上ベースボールマガジン社)、『読む野球』(主婦の友社)などに寄稿している。

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